雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

2つの裁判(その2)

2007年07月27日 | 「発達障碍」を見つめる眼
2つめの記事は、その4日後、限られた新聞に小さく載りました。

**********************引用ここから********************

「生きていても幸せでない」 2児殺害の母が心境

 広島県福山市で昨年、自閉症の長男(5)と二男(3)を殺したとして殺人罪に問われた無職C被告(35)は25日の広島地裁(奥田哲也裁判長)の公判で被告人質問に答え、「世間では障害者は不幸という見方が強く、生きていても幸せになれないなら一緒に死んだ方がいい」と殺害を決意した心境を話した。

 C被告によると、二男は知的障害もあり、パニックになると手に負えなかったといい「わたしの養育方法が間違っていたのか」と悩んでいたと説明。一方で「かわいいという気持ちはなくなっていなかった」と言葉を詰まらせた。

 また「夫に助けを求めたが、『おまえの育て方が悪い』と言われた」「自閉症は障害なので薬をのませるものではないのに、母親に『のませろ』と言われ無理解だと思った」と孤立感を深めていった状況を話した。

 奥田裁判長は、弁護側が求めた精神鑑定の実施を決めた。

(7月25日18時43分)

引用元:山陽新聞 2007年7月25日
(原文では被告名は実名ですが、ここでは仮名としました)

************引用ここまで*******************************

1つめの事件の被告人のこれまでの人生は、弁護士さんの言うとおり、
想像を絶するものがありますが、2つめの事件の被告人の孤独は、
おそらく自閉っ子を持つお母さんの多くが多少なりとも経験したことが
あるのではないでしょうか。

私にも、痛いほどわかります。

息子が生後4ヶ月から米国に単身赴任した夫は、自分のことで
精一杯で音信不通、たまに連絡をよこせば残された私たち母子を
気遣うどころか「俺の給料で安穏と暮らしやがって」と嫌味と
不満をぶちまけるばかり。息子の発達についての相談など
とてもできる状態ではありませんでした。

実母は実母で、息子の言葉の遅れを心配する私に、
「私が反対したのにマタニティビクスなんか行くからだ」
「だから総合病院で産みなさいというのに、逆らって個人医のところで
産んだからだ」
「あんたは性格が悪いから子どもなんか育てられない」と
私を責め続ける。

ことばの遅れを心配して通い始めた母子教室では
「おかあさん、あなた、性格が悪い、冷たいといわれたことあるでしょ?
 もっと謙虚に反省しなきゃ」
「自分の胸に手をあてて、何が悪いのかよく考えてみて」
と私を諭しつづけた保健師さん、心理士さん。

渡米後、自閉症の症状が顕著になり始めると、夫は
「子どものことはおまえに任せていたのに、まともに育てていない」
「お前の性格が悪いから、育て方が悪いから、こうなったのだ」と
私を責め、息子を「頭のおかしいガキ」「恥さらし」と呼ぶ始末。
現地で検査を受けるにあたっても療育を受けるにあたっても
彼は金銭的な負担をしたのみで、精神的・心理的サポートは
全く無く、私と息子にとって「最も近くにいる最も遠い人間」でした。

「おかあさん、お子さんにもっと愛情を持ってください」
「他のお子さんの迷惑も考えてください」
「人任せにしないで、ちゃんとお家でも躾をしてください」と
言い続けた日系幼稚園の先生、
「どう育てたら、あんな子ができるのかしらね」
「うちの子が真似したら困るわ」
「もうちょっと普通に遊べるようになったらお付き合いしましょうね」
同情や憐憫、時には明らかな侮蔑や悪意を込めてかけられた
周りのお母さんたちからの言葉。


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