あれは・・・今年(2006年)の9月、余市味覚マラソンでの出来事です。
足をつって、肉離れを起こしてヒィヒィ言いながらゴールした俺に駆け寄ってきた「オッサン」がいました。
彼:いやぁ、最後に抜かさせてもらいました。。あ、俺もコンサドーレを応戦している者です。
親しげに話しかけてくる彼。が、俺はその存在をまったく分かりませんでした。なおも話し続ける彼、どうやら事情はこんなことのようです。
・今回が、初レース。
・俺の後ろをずっとついてきたらしい。が、走っているときは自分より前のランナーは分かるのだが、1歩でも後ろのランナーはまったく認識できないことに気づいていない。 俺も当然に「自分のことを知っている」と思いこんでいる。
・俺の結果は「1時間52分台」、一方彼は「1時間51分台」。それが嬉しいらしい。
で、彼の服装、これまたエキセントリックだったんですよ。上はカッパのTシャツ・下はカッパの海水パンツ、腕にはコンサのリストバンド。いやぁ、俺の服装もグチャグチャではありますが、この人はこの人で独特な世界がありました。
正直言って、「なんだ、この人?」という部分がなかったといえばウソになります。でもまぁそれなりに話し込みました。
俺:な~んだ、コンサ好きなの?だったらレプリカ着て走りなよ~。
彼:イ・イヤ、俺のレプリカ、背番号○○なんですよ・・・。
結構マニアックな背番号を入れている彼、このことでチョットだけ彼に興味を満ちました。
俺:ところで何で走ってるの?
まぁまぁ自分が聞かれても答えようもない質問を彼に投げかけました。すると彼からは予想もしていなかった答えが。
彼:来週、就職の面接なんです・・・。
そんなに若くもない彼、どうやら数年前までは農業関係の仕事をしていたのがいろいろあって札幌へ。札幌では市場関係のバイトをしていたのだが、この度「正社員」への道を目指すことになったんだそうで。で、その面接にハーフマラソンの「記録証」を持って行きたいと・・・。
冷静に言えば、「マラソンの結果と就職」って関係するの?ってところかもしれませんが、彼の前でその言葉を発するほど俺は「鬼」ではありません。
その場は「じゃぁまた・・・」と言って別れました。
それから1か月後。
10月、そうこの間行われた北海道ロードレースに彼の姿はありました。そこには背番号○○のレプリカを着た彼の姿が。
俺:イヤァ、また会いましたねぇ。調子はどうです?ところで昨日の10周年記念試合、行ったんですよね?
彼:いや、行きませんでした。行ったら今日駄目になると思って。前の大会から1か月間、ずっとジムで走り込みやってました。
なにかこう、悲壮感が漂っている・・・。この1か月の間に、彼に何があったのか知るよしもありません。
真駒内の競技場を、ゆっくりと並んで走りました。その顔つき、まるで背番号○○の選手が乗り移ったかのような、いかめしい表情で・・・。
スタートのピストルがなります。
まるで「短距離」でもやっているかのように人混みをかき分けていく彼、真駒内公園を抜けたときにはまったくその姿は見えなくなっていました。
次に、そして最後に彼を見たのは折り返し地点付近。
俺よりも遙かに前を、おそらくは1時間20分台の選手たちの集団に彼はいました。相変わらず全力ダッシュのような走り方で。いくらなんでもアノ走り方では・・。
折り返しを過ぎても、俺は相変わらずの「マイペース」です。というかダッシュとかできるような「脚」じゃないからなんですが。それでも後半に入り、バテてするずると後退する人たちを抜かしていきます。
やっぱり前半飛ばしすぎた人たちは16キロ辺りで極限状態になって行くみたいです。このころからなんですよね、ヘンなこと考え出したのは。
「彼を見たくない」
もちろん他人様のことを気遣う余裕なんて有りはしません。が、もし仮にバテて歩き出している彼がいたら・・・。やっぱり見たくはないよなぁ。
結局、俺がゴールしたのは1時間46分、一方彼は1時間39分だったようです。
ゴールしたときに、彼の姿を見つけることは出来ませんでした。ですから彼にとってこの結果が「満足」なものだったのかどうかは分かりません。
実は俺自身、コンサレプリカを着て走ると記録が1~2分早いんじゃないか?って気がしているんです。「うそだろ~」と思われるかもしれませんが、限界まで来たときのネバリが出るんですよ。う~んこれ、やってもらわないと分かってもらえないでしょうか?
今回、彼が出した1時間39分。40分をキレたのは、あの「○○選手の念」のような気がしてならないんですよ。
実際のところどうだったのかは分かりません。そして何より、彼の面接がうまくいったのかどうかが気がかりです。
どうか来年、またどこかの大会でお会いしましょう。そしてその時は、ウマい「ビ~ル」でも飲みましょう。アノ選手に、ちょっぴり感謝の気持ちを込めて。
足をつって、肉離れを起こしてヒィヒィ言いながらゴールした俺に駆け寄ってきた「オッサン」がいました。
彼:いやぁ、最後に抜かさせてもらいました。。あ、俺もコンサドーレを応戦している者です。
親しげに話しかけてくる彼。が、俺はその存在をまったく分かりませんでした。なおも話し続ける彼、どうやら事情はこんなことのようです。
・今回が、初レース。
・俺の後ろをずっとついてきたらしい。が、走っているときは自分より前のランナーは分かるのだが、1歩でも後ろのランナーはまったく認識できないことに気づいていない。 俺も当然に「自分のことを知っている」と思いこんでいる。
・俺の結果は「1時間52分台」、一方彼は「1時間51分台」。それが嬉しいらしい。
で、彼の服装、これまたエキセントリックだったんですよ。上はカッパのTシャツ・下はカッパの海水パンツ、腕にはコンサのリストバンド。いやぁ、俺の服装もグチャグチャではありますが、この人はこの人で独特な世界がありました。
正直言って、「なんだ、この人?」という部分がなかったといえばウソになります。でもまぁそれなりに話し込みました。
俺:な~んだ、コンサ好きなの?だったらレプリカ着て走りなよ~。
彼:イ・イヤ、俺のレプリカ、背番号○○なんですよ・・・。
結構マニアックな背番号を入れている彼、このことでチョットだけ彼に興味を満ちました。
俺:ところで何で走ってるの?
まぁまぁ自分が聞かれても答えようもない質問を彼に投げかけました。すると彼からは予想もしていなかった答えが。
彼:来週、就職の面接なんです・・・。
そんなに若くもない彼、どうやら数年前までは農業関係の仕事をしていたのがいろいろあって札幌へ。札幌では市場関係のバイトをしていたのだが、この度「正社員」への道を目指すことになったんだそうで。で、その面接にハーフマラソンの「記録証」を持って行きたいと・・・。
冷静に言えば、「マラソンの結果と就職」って関係するの?ってところかもしれませんが、彼の前でその言葉を発するほど俺は「鬼」ではありません。
その場は「じゃぁまた・・・」と言って別れました。
それから1か月後。
10月、そうこの間行われた北海道ロードレースに彼の姿はありました。そこには背番号○○のレプリカを着た彼の姿が。
俺:イヤァ、また会いましたねぇ。調子はどうです?ところで昨日の10周年記念試合、行ったんですよね?
彼:いや、行きませんでした。行ったら今日駄目になると思って。前の大会から1か月間、ずっとジムで走り込みやってました。
なにかこう、悲壮感が漂っている・・・。この1か月の間に、彼に何があったのか知るよしもありません。
真駒内の競技場を、ゆっくりと並んで走りました。その顔つき、まるで背番号○○の選手が乗り移ったかのような、いかめしい表情で・・・。
スタートのピストルがなります。
まるで「短距離」でもやっているかのように人混みをかき分けていく彼、真駒内公園を抜けたときにはまったくその姿は見えなくなっていました。
次に、そして最後に彼を見たのは折り返し地点付近。
俺よりも遙かに前を、おそらくは1時間20分台の選手たちの集団に彼はいました。相変わらず全力ダッシュのような走り方で。いくらなんでもアノ走り方では・・。
折り返しを過ぎても、俺は相変わらずの「マイペース」です。というかダッシュとかできるような「脚」じゃないからなんですが。それでも後半に入り、バテてするずると後退する人たちを抜かしていきます。
やっぱり前半飛ばしすぎた人たちは16キロ辺りで極限状態になって行くみたいです。このころからなんですよね、ヘンなこと考え出したのは。
「彼を見たくない」
もちろん他人様のことを気遣う余裕なんて有りはしません。が、もし仮にバテて歩き出している彼がいたら・・・。やっぱり見たくはないよなぁ。
結局、俺がゴールしたのは1時間46分、一方彼は1時間39分だったようです。
ゴールしたときに、彼の姿を見つけることは出来ませんでした。ですから彼にとってこの結果が「満足」なものだったのかどうかは分かりません。
実は俺自身、コンサレプリカを着て走ると記録が1~2分早いんじゃないか?って気がしているんです。「うそだろ~」と思われるかもしれませんが、限界まで来たときのネバリが出るんですよ。う~んこれ、やってもらわないと分かってもらえないでしょうか?
今回、彼が出した1時間39分。40分をキレたのは、あの「○○選手の念」のような気がしてならないんですよ。
実際のところどうだったのかは分かりません。そして何より、彼の面接がうまくいったのかどうかが気がかりです。
どうか来年、またどこかの大会でお会いしましょう。そしてその時は、ウマい「ビ~ル」でも飲みましょう。アノ選手に、ちょっぴり感謝の気持ちを込めて。