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子宮内膜症の漢方治療

2008-03-11 22:42:03 | ブログ

1年間の3分の2を生理通で苦しむ未婚女性の治療経験

困っている女性を見ると何かしてあげなくてはと気をもむ。子供のころに映画館で、悪代官に悪さをされそうになっている女性を見ると地団駄踏んで悔しがった。性根は大人になっても変化しない。

症例

 20台前半の美しい女性である。結婚予定の恋人はいるものの、すぐには結婚しないという。月の半分以上、生理前、生理中、生理後も激しい下腹部痛に悩んでいる。卵巣にはチョコレートのう胞がある。冷え性であり、やや便秘気味である。

もう少し詳しいデータを述べれば、

ダグラス窩に血性腹水あり、左右卵巣に、それぞれ5070mm、3644mmののう胞性腫瘤がある。CA1255690とやや高い。定期的に婦人科で検査を受けているがのう胞性腫瘤は次第にサイズを増しているとのこと。末梢血液、生化学検査では特に異常を認めない。

婦人科より、当帰芍薬散、加味逍遙散、八味地黄丸を処方されているものの、いっこうに生理痛も改善しないし、のう胞のサイズも小さくならないというわけで診察にお出でになった。

失礼な言い方かも知れないが、当帰芍薬散、加味逍遙散、八味地黄丸などでは症状は改善しない。漢方の素人医師は漢方処方をすべきでない。保健が効くからといって苦し紛れに処方する。これはいけないことである。医療費の無駄遣いなのだ。

漢方の真の治療法とは?

「子宮内膜症」の基本治療生薬として、試用される基本原則は以下のとおり。

温里散寒(おんりさんかん): 肉桂(にっけい)烏薬(うやく)

理気活血(りきかっけつ):香附子(こうぶし)益母草(やくも草) 

破血消腫(はけつしょうしゅ):劉寄奴(りうじーぬー) 

芍薬(しゃくやく)甘草(かんぞう)延胡索(えんこさく):痛み止めに用いる。

以上は薬剤必要最小限のものであり、当然、私が「こき下ろし」た 当帰芍薬散、加味逍遙散、八味地黄には含まれていない。

最終段は鎮痛効果の目的である甘草 芍薬 延胡索の組み合わせすら上記の方剤には含まれていないのである。ただし、子宮内膜症は単なる痛み止めの漢方処方では鎮痛効果は期待できない。

患者さんの体質に合わせてせんじ薬を作成する場合は、通常20種類程度の生薬数になる。ここで特殊な薬剤について紹介すれば、、、

第一に劉寄奴である。

劉寄奴(りゅうきど) 

心 肝 脾経に作用し、破血通 散淤消腫 斂瘡消腫 止痛に働くとされる。 

(寄蒿ジーハオ)の全草である。赤の温薬で表示したが、性味にはやや生産地によって特徴がある。