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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

Tele-ICUの有効性

2023年02月06日 | ICU・システム
おお。Tele-ICUのRCTだ。

Spies CD, Paul N, Adrion C, et al.; ERIC Study Group.
Effectiveness of an intensive care telehealth programme to improve process quality (ERIC): a multicentre stepped wedge cluster randomised controlled trial.
Intensive Care Med. 2023 Jan 16:1–14. PMID: 36645446
.

12のICUで、毎日tele回診(一人20分)をして、かつ24/7でコンサルテーションを受け付けたら、鎮痛鎮静、ウィーニング、感染管理、経管栄養、患者家族とのコミュニケーション、早期離床の質が向上した。

日本でも徐々にTele-ICUが行われつつあるけど、毎日tele回診しているところはないのでは。
今後の普及の可能性にしても、効果検証にしても、まだちょっと「未来の話」感が拭えない。
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SOFAスコアのupdate

2023年02月02日 | ICU・システム
Moreno R, Rhodes A, Piquilloud L, et al.
The Sequential Organ Failure Assessment (SOFA) Score: has the time come for an update?
Crit Care. 2023 Jan 13;27(1):15. PMID: 36639780.


臨床で使おうとは一度も思ったことないけど、敗血症の診断、患者群の比較、JIPADでも収集、ICU加算に必要など、いろいろ出てくるSOFAスコア。その割に問題点がてんこ盛りで、いい加減なんとかして欲しいとずっと思ってた。
Vincent先生、やっとですか。

さて、SOFA2.0はどんな感じになるんだろうか。
そしていつ発表されるんだろうか。
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看護師を定着させるためにICUの医療従事者が意識すべき10のポイント

2022年11月15日 | ICU・システム
Vincent JL, Boulanger C, van Mol MMC, et al.
Ten areas for ICU clinicians to be aware of to help retain nurses in the ICU.
Crit Care. 2022 Oct 13;26(1):310. PMID: 36229859.


すごいタイトル。
しかも著者はあのVincent先生。

どこの国も、同じ問題を抱えているらしい。
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ICU重症度スコア

2022年11月13日 | ICU・システム
Quintairos A, Pilcher D, Salluh JIF.
ICU scoring systems.
Intensive Care Med. 2022 Oct 31:1–3. Epub ahead of print. PMID: 36315260.


重症度スコアの歴史や意義を簡単にまとめて、将来について考えている短めの文章。

APACHE IIが1985年、
APACHE IIIが1991年、
APACHE IVが2005年。
SAPSもMPMも、もう15年以上新しくなっていない。

でも日本は大丈夫。
だって、JRODがあるから!
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医師届出票の「従事する診療科名等」の欄に「集中治療科」がついに追加されました。

2022年10月26日 | ICU・システム
学会からメールが来て知りました。
『 新型コロナウイルス感染症拡大下において、集中治療に従事する医師の重要性が認識される中、地域における集中治療提供体制を適切に把握するため、「従事する診療科名等」の欄について、「集中治療科」を追加する。』

ついに、です。
毎回こんなことしてましたが、ついに不要になりました。

今年は、
JIPADがICU加算の一部に記載されたし、(P)ICUを舞台としたドラマも始まったし、
集中治療という専門分野にとっては良い年ですね。
きっかけはコロナだけど、みんなの頑張りが報われたということでしょう。

でも、やっと認知されてきたというだけで、実際の普及はまだまだ。
若者よ、よろしく頼む。
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ICU患者家族にはどんどん面会に来てもらった方がいい。

2022年10月12日 | ICU・システム
Wu Y, Wang G, Zhang Z, et al.
Efficacy and safety of unrestricted visiting policy for critically ill patients: a meta-analysis.
Crit Care. 2022 Sep 5;26(1):267. PMID: 36064613.

面会ポリシーに制限のある群とない群を比較したRCTもしくはpseudo-RCT 11研究、N=3741のメタ解析。面会の制限をなくすと譫妄が減って、ICU在室日数が短くなって、感染症は増えなかった。

Moss SJ, Rosgen BK, Lucini F, et al.
Psychiatric Outcomes in ICU Patients With Family Visitation: A Population-Based Retrospective Cohort Study.
Chest. 2022 Sep;162(3):578-587. PMID: 35271840.

カナダの14の病院のICUに入院した14344例についての後向き研究。ICU在室中に家族の面会があった患者さんは、退院後1年間の精神疾患の発生頻度が21%減った。

メタ解析と観察研究なので根拠の強さはそれほどでもないが、少なくとも面会が有害ということはなさそうだ。
日本の多くの病院ではまだ面会禁止が続いていそう。外国ではどうなんだろうか。

さすがにそろそろ、解禁しませんか?
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集中治療の現場で命を救う機械

2022年09月17日 | ICU・システム
Jaber S, Citerio G, Combes A.
Machines that save lives in intensive care: why a special issue in ICM?
Intensive Care Med. 2022 Oct;48(10):1271-1273. PMID: 36066599.


今月のICMは医療機器の特集。
たくさんあるねー、機械。これでもまだ一部だもんね。
楽しそうなのを読んだらいいんじゃないかな。

ただし、ちょっと注意は必要。
試しに血漿交換の総説を読んでみたのだけど、絶対適応のリストの中にacute liver failureが入っていてビックリ。他の疾患には説明がないのに、これだけは小さい字で記載があって、"Not widely used yet and limited to a few specialized centers but strong evidence base in acute liver failure (especially hyperacute) in improving transplant free survival in patients who meet transplant criteria but are either ineligible for transplant or do not have access to timely transplant. TPE may also be used as a bridge to transplant in acute liver failure with multiple organ failure [75]"と書いてあって更にビックリ。
(DeepLによる和訳:まだ広く使われておらず、一部の専門施設に限られているが、急性肝不全(特に超急性期)において、移植基準を満たすが移植不適格であるか、適時に移植を受けられない患者の無移植生存率を改善するという強いエビデンスがある。TPEはまた、多臓器不全を伴う急性肝不全における移植への橋渡しとして使用されるかもしれない。)

参照文献75はこれ。6年前に発表されたRCTで、肝不全としてはNが大きめだけど、storng evidenceと言える代物じゃない。よく見ると、この研究のlast authorが総説の執筆者に含まれている。
ああ、そういうことか。
実際、Lancetの急性肝不全の総説には、同じRCTを引用して、”but further study is required"と書いてある。

総説は、自分が知らないことを手っ取り早く教えてくれるので便利。
でも、「〇〇が正しい」、「〇〇をするべきだ」と記載されていたら疑ってかかった方がいいし、それを自分の臨床に応用しようと思ったら必ず元文献を読むこと。

それさえ気をつければ、総説は便利。
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敗血症性ショックの管理はICUとHCUのどちらがいいか。

2022年09月12日 | ICU・システム
Endo K, Mizuno K, Seki T, et al.
Intensive care unit versus high-dependency care unit admission on mortality in patients with septic shock: a retrospective cohort study using Japanese claims data.
J Intensive Care. 2022 Jul 22;10(1):35. PMID: 35869538.


DPCデータを使った研究。HCUに比べたICUの30日死亡率のハザート比は0.89(p=0.005)。

何故かはよく分からないが、ICUとHCUを比較した研究って少ない(ちなみにこんな研究あります)。
いくつか気になるところ(30日以降の退院はcensorされていて、転院がICUの方が多いとか)はあるけれど、既存研究が少ないジャンルについてしっかりしたNを使って研究した点は評価される。こういうDPCデータの使い方は好きです。

話はずれるけど、
・ノルアドにDOAが20%も併用されている(ちなみにこんな研究あります)。
・PMXの使用頻度は10%以下。昔に比べて随分減ったのでは。
・人工呼吸どころかCRRTもHCUでバンバンやっているというのは、外人が見たら驚くのでは。
という感想も持ちました。
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Rapid response teamによる病院死亡率への影響

2022年09月09日 | ICU・システム
Factora F, Maheshwari K, Khanna S, et al.
Effect of a Rapid Response Team on the Incidence of In-Hospital Mortality.
Anesth Analg. 2022 Sep 1;135(3):595-604. PMID: 35977369.


Cleaveland Clinicでは2009年にRRTが導入され、2012年から麻酔科主導になった。その効果を、2005年から2018年の病院死亡率の変化を使って評価した、という研究。結論は、RRTが効果を示すには何年もかかることがある、というもの。

評価が難しい研究。解釈がちょっと恣意的な印象もある。
とは言え、結論には賛成。
RRTの導入の仕方によって、すぐ効果を示すこともあれば、ずっと効果を示さない場合もあれば、いろいろだろうと思う。だって、単に薬を投与するのと違って、有効性を示すための条件がたくさんあるんだもん。

特に重要だと僕が思うのは、RRTを成功させようと真剣になって行動する人の存在。
あなたの施設にはRRTはありますか?指導者はいますか?もしいないなら、効果は出てますか?
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早期警告スコアの一部としての臨床評価

2022年08月25日 | ICU・システム
Nielsen PB, Langkjær CS, Schultz M, et al.
Clinical assessment as a part of an early warning score-a Danish cluster-randomised, multicentre study of an individual early warning score.
Lancet Digit Health. 2022 Jul;4(7):e497-e506. PMID: 35599143.


デンマーク8施設のクラスターRCT。NEWSによるスコアリングに基づいてRRSを発動するか、そのスコアを観察者が増減して、その結果をもとにRRSを発動するかを比較。仮説は、人が評価することによって無駄なRRSが減り、患者には悪影響を与えない、というもの。しかし実際は逆で、コール回数はほとんど減らず、有意ではないものの死亡率は悪化した。

面白い。単純に考えると、人の評価が加わった方が、単なる数字よりも患者さんの状態がより正確に判断できそうと期待したくなる。でも実際はそうはならず、NEWSに加点されることはほぼなく、減点がチョコチョコ行われ、コールするタイミングが遅くなり、結局呼ぶ回数は変わらずに予後が悪くなったように見える。

薬の効果は投与の有無で評価ができるけど、RRSはそうは行かない。人の行動なので、たくさんの要素があるから。
例えば、もしRRSの有効性が高く評価されていたら、みんながRRSを喜んで呼んで、この研究の結果は真逆になっていたかもしれない。でも、もし評価が高くなくて、RRSのチームメンバーが楽しそうに見えなかったり、RRSで来た人に否定的なことを言われたりしたら、結果はもっと悪くなっていたかもしれない。
どっちに傾きやすいかと言うと、やっぱりネガティブな方向でしょう。だって面倒だもの。みんな忙しいし、仕事増やしたくないし。

RRSの有無を比較した唯一の多施設RCTは有効性を示していない。それイコール無効ということにはならいし、実際に明らかに有効と思われる(コードブルーが激減)施設もある。ただ、有効性が示されるように導入するのはとても難しい。この研究もそれを示しているのではないかと思います。

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