もっこす亭の生きざま日誌

 「自然と人・人と人」の“いいかげん・いいあんばい”な生き方を求めています。

子どものころの“穴(あな)ゼミ”捕り

2009-07-27 21:33:21 | Weblog
  昨夜、庭のミズヒキの葉の上で、ミンミンゼミが羽化して飛び立った。
 DSCN2545.jpg 
 夕方近く、
 頭の上で「雷さん」がヘソを狙って暴れた。
 稲妻が光り、雷鳴が轟き大粒の雨が落ちる。
 泥だらけの手のまま家の中に走りこむ。

 子どものころの夏休みを思い出す。
 いつも遊んでいた“てんじんさん”(天満宮)の境内。
 社の高床の下にもぐって山の上の稲光を雨の匂いとコケの匂いに包まれて眺めていた。

 社の横には、10人くらいで囲む大楠(クスノキ)があり、その太い枝が屋根の上を覆ってザワザワ鳴っていた。
 小降りになるのを待ちかねて、飛び出していく。
 雨上がりは“穴ゼミ”(あなぜみ=セミの幼虫)捕りの絶好のチャンスだった。

 “穴ゼミ”は土の中にしみこんできた雨水で苦しくなって早く出てくるのだ。
 これはなかなかコツがいる。熟練した観察力と技術だ。
 小指の先ほどの穴だと簡単だが、マッチの軸ほどの穴でも見つけるとなると容易ではない。 
 穴という穴はどれでもほじくってみる。そして、ポコッと大きく開いたらしめたもの。
 昼寝で使った“ござ”のほつれたイグサを拾ってきて、端から20cmくらいで折る。
 それを穴の中にそっと、息を止めて差し込む。その時、穴の中の幼虫の鼻先や短い触角や目玉や鎌のような太い前足が見えると、セミの種類が分かる。クマゼミだともう夢中だ!
 差し込んだイグサが引っ張られると、後は真っ直ぐ上に引き上げるだけ。 
 
 ところが、うまくいかないのもいる。
 途中でイグサを放されると、深い所まで落ちる。イグサを長くして差し込む。
 これでもうまくいかなければ、水攻めだ。
 近くの田んぼから水を汲んできて穴の中に水を入れる。
 苦しくなって上がってきたところをゲット。

 それでもダメな場合もある。
 我慢しきれなくなって、竹の棒を突っ込んでみたりする。と、もうおしまいだ。
 最後は、グルグルとかきまぜる。あげくの果てには、ションベンを垂らしこむことも・・・

 ともあれ、4・5匹捕って帰るときは、ランニングシャツに2・3匹はませ、両手に1匹ずつ
持って、そっとそっと帰った。それでも、途中よく落とした。
 薄暗くなると、クスノキの大枝のざわめきと竹林の石の仁王さんが怖かったからなあ・・・
 
 子どものころの小生は、多分、界隈で一番の“穴ゼミ捕り名人”だったと思う。
 持ち帰った“穴ゼミ”たちは、蚊帳の中にはわせて羽化を見守った。
 それは幻想的だった。毎晩見ても飽きなかった。

 でも、羽化はどれもうまくいくとは限らなかった。羽がうまく伸びきらず、縮れてしまうものも結構いた。いじくりすぎたり落としたりしたからだろう。
 翌朝、、一人前のクマゼミはしばらく虫かごで楽しんでから放していた。
 アブラゼミなどそのほかのセミや飛べないものはすぐ放した。
 飛べないものは、たちまちアリの餌食になった。

 しばらくの間、すっかりあのころに戻っていた。
 あのころは、ほんとに“子ども”ができていたなあ。


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