まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

しあわせのパン

2012-02-02 22:17:43 | 日記
美しく厳しい北の土地で
カフェを営む若い夫婦

「すきなことをしようとおもったのです
 すきなばしょで
 すきなひとと」

さまざまな世代のひとたちが
それぞれの苦悩を抱えて
カフェにやってくる

焼きたてのパン
淹れたてのコーヒー
季節の滋味溢れるスープ
日々移ろいゆく景色
そして 月

おいしいものは生きる力を呼び覚ます、とは
宮部みゆきの本のなかの台詞だったか

パンを食べ、コーヒーを飲み
月を眺めてゆくうちに
次第に元気になってゆくひとたち
もてなすことで自らの傷を癒す主人公

彼女に寄り添い、温かく静かに見守る夫が
とうとう自分の望みが叶ったときに見せる表情に
胸打たれた

月はじぶんで光を発するのではなく
おひさまの光を反射して
ひとびとの夜を照らす
ひとつのパンをわけあうように
明るさをわけあい、繋がっている

おおきなパンを焼いて
さくっとちぎってわけて食べよう
すきなひとと