活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

一日の差

2016年06月21日 | 仏教

織田信長が 「自分と同年同月同日に生まれた者があれば出て来い、褒美を取らせる」

という御布令を全国に出しました。

 

一人名乗り出て来たのです。

「私でございます」 と言って乞食坊主が出て来ました。

信長は云いました。

「世の中は様々である。俺は内大臣に成っているのにお前は乞食同様である、これも何かの因縁であろう」

と云って金子を与えました。

 

「お前は苦しいだろう」 と信長が問うと、

「いや、苦しくなどありません。あなたと私は一日の差です。

今日あなたは内大臣で、私は乞食であるけれども昨日までのことは、今日、何も残っておりません。

翌日になると今日はありません。

明日あなたは殺されるかもしれません。私も、何に成るか判らない。

一日違いである。」

と。

 

「俺よりお前の方が偉い」

と、信長は大変感心しました。

やがて信長は明智光秀によって殺されてしまったのです。

この乞食坊主のように一日違いという道理を考えて頂きたいと思います。


昨日までは既にありません。  明日のことは未だ来ないので判りません。

是は全く真理です。

 

「君様(きみさま)と ただ一日の隔てなり 昨日過ぎつ 明日は知られず」

と詠んだといいます。

 

又曰く、「昨日よりも 明日よりも 今の桜かな」

と。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。