「平成史」の巻末論文です。
「「フォーマット化」と疑似冷戦体制」という副題がついていますが、それらについては初めに少し触れただけで掘り下げられておらず、たんに概観しただけにとどまっています。
それについては、小熊は註1で以下のように弁明しています。
「本章の課題は、題名に示すとおり、平成期の国際環境を概説し、日本のナショナリズムの動向を粗述することにある。とはいえこの問題を論ずるには、日本の安仝保障体制とアジア外交の問題を記述に含めざるをえなかった。筆者にとって外交・安全保障の歴史は専門外であるが、上記の問題をすベて含む記述を行なえる候補者が見当たらなかったため、本草を相当することとした。」
正直、こんな言い方は書き手や編集側の都合にすぎず、読者には迷惑でしかありません。
小熊は「粗述」という言葉を謙遜のつもりで使っているのでしょうが、内容はまさに「粗述」にすぎません。
こういった現在進行形の歴史を取り扱うと、「1968」の記事でも述べたように、文献渉猟に偏った小熊の研究の方法論の限界が目立ちます。
文献だけ(この章でも80もの註をつけて、たくさんの文献を紹介しています)に頼らずに、実際に活動している政治家、官僚、ジャーナリストなどにインタビューして、ウラを取る作業を怠っているので、小熊の勝手な読みに思えてしまいます。
また、特定の政治的立場に偏った文献に頼りすぎていて、反対の立場の文献とのつけあわせがないので、論の組み立てが恣意的な印象を強く受けてしまいます。
小熊は論文の最後に、この問題の幅広い論議の必要性を訴えかけていますが、この本なり論文なりの作り方にもそのことはいえると思います。
「「フォーマット化」と疑似冷戦体制」という副題がついていますが、それらについては初めに少し触れただけで掘り下げられておらず、たんに概観しただけにとどまっています。
それについては、小熊は註1で以下のように弁明しています。
「本章の課題は、題名に示すとおり、平成期の国際環境を概説し、日本のナショナリズムの動向を粗述することにある。とはいえこの問題を論ずるには、日本の安仝保障体制とアジア外交の問題を記述に含めざるをえなかった。筆者にとって外交・安全保障の歴史は専門外であるが、上記の問題をすベて含む記述を行なえる候補者が見当たらなかったため、本草を相当することとした。」
正直、こんな言い方は書き手や編集側の都合にすぎず、読者には迷惑でしかありません。
小熊は「粗述」という言葉を謙遜のつもりで使っているのでしょうが、内容はまさに「粗述」にすぎません。
こういった現在進行形の歴史を取り扱うと、「1968」の記事でも述べたように、文献渉猟に偏った小熊の研究の方法論の限界が目立ちます。
文献だけ(この章でも80もの註をつけて、たくさんの文献を紹介しています)に頼らずに、実際に活動している政治家、官僚、ジャーナリストなどにインタビューして、ウラを取る作業を怠っているので、小熊の勝手な読みに思えてしまいます。
また、特定の政治的立場に偏った文献に頼りすぎていて、反対の立場の文献とのつけあわせがないので、論の組み立てが恣意的な印象を強く受けてしまいます。
小熊は論文の最後に、この問題の幅広い論議の必要性を訴えかけていますが、この本なり論文なりの作り方にもそのことはいえると思います。
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