ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

報道ステーションのアンケート結果

2015年06月17日 10時04分07秒 | 雑記
先日の記事で少し触れました報道ステーションの憲法学者に対するアンケートの最終結果が出たと知り合いからメールいただきました。テレビ朝日のホームページによると、回答を寄せた151人のうち、今回の安保法案が憲法に違反しないとした人数はわずか3人だったとのことです(憲法に違反するが127人、違反の疑いがあるが19人、回答なし2人)。

詳しい内容は以下のホームページで確認してください。
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/info/enquete/

これをみても、今度の法案が違憲か合憲かという論争にはほとんどかたがついているように感じられます。あとは政府自民党が恥も外聞もなく、違憲であることが極めて濃厚であることを認識しつつも、自分勝手な解釈を強引に押し通して強行採決に踏み切るかどうかが今後の焦点になるのでしょう。

アンケートの回答のなかに「今ほど憲法学説、憲法学者が軽んじられ、無視されたことはないように思える」と書いた学者がいたそうですが、それはわれわれ一般市民にもあてはまることだと思います。かつてこれほどまでに国民一人一人が政府首脳、あるいは与党幹部からバカにされ、なめられたことがあったでしょうか。国民との間の合意である憲法を、自分たちが進めたい政策に都合が悪いからといって勝手に解釈を変更しようという態度は、合意相手であるわれわれ国民を軽んじ、無視しているとしか言いようがありません。

とりわけ代表者たる首相安倍晋三の言動や態度は、その最たるものでしょう。前回衆院選でアベノミクスのみを争点に掲げておきながら、多数の議席を獲得した途端、開き直ったかのようにそこではじめて本音をだして、国民の支持を得たといって安保政策を進めようとするその態度。経済政策というニンジンさえぶら下げておけば、憲法をないがしろにしたところで、バカな国民から大きな反発は起きないだろうという本心が透けて見えるようです。その卑劣で姑息な政治手法や、さらには国会における野党議員に対する野次や人を小ばかにしたような嫌味な言動をみるかぎり、このきわめて度量の小さな人物は、やはりもともと首相の器ではなかったようです(思い出してみると、この人は第一次政権のときに真っ青な顔で突然、政権を放り投げて、国民を唖然とさせ、こいつはもうダメだなと思わせたものでした)。

今回の法案でも現実的にはホルムズ海峡の機雷除去だけが目的だ、みたいなことを言っているようですが、その本質的に卑怯な心性を鑑みると、法案が成立した途端、てのひらを返したかのように、法の適用範囲をほかの軍事作戦にも拡大させる恐れは十分にあります。すくなくとも、過去の言動を顧みると、そのような恐れがあると考えざるを得ません。要するにこの人からは、とりあえず法案が実現するまでは国民をだましておいて適当に本音は隠しておこうという手法が見え見えで、全然、言葉が信用できないのです。

これほど分かりやすく丁寧に国民をバカにしているにもかかわらず、相変わらず支持率がさほど低下しないのは、いったいどういうわけでしょう。

本音をいうと、私はこの法案の内容云々の以前に、つまり法案が通ったら日本は戦争加担国になるとか、自衛隊員に死者が出るとか、平和じゃなくなるとか、法的安定性が失われるとか、そういう問題以前に、自分のことがバカにされている気がして、それが非常に腹が立つのです。虫唾が走るとはまさにこのことです。もしかしたら私の立腹のポイントはちょっとずれているのかもしれませんが、とにかく反対の声はあげるべきでしょう。一人一人が声を出さないと政権の横暴は止まりません。


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