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パニック症候群の漢方治療 続編

2008-03-21 13:09:30 | パニック症候群

気滞湿阻(きたいしっそ) 気滞痰鬱(きたいたんうつ)

漢方に“怪病に痰多し”あるいは“怪病挟痰”という教えがあります。

原因不明の病気にはが原因となっている場合があるという考え方です。

脾は生痰の元(源)、肺は貯痰の器」といい、痰、特に目に見えない痰の原因は脾の水質運化機能の衰えと漢方の世界では考えます。

このタイプの不安神経症(パニック症候群)は体に悪い湿や痰が溜まっている場合の精神不安定と言えます。

診察では、

舌苔が白く厚く生えている人が多く、「湿、痰」が体に溜まっている状態と推察できます。

問診では、

常に体が重く感じられ、息が詰まる感じや喉に何かが引っかかる感じがあり、頭も帽子がかぶさっているような気分になり、精神的に落ち込みやすくなることが多いようです。

精神的なストレスは気の流れを悪くさせます。この気の滞りを気滞といいます。気の基本的な作用である推動作用が低下すると、痰が喉の部分に鬱結(うっけつ)することが多く、息が詰まる感じや、喉の異物感を感じ、急に食欲が無くなり、喉の閉塞感で吐き気がすることがあります。また、脾虚の場合には、だるさや眠い感じが一日中続くことがあり、痰湿のたまった体は重く感じられます。

また痰濁頭痛といい、帽子をかぶっているような頭痛を感じます。痰濁性の眩暈(めまい)などがあることが多いのです。――頭痛 眩暈は脳外科の病気ではありません。

脾の水質運化の低下により、漢方で胃中停飲といい、胃液が胃内に滞りやすくなり、嘔気の際にすっぱい水が上がると訴える場合もあります。水湿が腸に停滞すると下痢を起こしやすくなり、下痢の後は便秘気味になるという交替性便通異常が生じます。――消化器内科専門の病気でもありません。

痰湿が体内にたまると、骨盤に注ぎ(これを下注と漢方ではいいます)おりものが多くなることもあります。--婦人科の特別な病気ではありません。

痰は体中の経絡を塞ぐ作用があり、手足の痺れや、肩こり、背部痛の原因ともなります。――整形外科の病気でもありません.

息を吸い込みにくい感じは痰湿が心胸部に溜まり、気機を阻害するために生じます。――呼吸器内科の病気でもありません。

 痰の停滞が長くなると熱化してきて「痰火」になり、心を脅かし(痰火擾心といいます)、動悸の原因となります。――心電図ではほとんど異常が出ません。

  よく使われる方剤

蒼附導痰丸(そうぶどうたんがん)や半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、温胆湯(うんたんとう)などを選択して使用します。

ここでは温胆湯を紹介します。

温胆湯(うんたんとう)

半夏 陳皮 茯苓 炙甘草 竹茹 枳実 

生姜 大棗と水煎服用

参考までに 漢方の温胆湯証をあげれば、

証:寒熱起伏 胸痞腹張 ?

(胖大舌、歯痕舌)脈滑(痰熱の場合は数)不寝 嘔吐 頭痛 眩暈

となります。日常用語でなく、漢方用語ですが、興味のある方は清書で調べてください。

痰熱には:寒涼剤の竹茹  ? 黄連 などを一緒に使うのが原則です。

つまり舌苔が黄色になっている場合 脈が数の傾向になった場合などですが

半夏厚朴湯(半夏 厚朴 茯苓 蘇葉、生姜)に竹茹 黄 瓜?などを加減してもよいと思います。

心火(しんか)の強い場合、動悸、不眠、口内炎が頻繁に生じる場合には、清心火の作用を持つ黄連(おうれん)を加えた黄連温胆湯を用います。

不安神経症(パニック症候群)のその他のバリエーション

精神的なストレスで思い悩むうちに抑鬱傾向が出てきて、よくため息をつき、食欲も無くなり、場所の定まらない腹痛などが出てくる肝気鬱結タイプや、イライラ怒りっぽい性格で、仕事上のストレスが溜まりに溜まって頭痛、眩暈などの上に精神不安定症状がでてくる気鬱化火タイプなどがあります。日本では気鬱化火タイプには加味逍遥散(かみしょうようさん)が愛用されています。それぞれ、正確な弁証(診断)をして、適切な漢方薬を服用すればパニック症候群を乗り越えられます。


これらのタイプの生活上の防止策は?

上手にストレスを解消することです。ストレスや睡眠不足は

  1. 血を消耗し心血不足を起こす。

  2. 腎精を消耗し、体全体の陰、陽の根源を損なう。

  3. 「心(しん)」を損なう。

心(しん)は西洋医学での心臓とは意味あいが異なります。ポンプ作用としての心臓の機能の他に、「心(しん)は神志をつかさどる」とされ、精神状態のバランスをとっています。心(しん)が弱ってくるとまず動悸、不眠が出てきて、よく夢を見る、悪い夢をみてうなされるなどの症状が出てきます。

一般的にパニック症候群の方は十分な睡眠が必要です。不眠そのものが随伴症状となる場合が多いので、不眠の漢方治療も含めた総合的な漢方治療が必要となります。

お問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 岡本康仁堂クリニック