もっと知りたい上村松園―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)加藤 類子東京美術このアイテムの詳細を見る |
本書では、明治から昭和にかけて京都という土地柄を養分として、画道一筋に生きた画家の人生を、少女期から晩年まで作品とともに語る。美人画を描きたい一人の若い娘が、どのような試練を経て本格的な画家へと成長していったのか。正しいと思うときには妥協しない頑張りや、作品を通して堂々と自らを主張する態度、これらはどのような人生の中で育まれたのか。
生涯を大きく7つの期に分けて解説し、古き良き京都の風土や、激動の時代を背景として、随所に、松園の人柄がしのばれる言葉、松園の芸術を創った母や師たち、厳しい絵の修業や制作にまつわるエピソードなどをおりまぜ、松園という人間の本質と、作品が持つ力の秘密に迫る。
図版110点余収録。オールカラー。年表など詳しい資料も収録。
・目次
第1章 おいたち
第2章 京都府画学校への入学
第3章 栖鳳塾へ
第4章 初期文展での活躍
特集 大正時代の美人画 松園と同世代の画家たち―揃う個性派とその美人画
第5章 帝展時代の松園
第6章 母の死
第7章 円熟の境地、そして晩年
おわりに 松園芸術を創った人々』
努めて展覧会に足を運ぶのは日本画では松園さんだけである。
松園さんが最晩年を過ごした奈良の地に住み、近くに松伯美術館があるせいもあるかもしれないが。
本書、過日松伯美術館で購入。
「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。」
松園さんご自身の言葉だが、これほど彼女自身の作品を端的に表した言葉もないだろう。
近くに寄って見てもよし、遠くから見てもよし、見あきるということがない。
本書、コンパクトに概観していて、専門書を買い求めるほどでもない私のようなファンにはちょうどよい。
彼女の私生活に興味のある向きは宮尾 登美子の序の舞をお勧めする。