God is in the details ~神は細部に宿る~

一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

本当にあんまり好きじゃないんだ

2004-12-10 22:33:18 | その他
宮崎駿は。でも、ちょっと凄いと思った。

 今回は宮崎アニメです(爆)これほど私らしくないテーマは無いかもしれない。

彼は作品ごとにやりたいテーマがはっきりしている(と思う)。
 かれの出世作と言われる(のか?)「カリオストロの城」は、いかに少ない労力で映像をつくるか、ということへの挑戦がテーマ。ほとんど若手に効率の良い映像制作を教育するためにだけ作ったものだという。おそらく普通に見ていては気がつかないほどのある意味「手抜き」のオンパレードらしい。
 もちろん「ナウシカ」は世界観の創出。一見魅力的なキャラクターと重みのあるストーリー、意味深な世界ではあるが、単に世界観創出のための構成要素として生み出された極端に類型化された人物と、借り物の疑似神話的世界が織りなす継ぎ接ぎな世界は、しかし見事なほど破綻なく紡がれてゆく。
 トトロ??なんだっけ、それ。平面のままで、何かしたかったんじゃない?おそらく従来の感覚でのアニメの集大成であり、それに対する決別であったのかも・・・
 紅の豚は、コンセプトが糸井重里。キャッチコピーを他人に頼んでどこまでコラボレートで切るかやってみたかったのか。だったら魔女の宅急便はきっと「タイアップ」がしたかったんだろう。その制約の中で、どこまでできるのか試したかったのかも。
 もちろん、もののけは、「人」を動かすのが楽しくってしょうがなかったようだ。これでもかこれでもか、というほど動き(動かし)まくっている。もちろん彼の場合は、それは声優を含めてトータルで初めて「動かす」という事なんだろう。
 千と千尋は今日テレビで見た(笑)映画館で見たらもっと強烈だったろうな、と思わせるほどにひたすらこだわったと思える色彩と背景の醸し出す「雰囲気」。古今東西のすべてが引用され、主人公と直接絡むキャラクター以外は動くものも動かないものも、背景と化しているのだ!!とくに秀逸なのは顔なしが千に黄金の粒を出したあとあたりで、まるで信貴山縁起絵巻の飛蔵の様だ(けっこう褒めてるのか、私は!)。
 では、ハウルは??まだテレビでやらないから見てないけど、アニメでやる「胸キュン」がしたかったのか?もしかしてBGMと映像を連動させる事かも。千と千尋でも、結構BGMはそれまでに無い工夫がしてあったし・・・

 しかしながら、、そんな事を言われたところで、おそらく彼の作品の魅力をいささかも減じる事はないのだろう。実際そのアニメーションに対する強烈な偏愛から生み出される映像を作品として完結させ、あまつさえ商業ベースにのせる情熱と能力には私も脱帽してしまう。かれがそのすべてを集大成したとき、いったいどんなものが出来上がるのか。そのときまで、欲望でギラギラしていて欲しいような気がする。勝手に枯れるなよ、宮崎!

なんだかんだいいながら、長くなってしまった。不覚!!!