現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

津村記久子「コップと意志力」ポースケ所収

2018-09-03 09:30:31 | 参考文献
 一切自炊をしない(炊事道具も持っていない)一人暮らしの若い女性が、過去の恋人にストーカー行為を受ける話です。
 連作短編の舞台である「喫茶・食事 ハタナカ」は、ラストシーンにしか出てきません。
 どうもこの短編集は、「喫茶・食事 ハタナカ」が出ない作品の方が不出来なようです。
 それは働くシーンが具体的に書かれていないために、津村の一番の魅力がなくなっているためだと思います。
 津村が会社を辞めて専業作家になった場合に一番恐れていたことが、現実になりつつあるようです。
 数少ないリアルに会社生活が描ける作家(児童文学の世界では皆無と言ってもいいです)が失われていくのは、非常にさびしいです。

ポースケ
クリエーター情報なし
中央公論新社

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