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不妊症の漢方治療  高プロラクチン血症

2008-04-25 03:03:47 | ブログ

生理不順 乳汁分泌には漢方薬が効く

きめ細やかな漢方治療の特徴

妊娠していないのに、乳汁が出て、かつ不妊症である原因は高プロラクチン血症です。プロラクチンは乳汁分泌ホルモンともいい、母乳を出すホルモンですが、排卵を抑制する働きがあります。脳下垂体から分泌されるホルモンで、妊娠により分泌が亢進します。プロラクチンが妊娠していないときに過剰に分泌されると、排卵障害が起きて月経が不順になります。
プロラクチンは、脳下垂体から出るホルモンですが、その分泌をコントロールしているのは脳下垂体の上部にある視床下部です。
視床下部は、自律神経の中枢であり、ストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、プロラクチン分泌刺激が亢進して、高プロラクチン血症になると考えます。

プロラクチンが高いと、FSH(卵胞刺激ホルモン)LH(黄体化ホルモン)の分泌が低下して、成熟卵胞が出来にくい、黄体が少なくなり不妊症の原因になります。主な症状としては、乳汁が出る、生理前の乳房の張り、生理の遅れ、無月経などです。

伝統医学に学ぶ

中国では昔から、母乳を止めたいときは、炒り麦芽を煎じて飲んでいました。
逆に母乳が出ない時は、穿山甲を使いました。いずれの場合でも、乳房が熱を持って痛むときは蒲公英などの清熱解毒薬を外用しました。

乳房全体は胃経、乳頭は肝経に属します。

麦芽は脾胃肝が帰経です。ご存知のとおり消化剤です。母乳の必要が無い場合に、乳汁分泌を止める作用を中国では「回乳」といいます。民間では、小麦粉と麦芽の湿布で乳房の緊張を除くことがされています。麦芽によってプロラクチンが有意に低下します。

逆に母乳の必要性がある場合に乳汁分泌を促すことを「下乳」といいます。

穿山甲(せんざんこう)の「下乳」作用が中国では古くから知られていました。

穿山甲は肝胃が帰経です。血液循環を活発にさせ生理を起こさせる活血通経作用、「下乳」作用、排膿を促し、腫れを除く消腫排膿作用を有します。

薬剤の副作用や脳下垂体の良性腫瘍が原因の高プロラクチン血症がある

妊娠以外にプロラクチンが過剰に分泌される場合に、プロラクチンを産生する脳下垂体に腫瘍ができている場合、甲状腺機能が低下している場合、薬剤の副作用によりプロラクチン分泌が亢進する場合があります。プロラクチン分泌を亢進する薬剤としては、向精神薬の一部、胃潰瘍の薬、吐き気止めの薬などがありますので、注意が必要です。もちろん、いろいろ調べても原因が特定できない場合もあります。プロラクチンに対する感受性の亢進などが考えられています。

以上をまとめると、プロラクチンが高くなる原因は下記のようになります。

睡眠中、授乳時の乳腺への刺激、妊娠、精神的ストレス

中枢神経に作用する薬剤(イミプラミン、ハロペリドールなど)

降圧剤の一部(アルファメチルドーパ、Ca拮抗薬の一部など)

抗潰瘍薬 (シメチジンなどのH2-ブロッカー)

吐き気止めなどの胃腸薬の一部

経口避妊薬などのホルモン剤

下垂体腫瘍、甲状腺機能低下症、多嚢胞性卵巣

高プロラクチン血症に対する西洋薬

商品名:テルロン:成分テルグリドや、商品名:パーロデル:成分ブロモクリプチンなどがあります。治療効果は優れていますが、吐き気などの副作用が頻繁に認められます。週1回の内服で治療できる商品名:カバサール:成分カベルゴリンも、使用され始めています。

高プロラクチン血症に対する中国漢方処方

中医学では「閉経」と「乳泣」という婦人科領域の学問に相当します。

代表的な処方例を紹介します。

黄耆 山楂 白芍 麦芽 沙苑子 枸杞子 柴胡 甘草

疲れやすいなどの症状がある場合です

柴胡 丹皮 山梔子 茯苓 当帰 赤芍 青皮 紅花 麦芽 牛膝

  ストレス性の精神抑鬱が強く、生理がとまってしまった場合などです。

当帰 柴胡 白朮 茯苓 薄荷 香附子 青皮 白芍 麦芽

  同じくストレス性のもので胃腸障害などを併発している場合です。

麦芽 丹参 益母草 茯苓 当帰 女貞子 旱蓮草 川断 沢蘭 白朮 

香附子 仙霊脾 丹皮 山梔子 柴胡 川牛膝 陳皮

  虚弱体質で、かつストレスなどにより生理がとまってしまった場合です。

     各々、患者さんの体質に合わせた処方例です

このうち太文字の生薬についてご紹介します。中国では、古くから民間で広く使用されてきた生薬です。

赤は温薬グリーンは平薬ブルーは寒涼薬です。

さんさ

帰経:脾胃肝

効能:消食化 活血散

油性の消化不良に有効、高脂血症、動脈硬化にも有効)

五年以上の古い山を入れて料理すると鶏肉がやわらかくなります。

肉500gに山1020gを加えて調理すると脂肪が吸収されにくくなり、

毎日茶のようにして飲むと高脂血症、抗動脈硬化作用があります。

活血散作用は主に、産後の悪露を早く出させる目的に用います。

沙苑子

しゃえんし