前報では「犀角地黄湯」「清心蓮子飲」「理血湯」が出現しました。さて、本日はどのような方薬が出現することでしょうか。それでは医案に進みましょう。
患者:郭某 15歳 男児
初診年月日:2006年5月17日
主訴:反復皮膚紫斑三ヶ月余
病歴:
3ヶ月前皮膚紫斑が出現、ハルピン市小児病院にて過敏性紫斑病と診断され、ステロイド治療8日間にて紫斑は消失したが、停薬すると再発、その後中薬治療を受けたが効果不十分、治療を求め氏を受診。
初診時所見:
紫斑が散在、痒みは無い、大便一回/日。紫斑が出現と共に胃痛が出現、紫斑が消えると胃痛も消失。双下肢皮下出血、舌質紅、苔薄白、脈滑数。尿蛋白+、潜血3+、RBC10~15個/HP。
中医診断:紫斑(毒熱蘊結、迫血妄行)
西医診断:紫斑病性腎炎
治法:清熱解毒、涼血止血
方薬:
紫草(清熱涼血)15g 牡丹皮(清熱活血涼血)15g 側柏葉(涼血止血)20g 茜草(涼血化瘀止血)20g 仙鶴草(収斂止血)30g 白茅根(凉血止血、清熱利尿)30g 生地黄(養陰清熱)15g 焦梔子(清熱解毒止血)10g 小薊(涼血止血)30g 蒲黄(収渋止血、行血祛瘀)15g 海螵蛸(収斂固渋)15g 白芍(養営斂陰)20g 当帰(養血)15g 桂枝(通陽)15g 玄参(清熱解毒養陰)15g 麦門冬(養陰)15g 金銀花(清熱解毒利湿)30g 連翹(清熱解毒利湿)20g 甘草15g
14剤、水煎服用、毎日一剤、早晩分服。
二診 2006年5月31日
14剤服薬後、紫斑は出現しなくなった、朝方服薬後胃脘不快、舌質紅、苔薄白、脈滑。尿RBC10~15個/HP、潜血2+、蛋白(-)、脾気虚、胃中寒(寒涼薬を服用すると胃脘不快が出現)を考慮して、健脾温中を主として、涼血収斂止血に改める。
方薬:
白朮(健脾燥湿)15g 茯苓(健脾利水滲湿)15g 砂仁(化湿行気和中)10g 陳皮(行気和中化湿)15g 仙鶴草(収斂止血)20g 茜草20g 桂枝10g 白芍15g 三七粉(化瘀止血 活血定痛)10g 小薊30g 水牛角(清熱涼血解毒)20g 焦梔子10g 炮姜(乾姜を炮じて炭化したもの、温裏効果は乾姜に劣るが、温経止血作用がある)10g 藕節15g 地楡炭(地楡の効能は