ヴァンディッツ札幌Z(ぜぇぇ~っと)

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美 蹴 ~ 第83回全国高校サッカー選手権大会を振り返って ~

2005-01-04 20:54:17 | サッカー一般
 今、これを書いているのが平成17年1月4日。全国高校サッカー選手権もベスト8が出そろったところです。
 この段階で「総括」するのもなんなのですが、我らが北海道代表・北海高校が宿敵鹿児島実業に敗れたため、記憶も新しいウチに書いておこうといった次第です。

さて今回の選手権、北海は次のような結果となりました。
   ※私がTV観戦できた試合を中心に書きます

[道予選]
  1回戦 VS 岩見沢緑陵  4-0
  2回戦 VS 帯広北    2-1
  3回戦 VS 駒大苫小牧  4-1
  準決勝 VS 旭川実業   4-1 (TV観戦)
  決 勝 VS 室蘭大谷   1-0  (TV観戦)  さて、北海が道代表に駆け上る過程、決して安易なモノでなかったことが対戦相手を見ても分かります。帯広北・旭川実業そして室蘭大谷、どこが優勝しても不思議ではなかった。でも抜群の攻撃力で相手を跳ね返していると思っていた・・・。
もうちょっと書くなら北海のシステムは4-4-2。でも、サイドバックの飛び出しはそんなに多くない(機能していないという意味ではない)。センター攻撃を核に組み立てていると思っていた。

 道予選のベスト4、北海・室蘭大谷・札幌第一・旭川実業。いずれも劣らぬ強豪校ではあるが、下馬評では次のような感じだったじゃないだろうか?
・旭川実業 ・・・ 本命。全体のバランスが機能。
 ・室蘭大谷 ・・・ 対抗。堅い守りと伝統。
 ・北海高校 ・・・ ダークホース。攻撃力がどれくらい通用するか?
 ・札幌第一 ・・・ 昨年の全国大会出場メンバーが抜け、チーム構成に苦戦。

こんなこともあって、全国大会では北海は苦戦を強いられる・・・、いやはっきり言って1回戦負けを予想していた。というのも、道内での攻撃力といっても全国ではまず通用しないだろう、との読みだったから。ところが・・・。

[全国大会]
1回戦 VS 徳島商業   2-0 (TV観戦)
2回戦 VS 韮崎     1-1(PK勝ち) (TV観戦)
3回戦 VS 鹿児島実業  0-1 (TV観戦)  1回戦、徳島商業戦。
 雪の中の壮絶な試合となった。[雪 = 北海有利]、この見方、ある意味では当たっているのだろう。いくら「冬場は室内でしか練習してません」といっても心理的アドバンテージは大きかったと思う。
 でも・・・、それ以上に驚いたのは降り積もった雪上での試合運び。私たちの時代と全く変わっていない。そう、細かなパスなど通用しない。ヘタに転がそうモノなら、ボールがどこでどう止まるか分かったものじゃない。そして縦へのロングフィード一辺倒となる。
 思うに、長いこと北海道のサッカーは「ひたすらディフェンスラインを固めてFWめがけてボールを蹴る込む」が主だった。これを「遅れた」戦法と言われていた。確かに細かなパス回し、敵を欺くフェイント、これらが全国的な流れとなり、北海道は取り残された地域と思っていた。だが、雪上のプレーを見ているうち、「雪上サッカーの名残では?」そんな思いがよぎってきた。今でこそ室内練習場が整備され、冬でもサッカー・フットサルの練習は出来る。だが当時、冬にサッカーをやるためにはアノ戦法しかなかったのでは?そんな思いで試合を見ていた。
 
 雪があったから勝った、それは間違いだ。雪があってもそれに対応できた北海が勝った。それを証明するためにも2回戦、何が何でも勝たなくては・・・。
2回戦、韮崎戦
 リードするも土壇場で同点に追いつかれPK戦に。北海のキーパー、2人目を止める、だが早く動いたとのことでやり直し。TV解説者も首を傾(かし)げる、あれがやり直しですかね~と。相手3人目、北海キーパー2人目と同じ間合いで相手を止める。このキーパーの意地を見た。

実はこのキーパーの動き、当然だったのである。それほど身長のないキーパーが相手を止めるためには、1歩前へ出ようとする。未だに巨漢キーパーの方が安定感があると思われているが、身長はゴールマウス2メートルの高さに手が届けばイイ。問題は横幅だ。3メートルあるそれを死守するためには当然瞬発力がものを言う。極論として言えば、11人中一番運動神経のイイ奴をキーパーにするべきだと思う。

 この北海のキーパー(2年生)、校内にキーパーコーチがいるのかどうかは分からないが、少なくとも中学時代、コンサU-15のメンバーとして専門の指導を受けてきたはずだ。そして室蘭大谷のキーパー(1年生)、この子はコンサつながりがあるかどうか知らないが、専門的指導を受けてきたに違いない。
今まで道内で、このタイプのキーパーはそう多くない。身長180センチ強の巨漢がゴールを守る、これが主流だったと思う。何かが変わりつつある・・・。
 3回戦、鹿児島実業戦
 実は去年のこの大会、札幌第一が敗れ去った相手がこの鹿児島実業だ。その時は力の差を見せつけられた、だがそれと同時に・・・。
 この手の話は相手に勝たない限り説得力がないのだが、九州のサッカーは全員サッカーでそつがない、北海道なんて足下にも及ばない的な話を聞いていた。だが札幌第一の方が遙かに全員サッカーをやったとともに、相手の強引さばかりが目立った、そして。
 去年の再現フィルムを見るよう、いやそれよりも遙かに北海のバランスがよい。決して攻撃のチームではない、むしろ守備のチームだ。と確信したとき相手によってチームの要(かなめ)DFが削られ退場・・・。

 やはり去年と同じだ。強引な突破、相手に振りきられると分かった瞬間・・・。プロなら何も言わない。高校生でこのプレー、ということはおそらく小学生時分からこのような指導を。
 確かに九州勢は強い、そつがない。それは九州の指導者そして選手達が長年の努力の上に成し遂げたもの、それを誰も非難できまい。だが・・・、いやこれ以上書かない方がいいのだろう・・。道内の指導者、高校・中学生よ。オジサンからのお願いだ!


「美しいフットボールで勝ってくれ」


※北海のみんな、ありがとう!
[私的参考]

 ◎◎少年団サポーターズ日記 「風は北から ~高校選手権を見て~ 04.1.5」


我らが「◎◎少年団」、4人の若者が指導にあたっている。
この4人の共通目標、これはあまり大きな声では言えないが、

「2年後は全道大会で優勝する!」

ということだ。しかしながら・・・、どんな世界にも空気を読まない人って1人はいるようで・・・・。
指導者の1人、この人、九州の某県代表として国体にも出場し、誰もが知っている某Jリーガーともチームメイトだったという人である。
 この人が・・・、


「北海道はレベルが低い!九州方式を取れば全道制覇なんてチョロい!」

 なんて平気で言ってしまうのである。もちろん本人に何の悪意もない。思っていることを素直に口にしてしまう。世慣れていないと言うか何というか・・・。この一言で他のコーチ達や親連中に反感をかわないだろうか?なんていう発想は彼にはないようだ。

  彼が言うには・・・、まぁ戦術面をゴチャゴチャ書くのも面倒なのでサラッと書くと、「九州のサッカー」というのは「全員守備・全員攻撃をメインとしたトータルフットボール」なのだそうだ。

そして1月2日、札幌第一vs鹿児島実業が行われた(高校選手権で)。

実は私、「札幌第一」という高校自体知らない。道内地方都市に住んでいると、札幌の私立高校というと、北海やら東海第四やらの甲子園常連校くらいしかイメージがないのだ。この高校がどこにあるのか、「第二」や「第三」があるのか、そして最も肝心の「どんなサッカーを目指すのか」もまるで分からない・・・。

幸いにも一回戦(札幌第一vs多治見(山口県代表))を見ることができ、札幌第一に対し多少のイメージを持つことが出来た。

[試合開始前の印象]

 ① ほとんどの選手が札幌市内・近郊の有名少年団出身。高校に入ってサッカーを始めたような子はいなさそう。

有名少年団の中では中堅どころだったのでは?
   ※各少年団(ジュニアユースを含め)のエース級はコンサなり、道外有名校へ進むと聞いていたため。

② 監督は長年指導されている方。

それぞれの選手が持つ「各少年団カラー」が払拭されているかどうかに関心が。

③ (TV中継を真に受けるならば)絶対的エースが負傷欠場。このピンチをどう乗り切るか?とのこと。

なんか、無理矢理「ドラマ仕立てに仕上げよう」というニオイが・・。

[試合終了後の印象]

① 運動量が多い。後半予想通り「足が止まった」ところで同点にされる。(その後決勝点をいれ、3-2で勝利。)


② サイドの切り崩しが有効。裏を返せばセンター攻撃はキツイ。
   センターから崩すためにボランチの攻撃参加が目立つ。この時のディフエンスラインを見たかったのだが、TVでは
  無理。

③ (全体として)
よくまとまっている。ただ、後半の2失点が気になる・・。集中力の持続が鍵か?

そして2回戦。

結果から行くと、前半早々に2失点。しかしながら後半0-0でトータル0-2で終了。

でも・・・、なんか拍子抜けの試合だった。前半のペースならば0-5で負けていたかもしれない・・。
何というのだろうか?もちろん鹿児島実業が「九州サッカーの見本」と思っているわけではない。それにしても後半、鹿実の「力業(ちからわざ)」が目立つ。見たかった「トータルフットボール」、むしろ札幌第一の方が忠実に行っていた。

TVの実況、そして試合終了後の札幌第一のインタビューによると、鹿実のプレーは体の入れ方その他サッカー全体の巧さが目立った・・・そうだ。

そうなのだろうか?

確かに1vs1の局面では7:3くらいの割合で第一が不利だった。シュート数も比べものにならない。そして何よりも試合は負けた。

札幌第一に足りなかったもの、それはキーパーを含めたディフェンスラインのツメの甘さだと思う。
 
相手チームは、そして九州サッカーはすごいのだろう。でも、

 札幌第一の、いや、札幌(北海道全体)のサッカーの方向性は正しい。

そう確信できた大会でした。