現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

橋本治「渦巻」初夏の色所収

2018-06-18 08:33:12 | 参考文献
 高度成長期に成長した主婦が、自分の人生を振り返る姿を描いています。
 児童文学の書き方とあまりにも真逆なので面喰いましたが、ある意味では反面教師として参考になるかなと思いました。
 かつて児童文学者の安藤美紀夫は、「児童文学はアクションとダイアローグで書く文学だ」と言っていましたが、この作品はアクションやダイアローグのあるエピソードを積みあげるのではなく、徹底的に説明文で書いています。
 また、最近の児童文学では、登場人物の個性を際立たせるキャラクター小説の書き方が流行していますが、この作品は登場人物は徹底的に没個性的で魅力が感じられません。
 作者には、ある世代の典型を描こうという意図があるのでしょうが、あまりにも類型的な決めつけが多く、読み味が良くありませんでした。
 特に、平凡な市井の人びとの人生への尊敬が少しも感じられず、作者の高みからの差別意識が感じられて不愉快でした。

初夏の色
クリエーター情報なし
新潮社

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