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アニメ感想:薬師寺涼子の怪奇事件簿 第1話「銀座クライムタワー(前編)」

2008年07月08日 20時25分29秒 | 2008夏アニメ
これまた何故に今頃という作品だ。初出が1996年だから12年目にしてのアニメ化となる。
田中芳樹原作といえば名作の『銀河英雄伝説』や『創竜伝』『アルスラーン戦記』といったところがアニメ化されているが、これらのどれともまた違う作風の作品と言えるだろう。

唯我独尊、傍若無人な警視薬師寺涼子を描くのがこのシリーズの見所となる。マンガ的な設定だが、それを引き込むように見せるのはさすが作家の力量だろう。過去に原作を読んだときの印象は筒井康隆の『富豪刑事』を連想したが、現代的アレンジとしてなかなかユニークに仕上がっている感じだ。

さて、その第1話だが、いきなり過去の事件の話などが出て少し視聴者(このシリーズのファンなら分かるのかもしれないが)は置いてきぼり感が漂う。キャラクターや世界観の提示としてはよく練られた第1話だったが、タイトルにもある通り前編なので本番はこれからといった感じだ。
アニメとしての出来は、辛口にコメントすればアニメである必要があるのかと思うほど絵の比重の低い作品と言えるだろう。紙芝居的って訳じゃないが、基本的に言葉で何でも説明しており、絵や動きで何かを見せるという部分が乏しかった。まあ薬師寺涼子らしさは表現していたけれども。
ただだからといって見る価値がないというわけではない。言葉の質に関しては最近のアニメの中ではかなりちゃんとしている。最近のキャラクター重視のアニメの中では薬師寺涼子の存在はそれほど強烈なインパクトを残すものではないが、言葉の使い方には興味を惹かれた。今後それが更に作品の魅力として成り立つほどの存在になり得るかどうかは分からないが。作品の評価はもう少し様子を見たいところだ。