現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

三田完「青い鳥」黄金街所収

2016-08-19 09:42:35 | 参考文献
 これも歌謡界の内幕物です。
 驚いたことに、東日本大震災を取り扱っています。
 自分も被災した売れなかった元演歌歌手が、デビュー作の「青い鳥」を避難所で歌って評判になっているという設定です。
 売れなくなった90年代までは売れっ子作詞家だった主人公が、それに便乗して再起しようというのです。
 お決まりのデビュー当時の二人の肉体関係やら(なんとその当日に作詞家の妻が癌によって死にます)、その歌手も癌に侵されているやらと、お涙ちょうだいの材料が満載です。
 こういう作品を書く作者のあまりのあさましさに驚愕しました。
 作者にとっては、東日本大震災は単なるネタにすぎないのです。
 お笑いタレントでさえ、さすがにここまではやりません(おそらく放送コードに引っかかるのでしょう)。
 こういう作品を雑誌に平気で載せるとは、出版社にはモラルというものがないのでしょうか。
 でも、児童文学の出版社でも、有名タレントに臆面もなく文学賞を与えて大儲けしたことがありましたから、他人ごとではありませんが。

黄金街
クリエーター情報なし
講談社
 

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