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不妊症の漢方治療

2008-04-02 07:36:25 | ブログ

無排卵性不妊症でもあきらめないでください。排卵誘発は漢方で可能です。

具体的症例から

31歳 無排卵性月経 不妊症を克服した症例

 

中国では排卵誘発漢方療法があります。私が留学していた上海中医薬科大学 婦人科 張寧寧教授の症例です。私はこの症例を見て、漢方治療のすごさを実感しました。

結婚前から生理不順、結婚後数年来不妊症でした。顔面、背中などにニキビ様の病変があり、化膿している局面もありました。基礎体温表では極く短い高温期が2日程度しかなく、体温の下降とともに生理になります。超音波検査等で器質的な疾患はありませんでした。

無排卵性月経 不孕(日本語で不妊の意味です) 湿熱瘟結と診断され、清熱湿、促排卵を原則に、月経周期療法を開始しました。

排卵期に促排卵方として当帰 熟地 白芍 馬鞭草 巴戟天 仙霊脾 女貞子 香附子 菖蒲 桂枝 紫石英などを煎じて服用しました。半年後に妊娠、しかも双子でありました。ダブルの喜びです。

中国での無排卵性不妊に対する方剤

調経助孕湯 

 熟地黄 当帰 川 枸杞子 菟絲子 山茱萸 柴胡 白芍 肉従蓉 

仙霊脾 巴戟天(気虚には紅参須 黄耆を加味、血虚には藤を加味

には桃仁 紅花を加味)

服用方法は連日で30日で1クールとします。

86例中27例が基礎体温表に変化が現れ、一相性が排卵性の二相性に変化したと湖北中医雑誌1999(8)367に発表されています。

速孕金丹

紫石英 紫河車 丹参 鹿角 ?板 香附子 仙霊脾 巴戟天 

蜜丸を毎日2回 排卵期には毎日3回 3ヶ月で1クールとします。

60例中基礎体温表が二相性に変化し妊娠したもの46例、二相性に変化したがまだ妊娠していないもの6例、二相性と単相が混じるもの6例、無効2例で、総有効率が96.7%であったと安徽中医臨床雑誌 200114に発表されています。

面白いことには紫石英は宝石の一種で、温肺暖腎作用があるとされ、古来より 宮寒不孕といって、子宮を取り巻く衝任脈の寒症による不妊症に効果があるとされますが、私は日本での使用経験はありません。

補腎調経湯

菟絲子 枸杞子 熟地 何首 黄精 党参 仙霊脾 当帰 白芍 白朮

香附子 女

卵胞発育期には、熟地 黄精 何首烏の量を増やし阿膠を加える

排卵期には、丹参 益母草を加える

黄体期には、鎖陽 仙茅 炮附子を加える

月経期には、白芍 党参 黄精 仙霊脾 熟地を除き 桃仁 沢蘭 赤芍を加えるという月経周期療法を行います。補腎薬を多く使用するのが特徴です。さらに、症例にあわせて、

陰虚火旺には黄柏 知母を加える

精神不安定、肝鬱には柴胡を加える 肝鬱が長くなり化火となった場合は、夏枯草 草を加える 

血証には 乳香 没薬 穿山甲を加える

痰湿証には制半夏 茯苓 南星を加え、熟地 白芍 黄精を除くとあり、

連日服用し、3ヶ月で1クールとします。

子宮発育不全の場合は甲状腺ホルモン療法を併用します。

80例中治癒例(排卵が生じ、妊娠した例)が41例、排卵が生じたものの妊娠にいたらなかった例が25例であったと天津中医学院学報 1999329 に報告されています。

促卵胞湯

?板 熟地 山薬 山茱萸 覆盆子 当帰 桃仁 柴胡 香附子 白芍 

菟絲子 炙甘草

月経前5日で服用開始 連続10日間 閉経者はプロゲステロンを注射、消退出血が出現してから再度服用します。

卵管不通者は通水術を併用、抗精子抗体が陽性の場合はコンドーム避妊を

36ヶ月続けます。

40例の無排卵性不妊を2ヶ月から2年にわたって治療観察したところ、

妊娠成功は30例 無効10例で、総有効率75%であったと天津中医 1999(1)48に報告があります。

留学中に感じたことは、漢方治療の有効性はもちろんのこと、西洋医学と近代の漢方医学が、お互いを排斥せずに、両者の長所を認め合っているということです。

日本では、明治以来、医学といえば欧米を中心とした西洋医学オンリーが大学教育の中心です。従って、医師の大半は、単に西洋医学の病名に対応するエキス剤漢方処方が主体であり、基本的な漢方診断ができない場合がほとんどです。

近代漢方の診断は、西洋医学の診断と、患者一人ひとりの体質診断を総合したものです。

不妊症の漢方治療のお問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 岡本康仁堂クリニック