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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学における主人公のキャラクター設定について

2016-11-13 08:52:59 | 考察
 児童文学の主人公は、完全無欠な優等生タイプよりも、どこかに欠点や弱点を持っている方が好まれるようです。
 大半の読者は、普通の男の子だったり女の子だったりするので(現在は圧倒的に女の子の方が多いでしょう。男の子たちは、物語の消費欲求を、携帯ゲームやトレーディングカードで満足させています。もちろんアニメやコミックスは、男女を問わずに今でも好まれています。ただ、最近はやっているスマホは、男の子より女の子の方が普及率が高いので、彼女たちもだんだん紙の本は読まなくなっていくでしょう)、優等生の自慢話などは反感を買うだけで、自分たちよりも劣った点を持った主人公の方が共感が持てます。
 四半世紀前に、長崎夏海が非行少女や少年たちを描いて注目されていたころ、「不良を描けば児童文学になるのかよ」と彼女にかみついたことがありましたが、今振り返ってみると、あのころはああいった少年少女を描くことに意味があったのだと思っています。
 その一方で、エンターテインメントの世界では、スポーツや芸術分野で超人的な能力を持った主人公は、読者のあこがれの対象になるようです。
 また、イケメンや美少女などの外見的要素も大事になっています。
 現在、一番主人公にしにくいキャラクターは、可もなく不可もない普通の男の子でしょう(先ほど述べましたように、読者のマジョリティは普通の女の子たちなので、彼女たちに似た普通の女の子の主人公は、まだ共感を得ることができます)。
 1980年代までは、森忠明や皿海達哉たちが、普通の男の子たちを主人公にした本を書いていましたが、現在ではそのような本を出版することは非常に困難です。

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