「縁に対せずして照らす」とは、その物それがそのままはっきりしていて、疑わしいところの無い、ということです。
玉の自ら光を発して自ら照らすが如きものです。
「虚明(きょめい)自照心力(しんりき)を労せざれ」です。
相手なりに相手が無いことです。
どうして喧嘩ができるでしょうか、ということです。
「不回互にして成ず」と同じです。
「対せず」とは、対しながら対する自己が無いことです。
ここのところを道元禅師は「一方を證すれば一方は暗し」といっています。
「暗し」とは同化ということです。