現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

辻原登「午後四時までのアンナ」父、断章所収

2018-09-02 09:04:34 | 参考文献
 舞台は、和歌山県新宮です。
 辻原は和歌山の出身なので、繰り返し郷土が舞台に現れます。
 新宮に現れた謎の美女が、取り壊される直前の旅館で行われた古いニュース映画の映写会に参加します。
 美女は謎のまま、三時四十八分の名古屋行の特急で去っていきます。
 彼女は、新宮の人たちのいろいろな想像力を掻き立てますが、最後まで謎のままです。
 謎の美女やそれをめぐる人々の様子も面白いのですが、映写会で上映されたニュース映画やディック・ミネ主演のちょんまげミュージカル映画「鴛鴦(おしどり)歌合戦」の生き生きとした描写が圧巻です。
 こういった著者の博識ぶりは本を読むときの楽しみですが、どうも最近の児童文学の世界では著者の知識の厚みがなく物足りないことが多いようです。

父、断章
クリエーター情報なし
新潮社

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