ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

北岳バットレス第四尾根

2012年01月04日 15時19分55秒 | クライミング
年末年始は予定通り、アルムクラブのウッチーとバットレスの四尾根へ。

29日夜に夜叉神トンネルを越えて、林道脇で一泊。
30日に池山吊尾根をボーコン沢頭手前の砂払まで登り、BCとした。ここまでは予定通り。計画では31日に登攀を終え、1日に下山と行きたかったが、そうは問屋がおろさなかった。

まず八本歯のコルから四尾根の取りつきまでに時間がかかった。下部岩壁をはしょって、緩傾斜帯から四尾根に直接取りつこうとしたが、どこか緩傾斜帯なのかよく分からない。いくつもの細かな尾根を越えて、腰までの雪をかき分けながら進んだが、どうみても傾斜がきつすぎてそのままトラバースするのは厳しそう。結局懸垂で下に下りて、下部岩壁から取りつくことにした。

下部岩壁の取りつきで山形からのパーティーが追い付いてきた。我々はDガリー大滝と思われるルートに取りついたが、登っている間に、山形パーティーが左の別ルートから簡単に抜けていった。我々の登ったのはDガリー大滝じゃなかったのかもしれない。2ピッチで越え、四尾根取りつきへ。山形パーティーは偵察だったらしく、その日は下山した。我々は四尾根リッジの右側の灌木帯をコンテで登り、ラビネンツークのようなルンゼをダブルアックスで1ピッチ登って四尾根稜線に出て、そこでビバークすることにした。トポに出ている白い岩のクラックとか、第一のコルだとかがどこなのか、雪が多くてよく分からなかった。

新年はツェルトをかぶってのビバークで迎えた。ビバーク前提だったので、コンロと寝袋と飯を持参しており、あまり寒くなかった。

四尾根は楽勝かと思っていたが、悪かった。1日は午前7時に出発。登り始めてすぐに山形パーティーが追い付いてきた。昨日トレースをつけていたので、八本歯のコルのテンバから25分で下部岩壁の取りつきまでやって来て、合計2時間で我々のビバーク地に達したという。

夏ならⅢ級程度の岩場なのだろうが、逆相気味のスラブに角砂糖みたいなスカスカの雪が30~40センチ積もっており最悪。途中で山形パーティーに先行を譲ったが、彼らの苦労していた。ビバーク地から3ピッチで3メートルの垂壁へ。懸垂下降を含めて6ピッチで枯れ木テラスへ。

枯れ木テラスの上は2010年に崩壊しており、崩壊部分の際のフレークを15メートルぐらいトラバースし、Dガリー奥壁のチムニーへ。チムニーはA1で越えて、先行していた山形パーティーのラッセルをたどって稜線に出た。テンバに戻るころには日は沈んでいた。

翌日下山。なお、鷲住山から見た荒川出合の各ルンゼはバリバリに氷っていた。近いうちにぜひ登りに行きたい。

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