大塚は、角川スニーカー文庫で出版される小説を「キャラクター小説」と呼びたいと言います。
そして、「キャラクター小説」を以下のように定義します。
1.自然主義リアリズムによる小説ではなく、アニメやコミックのような全く別種の原理の上に成立している。
2.「作者の反映としての私」は存在せず、「キャラクター」という生身ではないものの中に「私」が宿っている。
この「キャラクター小説」という言葉は編集者などには「しょせんキャラクター商品じゃん」自虐的な隠語として使われていたようですが、大塚は積極的に自らが作っている小説を捉えていこうとしています。
ただし、現状ではカバーイラストの付属品としての小説でしかない低レベルの作品(ビックリマンチョコのような、食玩が主体で食べられずに捨てられてしまうお菓子のようなもの)も存在しているようで、自立した一つの小説分野としての「キャラクター小説をめざそう」としています。
このような「キャラクター小説」の起源を80年代の初めにアニメの「ルパン三世」のような小説をめざした新井素子に求め、コバルト文庫が少女マンガ家の折原みとなどが自分でイラストも手掛けるようになって自然主義リアリズムから移行したり、アニメ絵を採用した角川スニーカー文庫が創刊される流れにつながったと述べています。
しかし、このような大塚の願いとは裏腹に、この本が出てから十年以上がたった現在では、ライトノベルのレーベルが乱立して粗製乱造が加速化しているように思われます。
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キャラクター小説の作り方 |
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