ドイツに住む貧乏学生が、
のみの市でボロボロのソファーベッドを買った。
価格は日本円にして約250円。
しばらく使っていたが、ゴリゴリして寝にくい。
中に何か入っていたようだ。
彼はベッドを解体し、中を見ると…。
彼には よく分からないバロック調の絵画が隠されていた。
興味はなかったが、試しにオークションにかけてみた。
すると…。
なんと約250万円の高値が!
なんでも17世紀の絵画だったらしい。
これ、嘘みたいな本当の話。
ラッキーで思い出した。
今から10年ほど前の、結婚間もない頃の話。
売れない綱渡り稼業で、経済的に厳しかった。
お金の入る日まで、あと1週間以上もあるのに
我が家には数百円のお金しかなかったことがある。
「どうしようか…」と二人で額を寄せたが
何も浮かばない。
ただ、二人とも楽天家なので
「ま、お米はあるから死ぬことはないね」などと笑っていた。
その翌日、カミサンが普段しない(?)
押入の片づけを始めた。
と…。押入の奥に何かが詰まった紙袋がある。
「?」
中を確かめると、結婚式の際のご祝儀袋の束が。
当然ながら、お金は全部出してある。
記念なので、カミサンが捨てずに保管していたのだ。
「まさかね…」
そう言いつつ、カミサンは数十ある袋の中身を確かめた。
しばらくして、カミサンの悲鳴が。
「キャー!」
なんと、ひとつだけ開封されていないご祝儀袋があった。
そして中には、1枚の1万円札が…。
こうして我が家は、その月の危機を乗り切ったのだ。
ちなみに、そのご祝儀袋は、友人の「吉田君」からのものだ。
今日び、結婚式に1万円はないだろう…と、
普段なら考えるが、
この1万円ほど有り難い1万円はなかった。
吉田君には、いまも感謝している。
ただ、このことは彼には話していない。
話すべきだろうか…。