苦役列車 | |
西村 賢太 | |
新潮社 |
西村賢太「苦役列車」を読む。言わずと知れた芥川賞受賞作。まだ表題作しか読んでいないが、職人芸的に面白い日本語だ。読んでいて、思わず笑ってしまう小説である。下ネタ的な描写が少なくないので、女性が読んでどう思うのかは不明であるが、男なら楽しめる。
簡単に言うと、うだうだと自分がいかにダメかを書いているのだが、ひとつひとつの言葉のなかに高度なユーモアがあふれている。ユーモアというのは、周囲の状況から自分を外に置いて客観視し、自分を笑えないと生まれない。さすがに平成の私小説家だけあって、自分の客体化はほとんど芸術の域に達している。
個人的には、こういう文体って理想的だなと思った。ぜひ読んでもらいたい、男には。