中央競馬の顕彰馬32頭(野球で言えば殿堂入りの人たちのようなものです)のプロフィールを描いています。
でも、名馬たちの名勝負物語を期待して読むと、少し肩透かしを食うかもしれません。
筆者は、中央競馬会の機関誌である「優駿」(今は私が愛読していた70年代のころと違って、馬券の予想なども載せてかなり一般読者向けになっていますが)という雑誌の編集者出身ですし、この本の母胎になっているのも、その「優駿」への連載なので、名馬たちのレースそのものだけでなく、血統や、生産者や馬主や調教師や騎手といった関係者や、引退後の繁殖成績などにもかなりの紙数を割いています。
もっとも、顕彰馬自体が、競走成績だけでなく繁殖成績や中央競馬への貢献(人気を盛り上げたアイドルホース(ハイセイコーやオグリキャップなど)や記録達成馬(その当時の賞金王(タケシバオーなど)や初の牝馬三冠(メジロラモーヌ)など)も考慮されているので、こうした紙面構成は当然かもしれません。
そういった意味では、私のような競馬マニア(本当に熱中していたのは1969年から1978年までの9年間だけですが)向けの本なのかもしれません。
ただし、筆者は1960年生まれなので、実際にレースでその馬たちを目にしたのは1970年代後半からのようで、それ以前の馬については筆者もあとがきで書いているように先行の類書から得た知識によるものなので、どれもどこかで読んでいたようで物足りませんでした。
しかし、私が一番熱中していたわずか九年の間に活躍した、スピードシンボリ、タケシバオー、グランドマーチス、ハイセイコー、トウショウボーイ、テンポイント、マルゼンスキーと、7頭もの名馬たちが含まれていたので、その当時の高揚した気分が蘇って懐かしく読むことができました。
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