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不妊症の漢方治療

2008-04-10 01:06:25 | ブログ

生理期の頭痛を伴う症例

生理期の頭痛を中医学では「経行頭痛」といいます。不妊症には経行頭痛を伴う場合が少なくありません。逆に、経行頭痛の原因を治療することによって不妊症の治療につながることもあるのです。

血虚頭痛 最も多いタイプの経行頭痛

元来、貧血気味の婦人が、生理による失血が原因の血虚によって起こる頭痛です。綿々とした頭痛あるいはボーっとした頭痛とたとえられます。眩暈を伴うこともあります。もともと血虚であるために生理量が少く、生理の色も淡紅色で、淤血を思わせる血塊が混じらないのが特徴です。血虚とともに気虚を伴うことが多く、気虚不摂血によりだらだらと生理が続く経期延長を伴うことあり ます。舌質は淡で、脈は細無力です。臨床的に血虚が単独で存在することは稀であり、気血不足(気血両虚)と区別はつきにくいものです。

治療原則は滋陰養血 寧心調肝です。 

私は以下のような生薬を使って治療します。

 枸杞子 甘菊花 熟地 山茱萸 准山薬 丹皮 茯苓 紅花

桑椹子(桑の実)(滋陰補血 生津 潤腸の働きがあります)

丹参 当帰 蔓?子(まんけいし)など

気血不足が存在すると、月経の来潮と密接に関係している子宮から起こる衝脈(しょうみゃく)=“血海”が空虚になりやすく、妊娠を主宰する任脉(にんみゃく)も充実されず、受精卵の着床障害などの原因になります。

肝火上炎 生理前に情緒不安定になり、うつや怒りっぽくなるタイプ

このタイプの頭痛は、普段からストレスの多い生活をしていて、生理前になると、乳房が極端に張って痛むとか、いらいらがつのり怒りっぽくなったりすることがあります。また、のぼせやくらくらするような眩暈を感じることがあります。はなはだしい場合は、喉が渇き、口が苦い感じがすることがあります。内熱のために生理予定より早めに来る事があり(月経先期)、生理の量は多く(月経過多)、色は鮮紅色です。舌質は紅く、黄い苔で、弦をはったような脈で頻脈傾向です。

治療原則は疏肝解郁 清熱瀉火です。

丹皮 梔子 当帰 白芍 茯苓 醋炒柴胡 鈎藤  口丁茶 菊花6

大小?なの生薬を用います。

肝火上炎は低温期の体温の不安定につながり、高温期には体温が上がりすぎるか、高温期が長引く傾向が出現する場合があり、これも不妊症の原因となります。

頭痛 針で刺されるような痛みが特徴

冷えを伴っていることが多い経行頭痛です。生理の量は不定で、色が暗紫色で 血塊が混じります。下腹の冷えと痛みを伴うことが多く、舌診では斑(おはん)が観察され、脈は細です。

治療原則は活血化 通絡止痛です。

活血湯などを用います。

桃仁 紅花 赤芍 川 老葱 糸瓜絡 石菖蒲 乳香 没 地竜 丹参 茱萸などが使用される基本生薬です。

淤血そのものよりも、淤血の原因となる気滞、寒凝などが不妊症の原因になると中医学では考えます。

痰濁頭痛 肥満型の婦人に多いタイプ

このタイプの経行頭痛は張痛といい、頭が張った感じで痛む、あるいは帽子をかぶっているような頭重感があり、高頻度で眩暈や胸苦しさ、嘔気を訴える場合があります。舌はぼてっとした胖大舌で、舌の辺縁には歯痕があり、脈は脈細いことが多いようです。顔面が浮腫みっぽいこともあります。

治療原則は燥湿化痰 和絡止痛です。

湿は内湿を示します。日本人女性は寒湿が体内にたまる場合が多いのです。

内湿は脾虚による水質の運化障害によって起こります。湿と痰は水質の病理産物で、前稿にも書きましたが、寒湿や痰は脾胃の昇降機能を生じさせるので胃気上逆(吐き気)が起こります。

目に見えない「痰」の特徴は、

病を長くさせる。久病挟痰、怪病挟痰という概念がある。

気血のめぐりを阻害し、気滞、血を生じさせる

多種多発の性質を持つ

神明を擾乱(じょうらん)する(精神を混乱させる)

舌苔が粘?(ねんじ)(診察した場合である)

体が肥りやすい(必ずしも当てはまらない場合もある)

など、さまざまな悪影響を人体に与えます。

当然、自然な妊娠が阻害されることは言うまでもありません。

方剤としては、温胆湯、半夏白朮天麻湯を基本にします。頭痛がひどい場合には、これらに川、白、蔓?子などを適宜加味します。

生理期と関係する頭痛はおろそかにすべきではありません。妊娠しにくい体質が原因となる頭痛が多いのです。

不妊症の漢方治療のお問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 岡本康仁堂クリニック