脱メタボリック症候群の漢方治療
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)の効用④
ニキビと防風通聖散
防風通聖散が効くのは「胃熱タイプ」のニキビです。
胃熱タイプのニキビの特徴
胃熱が上攻するので口周囲に好発します。湿熱により、顔面、胸背部に粟粒大の赤色丘疹が出ます。よく見ると、丘疹頂点に黒点が観察できることがあります。胃熱のために口臭があることがあります。食べてもすぐにお腹が空くような胃熱亢進のための食欲亢進があります。舌質は紅く、内熱のために舌苔は黄色っぽく、脈は滑数が多いようです。
調胃承気湯(ちょういじょうきとう)が基本方剤です。
大黄、芒硝、炙甘草が組成です。
防風通聖散には通便剤である大黄、芒硝が配合されています。
大黄は泄熱通便により胃熱を清するほかに、解熱、消炎、抗菌、さらに利胆作用を持つ。焦がした大黄は血液凝固促進作用で止血を助けます。瀉下作用により、腸管内の内熱とともに、毒素を糞便で排出させます。
その他のニキビの漢方治療
ポイントは便秘傾向があるか?或いは 軟便下痢傾向か?ということです。
冷たいものを飲むと体調がよくなるのか?あるいは暖かいものを飲むと体調がよくなるのか?も大きなポイントです。
肺熱タイプ
顔面に粟粒ぐらいの大きさのニキビが出現します。特に鼻周囲に好発します。加えて口や喉、鼻の乾燥感があります。舌診では舌質紅で苔が黄色のことが多く、頻脈気味です。
枇杷清肺飲(びわせいはいいん) 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)などで治療します。
血熱タイプ
肺熱タイプと似ていますが、眉間に多発し、顔面の紅潮や、顔面皮膚の灼熱感があり、顔面の毛細血管拡張が認められる場合があります。
温清飲(うんせいいん)を基本処方とします。
淤血タイプ
ニキビが暗色あるいは紫紅色で、硬結あるいは色素沈着、毛包の角化、瘢痕を伴うことが特徴です。淤血による月経痛や経血中に血塊があり、舌診で淤斑や淤血点が認められます。
通竅活血湯(つうきょうかっけつとう)などが基本的な方剤です。
気血両虚タイプ
ニキビはパラパラと散在性で、色は淡紅・正常色です。ニキビ内部で化膿圧迫しても潰壊しないことや、なかなか直りにくい傾向があります。疲れやすく、顔色に艶が無く、軟便あるいは下痢気味です。 舌質は淡であり、脈は虚弱です。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や帰脾湯(きひとう)加減で治療します。
このうち、肺熱タイプと血熱タイプには移行型が存在します。また、気血両虚タイプには淤血タイプを合併する場合もあります。それぞれ、漢方の専門医に診断を仰ぎ、適切な治療を行えばニキビは軽快するものです。
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漢方専門医院 岡本康仁堂クリニック
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