ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

コロンブスそっくりそのまま航海記

2009年05月15日 12時17分54秒 | 書籍
 マラリアの薬を買いに行った時に立ち寄った八重洲ブックセンターで、ロバート・F・マークス「コロンブスそっくりそのまま航海記」(朝日新聞出版)を見つけ、購入。

 著者が1962年に、コロンブスの当時の航海をそのまま再現して大西洋を横断したときの冒険の物語である。コロンブスが乗っていた当時の船や航路を再現(実際のコロンブスの船よりかなり小ぶりだったようだが)しようとしたのは当たり前だが、笑えるのは船内に持ち込んだ細かい装備や食料まで当時のものにこだわったことだ。

 《この(食料)リストで一番困った品物はビスケットだった。コロンブス時代のビスケットはいったいどのようなものだったのか?》
 
 フランス人ミシェルが乗員になりたいと希望してきた時には、
 《ミシェルにもひとつだけ難点があった。国籍である。そもそもわたしがアメリカ人であることがすでに話題になっていた。(中略)乗組員は全員スペイン人でなければならないのだ》

 もちろん、そこまで厳密なこだわりは航海中に次第になし崩しになり、最後は様子を見にきた米軍機から水や食料の配給を時々受けて、なんとかスペインからアメリカまで到達した。しかし、面白いのは間違いない。装丁もかっこいいので、本は本棚に飾っておくだけという人にもお勧めだ。

 コロンブス関係ならギャビン・メンジーズ「1421」(ソニー・マガジンズ)も面白い。アメリカ大陸を発見したのは実はコロンブスではなく、中国・明の鄭和艦隊が先に到達していたことを、英国海軍の艦長だった著者が豊富な航海の経験と様々な史料から実証したノンフィクションである。



   ☆   ☆

 ところで今日、朝起きて、いつものようにコーヒーを飲もうと思ったら、間違って焼酎をコップについでいた。うーん、習慣というのは恐ろしい。なんだか生活と自分の内面が徐々に崩れてきているようでぞっとした。
コメント (2)
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