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感想:『胡蝶の失くし物―僕僕先生』

2009年09月29日 18時49分00秒 | 仁木英之
胡蝶の失くし物―僕僕先生胡蝶の失くし物―僕僕先生
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-03-19


僕僕と王弁の命を狙う暗殺者劉欣の登場。苗族の内部対立や面縛の道士とストーリー性がアップ。それが面白さに繋がらないところに難がある。
確かに僕僕の活躍の場面は増えた。王弁は微妙だが。物語も糸が絡み合い、それ自体は確かに面白くはなっている。ただその分、本来の僕僕と王弁とのやり取りの楽しさは減り、この作品らしさという意味では魅力が減じたと言えるだろう。

特に本書では劉欣の視点が非常に多い。新たな視点の導入によってこのパーティのユニークさを引き出そうという意図かもしれないが、成功しているとは言い難い。冒頭で彼は幼い皇子を殺害している。単純な因果応報を求めるものではないが、それがカタルシスに繋がることも確かだ。僕僕の優しすぎる性格と相容れがたい劉欣の罪をどう昇華するのか。
大きな物語よりも小さな日常に輝きを見せる作品だけにその良さが失われないように望む。


感想:『彩雲国物語 紅梅は夜に香る』

2009年09月29日 18時46分30秒 | 彩雲国物語
彩雲国物語 紅梅は夜に香る (角川ビーンズ文庫)彩雲国物語 紅梅は夜に香る (角川ビーンズ文庫)
価格:¥ 480(税込)
発売日:2006-08-31


新章開幕。新キャラ蘇芳編といったところか。

冗官として謹慎中の身の秀麗。それでもあれやこれやに首を突っ込み、常に自分のやれることを探す毎日。蘇芳はだらけ過ぎかもしれないが、それでも普通の人の感覚からしても秀麗は働き過ぎであり頑張り過ぎである。傍から見ている分にはいいが、積極的に関わりたくない気持ちは分からないでもない。決して秀麗はそれを他人に押し付けたりはしないけれども。

蘇芳がなかなか掴みづらいキャラクターだったのに対して、明快かつ男前なのが碧幽谷こと歌梨。芸術家ということもあってかかなりぶっ飛んだ造型となっている。ただ秀麗を除いて、香鈴、春姫が男とくっつき出番もなくなり、残るは胡蝶に歌梨とオバサン!ばかりというのもいかがなものか(苦笑。

ストーリー的には反秀麗の門下省の登場を描いた形で、パターンではあるが今後の展開が気になるところだ。