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涼宮ハルヒの憂鬱「笹の葉ラプソディ」

2009年05月23日 16時50分10秒 | 2009春アニメ
2006年のTVアニメ放送時は、話題となっていたことは知っていたが、当時はアニメをほとんど見ていなかったので、結局一度も見ることはなかった。
しかし、人気の高さに関心を持ち、原作のライトノベルを読み、興味を惹きつけられた。ただアニメは数話をちらっと見た程度だった。

4月から始まった「再放送」だが、公式に「再放送」とは述べられなかった。1期は話の順番がシャッフルされて放送されたことで話題となったが、今回の放送は時系列順となる。
単なる「再放送」ではなく、再放送後に新番組として2期が始まる、いや、再放送と新作がミックスして放送されるといった噂は当初からあった。ただそれにしては”宣伝”不足かとも思っていた。新聞に一面広告を打ったほどの「2期」なのに、そんな手を使うだろうかと……。

だが、「全28話」という話がある程度信頼できる形で出てきて、こうした噂に信憑性が増した。1期のシャッフルされた放送順という奇策を用いたスタッフだけに、当然2期も”サプライズ”が用意されているはずだ。

そして今週その噂が実証されることとなった。既に放送前からほぼ確定的な情報が出ていたが、実際に放送されたことで話題を集めることとなった。思い切った奇策だが、何よりも情報を出さないことを戦略的に巧みに利用したことが興味深い。もちろん、ビッグタイトルだからこそ出来た戦略だ。それでも大きな賭けだったことは確かだろう。この試みが成功かどうかの評価はまだ定まらないが、かなりユニークな挑戦だったことは評価したい。

そんな”サプライズ”ではあったが、1期を見ず、原作を読んだ私にとっては特に”サプライズ”ではなかった。これまでの「再放送」も初見として楽しんでいたので、今回の「新作」も一連の流れの中で楽しんで見た。3年振りとはいえ、作画にせよ演出にせよ声や演技にせよほとんど違和感なく見ることが出来た。

『笹の葉ラプソディ』自体はこの作品内で最初のタイムトラベルものである。3年前に戻るというストーリーは、3年振りの第2期の最初の作品に相応しいものと言えるだろう。
一方で、この短編は中学生時代の涼宮ハルヒを描くというインパクトはあるものの、ストーリーとしてはこれだけでは完結しない内容だ。恐らく第2期のメインで描かれる『消失』のための伏線となる。

『涼宮ハルヒの消失』はシリーズで最も高い人気・評価の作品だろう。ある意味シリーズの集大成とも言える作品だ。けれども、残念なことに『消失』は『消失』だけでは成り立たない。シリーズものだから、というだけでなく、『笹の葉ラプソディ』などの短編で描かれた伏線を知らないと成立しない作りになっているからだ。
ラノベだからこれでもいいのかもしれないが、構成力のある作家であれば、シリーズものの一作であってもそれだけで完結できる作品を描けるだろうし、それを目指すだろう。余談になるが、構成力に不安のある谷川流に実質前後編となる作品を書かせ、なおかつその前編だけを先に発行するという愚挙を犯して、原作がストップするという現状を生み出してしまった。2007年6月発売予定だった『驚愕』はもう出せないかもしれない。

予測通りであれば、「ミステリックサイン」「孤島症候群 前後編」の再放送があり、次の新作は「エンドレスエイト」まで待つこととなるだろう。もちろん、そうした予想を裏切る仕掛けがまたあれば別の話であるが。