現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

マヌエル・ガッサー「レンブラント」巨匠たちの自画像所収

2020-07-11 09:46:18 | 参考文献
 2020年にナショナル・ギャラリーの展覧会が東京で行われ、そこにレンブラントの傑作、「34歳の肖像」が出品されていることが、7月7日の読売新聞の夕刊に紹介されていました。
 明るい光の中でレンブラント特有の迫真性を持った圧倒的な描写力で描かれた精力にあふれた自信満々の画家本人、まさにこれから人生の絶頂期を迎える男性の魅力に溢れています。
 しかし、この絵を見た時に、まったく違ったタッチのレンプラントの肖像を思い出しました。
 それは、それから26年後、60歳の時の自画像です。
 翁のような帽子をかぶり、肥満して皮膚もたるんだ老人は、好々爺然とした笑みを浮かべています。
 しかし、その目は、著者が指摘しているように厳しい人生を送った人物らしい鋭い視線を見るものに投げかけています。
 17世紀の60歳といえば、現在ならば80歳ぐらいにあたるでしょうか。
 人生のすべてを味わい尽くし、その歓喜も虚しさもすべてを超越した乾いた笑いなのでしょう。
 現に、レンブラントはこの三年後には63年の生涯を閉じています。
 著者によると、レンブラントは生涯百点にものぼる自画像を残しているそうです。
 その一つ一つが、画業も含めた人生の、その時点での到達点を確認する作業だったのかも知れません。



 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マネーモンスター | トップ | アメリ »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

参考文献」カテゴリの最新記事