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紫斑病性腎炎 多方多法治療 張琪氏医案5(腎病漢方治療319報)

2014-04-08 00:15:00 | 漢方市民講座

前案までに順に「犀角地黄湯」「清心蓮子飲」「理血湯」「小薊飲子」「黄耆建中湯」「当帰拈痛湯」「清心蓮子飲」「知柏地黄丸」「参蓍地黄湯」が出現しました。さて、本案ではどのような方剤が現れるのでしょうか?( )内に随時、コメントや印象を入れます。

それでは医案に進みましょう。

患者:李某、8歳 男児

初診年月日20041229

主訴:四肢皮膚紫斑半月余

病歴

半月前、腹痛、四肢皮膚紫斑にて、某病院にて紫斑病性腎炎(検査不詳)と診断され、入院、ステロイド治療を受けたが、効果不明瞭、遂に氏の病院受診。

初診時所見

腹痛、嘔吐、皮膚には陳旧性の出血点が散在、手足心熱、舌淡紅、滑潤、舌苔白、脈弦緊。尿RBC50/HP以上、WBC34/HP、尿蛋白3+、潜血3+。

中医診断:紫斑(外感温湿疫毒)

(外感である証拠はありません。急性の伝染病の「疫病」でもありません。従って外感温湿疫毒と判断する根拠は現在のところ全く不適当でしょう。何らかの伝染病の流行があったのかも知れませんが。)

西医診断:紫斑病性腎炎

治法:清熱涼血、緩急止痛

方薬犀角地黄湯芍薬甘草湯合方加減:

白芍20g 甘草15g 槐花(涼血止血)15g 地楡涼血止血、解毒収斂)15g 貫衆(清熱解毒止血)15g 小薊(涼血止血)20g 白茅根(涼血止血 清熱利尿)20g 側柏葉(涼血止血)10g 白朮(健脾燥湿)15g 茯苓(利水滲湿)15g 山薬(健脾益気)15g 黄耆20g 太子参15g(参耆で益気生津) 焦梔子(清熱解毒止血)10g 牡丹皮(清熱活血涼血)10g 水牛角(清熱涼血解毒)15g 当帰(養血)15g 陳皮行気和中化湿)10g 砂仁(化湿行気和中)10g 紫蘇10

14剤、水煎服用、毎日一剤、早晩分服。

(白芍と甘草は白芍甘草酸甘化陰となり補陰の意味合いを持ちます。緩急止痛の定番です。犀角地黄湯備急千金要方中の方剤で、犀角水牛角30g生地30g 赤芍9g 牡丹皮9gからなる方剤です。

主治熱盛動血証 証:各種出血 斑色紫黒 神昏譫語 身熱 絳舌

功能:涼血散血(止血)、しかし犀角の代わりの水牛角、牡丹皮だけで犀角地黄湯加減とは少し言いすぎではないでしょうか?なにしろ生地黄の養陰清熱が配伍されていません。結局、四診では生地黄が配伍されます。加えて初診の方薬には益気養陰の参耆も配伍されているのです。)