超級龍熱

香港功夫映画と共に

THIS IS 甄子丹(109)バリスティック・インタビュー回想録!!「ドニー・イェン HOTTEST1999」

2017-05-29 09:38:19 | THIS IS 甄子丹

さあ3大特別企画「激突!3大猛龍黄金フェスタ」、その第2弾は「THIS IS 甄子丹」第109回も兼ねてのドニー・イェンSP「バリスティック・インタビュー回想録!!ドニー・イェン HOTTEST1999」です。
ドニー兄貴の監督第2作目にして意欲作「殺殺人、跳跳舞」(98)。
ある意味斬新な実験映画とも言える本作ですが、99年の日本劇場公開の際は宣伝を担当した江戸木純さんによって「ドニー・イェンCOOL」との邦題が命名されました。
私はこの「ドニー・イェンCOOL」との邦題を最初に聞いた時「おお、結構思い切ったタイトルを付けたなぁ!」と思ったんですが、同時に副題が「最も、死亡遊戯・・・。」になった事を知って、この「ドニー・イェンCOOL」なる邦題が気に入りました(^_^)。
さて、今回のドニー兄貴SP「バリスティック・インタビュー回想録!!ドニー・イェン HOTTEST1999」は、その「ドニー・イェンCOOL」のプロモーションで来日したドニー兄貴に私が某映画雑誌の依頼でインタビュー取材した際の回想録をお届けします。
実は私がこの特集を企画した一番の動機が数ヵ月前にそれこそ19年振りに出て来たある1枚の写真が理由でした。
その写真こそ皆さんがご覧になっている写真なんですが、このドニー兄貴とのインタビューではそこに至るまで様々な興味深い出来事があったので、それをこれからジックリとお話していきたいと思います。さて、インタビュー取材当日。私と付き添いの映画雑誌の編集者が待機する会見場に颯爽と現れたドニー兄貴はラフなTシャツ姿ながら大変ご機嫌でした。
何故ならこの時に「ドニー・イェンCOOL」公開のプロモーションの一環としてドニー兄貴のフィギュアが制作される事となり、会見場に立ち合っている江戸木さんがそのドニー兄貴フィギュアの試作品(何故か全裸のドニー兄貴でした(^_^;))を持参して来て、それを見た私の「おお!ドニー・イェンのフィギュアだ!」の声にドニー兄貴も「な、いいだろ?」的なリアクションで笑顔を返して来るなど超ご機嫌だったわけです。ちなみにインタビューの通訳は谷垣健治監督(当時はまだ監督デビュー前でしたが)でした。
健治監督は前の年の私とドニー兄貴の初インタビューの時も無償で通訳を引き受けてくれたりと、本当に頼りになりましたし、ドニー兄貴も健治監督が横にいると安心している感じでした。
ただこのインタビューの時は途中で健治監督自身の取材が入ってしまい、健治監督は申し訳なさそうに会見場を離れていき、そこからは代わりの通訳さんが私の質問をドニー兄貴に通訳する形となりました。
で、このインタビューの際の私は敢えて「ドニー・イェンCOOL」の質問はインタビューの後半に回して、前半では前回のインタビューで私が訊きたかったのに訊けなかったドニー兄貴の他作品の質問を中心に訊いていきました。
まずこの99年に世界的な話題となっていたドニー兄貴の師匠である袁和平がアクション監督を務めた「マトリックス」(99)について訊くと、ドニー兄貴は「まあ・・・いいんじゃない?」的な返答(^_^;)。
私が「いやもうちょっとフランクな意見をお願いします」と粘ると、ドニー兄貴はニヤッとしながら「フランクなアンサーか・・・じゃあ〇×●△ってとこだな」とちょっと突っ込んだ意見を言ってくれました。
続いて、私が訊いたのが徳賓公司が企画したブランドン・リー主演「ファイヤードラゴン」(86)の続編「ファイヤードラゴン2」で、実はこの「~2」ではブランドンとドニー兄貴の夢の共演(!)が決まっていたのですが何故か作品がお蔵入りしてしまったんですね。
それに対するドニー兄貴の答えが「だって「ファイヤードラゴン2」撮る前に徳賓が潰れちゃったんだよ」との実に明快なアンサーが返って来ました(^_^;)。
さらに私が質問したのがこれまた当時注目を集めたドニー兄貴と周星馳が主演し、葉問と李小龍の師弟関係を描く作品「小龍與我」についてでした。
この作品も色々あってお蔵入りしてしまったんですが、ドニー兄貴の答えが「だって俺と周星馳でどっちが李小龍を演じるかで喧嘩になっちゃってさ!」と同じく明快なアンサーでした。
でも今改めて思うんですが、近年のドニー兄貴主演「イップマン」シリーズの大成功に先駆けるとこと約10年前に、もしこの「小龍與我」が実際に制作されていたら、果たして「イップマン序章」(08)が誕生していたかどうか、本当に興味は尽きませんね。
と、ここまで順調にインタビューが進行していたんですが、私がやっと「ドニー・イェンCOOL」の質問に入ってドニー兄貴に2つ、3つ質問したところで、無情にも配給側の女性から「はい、時間です!」とインタビュー終了の合図が入り、私たちは仕方なく野外でのフォトセッションに向かう事になりました。
しかし、ここで私は「渡すのは今しかない!」とバッグの中から今日この日のために持参した“ある物”を取り出したのです。そう、それこそその年に私が上梓したばかりの拙著「香港功夫映画激闘史」でした。
私がドニー兄貴に英語で「ドニー、これ最近僕が書いた本です。今日プレゼントしたくて持って来ました。本の最後の章がドニーの章です!」と「~激闘史」をドニー兄貴に手渡すと、ドニー兄貴は驚いた表情で「おお~!これジローが書いたのか?俺のチャプターがあるの?じゃあジロー、本にユーのサインを入れてくれよ!」と嬉しい申し出をしてくれました(^_^)。
私が「じゃあ90年代のブルース・リー、ドニー・イェンって入れようか?」と訊くと、それまでニコニコしていたドニー兄貴が少し真面目な顔になって、それからちょっと照れたような表情で「いや・・・2000年代のブルース・リーって入れてくれないか?」と答えました。
私は「なるほど(笑)。オーケー!」と応じると、「激闘史」の表紙の次の頁に「To Donnie Yen,Bruce Lee for 2000 !! Jiro Chino」とサインを入れた「激闘史」をその場でドニー兄貴にプレゼントしたのでした。
今から思えば、この日から10年後にドニー兄貴がブルース・リーこと李小龍の師匠である葉問に扮した「イップマン」シリーズで、実際にドニー兄貴自身の言葉通りに“2000年代のブルース・リー”を彷彿するような超級武打星の座に駆け上がる事になろうとは、この時の私は想像も出来ませんでした・・・。
さて、会見場の外のフォトセッションの撮影予定場所に向かう途中、私はドニー兄貴と並んで歩く幸運に恵まれました。
ここで私はこの「ドニー・イェンCOOL」の副題「最も、死亡遊戯・・・。」が脳裏に甦り、以前からどうしてもドニー兄貴に訊きたかった事を英語で直接訊く事が出来ました。
そうです、その質問こそ「死亡遊戯」でした!!以下、私とドニー兄貴の歩きながらの会話を本邦初のノーカットでお届けします。

龍熱「ドニーは「死亡遊戯」のラフカット(96分版)は観てるの?」
ドニー兄貴「オフコース!勿論さ。観てるよ」
龍熱「(心の声で)きっとベイ・ローガンがダビングしたんだな・・・」
ドニー兄貴「もしあの「死亡遊戯」のフッテージを俺に編集させてくれたら、ベストの「死亡遊戯」を作る自信があるんだけどな」
龍熱「ドニーは何時か「死亡遊戯」のリメイクを撮りたいの?」
ドニー兄貴「うう~ん、只のリメイクじゃなくて、ブルース・リーが「死亡遊戯」で訴えたかった思想や哲学を盛り込んだ作品を撮ってみたいんだよ」

ここまで2人で話したところで、フォトセッションの撮影場所に到着したためドニー兄貴との「死亡遊戯」談義はストップしたのですが、これまた今から思えば、私とドニー兄貴が「死亡遊戯」に関してこのような突っ込んだ会話を2人でしていたとは・・・改めて驚きですね。
そしてフォトセッションでは、ドニー兄貴信者で巨漢カメラマンのK氏の要求にご機嫌で様々なポーズを取ってくれたドニーですが、その写真の中の1枚が拙著「香港クンフー映画評論集/龍熱大全」のドニー兄貴の章に収録した写真です。
そしてその和やかな雰囲気で行われたフォトセッションが終了した後に、ドニー兄貴は私がプレゼントした「香港功夫映画激闘史」を手に持ち、「こんな感じのポーズでいいかい?」と「Good !!」の決めポーズと共に最高の笑顔(^_^)で写真に納まってくれたのです。
実はこの“最後の本格派”と「香港功夫映画激闘史」の“奇跡のツーショット写真”は、私が自室に飾っている98年に私がドニー兄貴と初めて対面した時に新宿の路上で撮ったツーショット写真の額の裏側につい数ヵ月前まで、ほぼ19年の間仕舞われたままでした。
それが私が何気に「そうだ、あのドニー兄貴とのツーショット写真の額、ちょっと綺麗に掃除しよう!」と額を手にした瞬間、何故か額に入ったガラスが外れて裏側に入っていたこの“奇跡のツーショット写真”が私の手に舞い落ちて来たんですね。
「あ!こ、これは!?そうだ。これはあの時にドニーと撮った写真だ・・・。こんなところに仕舞ってあったんだ」
私は自分がドニー兄貴とこのような写真を撮っていたのを忘れていた事に唖然とすると同時に、今では世界のスーパースターとなった武打星が私こと龍熱の代表的な著作を手に持ち「Good !!」の決めポーズと共に快く写真に納まってくれていた、という余りにも素晴らしい奇跡に感無量でその場に立ち尽くしていました。
そして私こと龍熱は今回皆さんに思い切って公開に踏み切ったこの“奇跡のツーショット写真”を何時の日かドニー兄貴が来日した時に是非プレゼントしようと固く誓うのと同時に、その際はこの“奇跡のツーショット写真”にドニー兄貴の直筆で「To Jiro,I made it.I`m Bruce Lee for 2000 !! Donnie Yen」とのメッセージを入れて貰いたいと思っています。


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