たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

高齢者入所施設の将来 <介護医療院 今年度開始 「医療」と「住まい」両立>を読みながら

2018-08-15 | 医療・介護・後見

180815 高齢者入所施設の将来 <介護医療院 今年度開始 「医療」と「住まい」両立>を読みながら

 

今朝はこぬか雨。ちょっとした雨音なら眠っていても気づくはずですが、音もなく霧雨のような雨でした。それでも周囲の緑は活き活きしているように感じられ、ほんの一瞬差し込んできた早暁の光に輝いていました。わが家からは遠くは九度山の町石道上にある雨引山から南方に続く峰々、そして大門が背後にあって見えない弁天岳から東方に高野の連峰が天空を仕切っています。中景には柿畑とスギ・ヒノキ林が、手前には稲穂が大きくなってきた棚田のような水田が、そして目前には広葉樹林と、針葉樹林があって、多様な緑が水分を多く含んで鮮やかさを増しています。

 

今日も前面にひろがる景色を眺めながら、読書と居眠りを堪能しました。かなり以前からだいたい月20冊くらい適当に読んできたのですが、このブログを書くようになってから、次第に読書量が減ってきました。その代わり新聞やネット情報をよく読むようになりました。なかなか読んだ内容をブログで取り上げるだけの頭の整理が整わないのと、読むだけの楽しみというのもいいかと思っているためかもしれません。

 

今日も一冊読了したのですが、本日のお題は新聞記事から取り上げることにしました。今朝の毎日記事<介護医療院今年度開始 「医療」と「住まい」両立 医師が常駐/プライバシーに配慮>です。「介護医療院」という名前がよく取り上げられるようになりましたが、その必要性、内容などよく分かっていません。前にも書いたかもしれませんが、この記事ではわかりやすく解説されていますので、私の勉強の意味でも、引用しながら、考えてみたいと思います。

 

<医師が常駐して医療と介護を同時に提供する介護保険施設「介護医療院」が、今年度から始まった。一定の医療ケアと住まいの機能を併せ持つことが特徴だ。>ではこれまでの施設とどう違うのでしょうか。

 

これはどうやら国(厚労省?)からの要請であったようです。

<国は、施設代わりの長期入院とも指摘される介護・医療の「療養病床」を介護医療院に転換するよう促しているが、自治体からは財政負担が増えることへの懸念も出ている。【原田啓之】>

 

この介護医療院は、<昨年の介護保険法改正で導入された。>のですが、介護保険で利用できる入所施設です。では<重度の要介護者が生活する特別養護老人ホーム(特養)や、リハビリで在宅復帰を目指す介護老人保健施設(老健)>とどこがどう違うのでしょう。

 

医師が常駐したり、プライバシーに配慮されたりとなかなか充実したサービスが想定されているようです。<特養や老健に比べ処置室など一定の医療設備が整っていると同時に、要介護度の高い高齢者の住まいとして、生活の質やプライバシーにも配慮した。ベッド間は家具などで仕切る▽レクリエーションルームや談話室の設置▽地域との交流--などの基準がある。>

 

ところが、この介護医療院は新設ゼロで、すべて他の従来の施設からの転換なのです。

<厚生労働省によると、6月末時点で全国に21施設1400床ある。新設はなく、老健と要介護者向け医療施設「介護療養病床」からの転換が45%ずつで大半を占める。残る1割は、長期療養者向けの「医療療養病床」などからの転換だ。>

 

プライバシーへの配慮という面では<以前はカーテンだけでベッド間を仕切っていたが、プライバシー確保を目的にした国の基準に従い、木製のついたてをこしらえて視線を遮った。>というのですね。欧米ではすでに個室が当たり前になっているように思うのですが・・・福祉予算が不足する現状では難しいのでしょうね。

 

どういうことでしょうかね。介護医療院に求められるのは、次のように長期滞在型の高齢者医療施設なのでしょうか。

<入所者の要介護度は平均4以上と重い。医師が常駐するため酸素吸入やカテーテルが必要な高齢者を受け入れることも可能で、終末期のみとりもできる。脳梗塞(こうそく)を患う母(96)が入居する地元の農業男性(72)は「母の容体がいつ悪化するか分からず、そばに医師がいてくれると安心する」と歓迎する。

 

たしかに老健などでも、自宅復帰のための一時的な入所を予定しながら、実態は受け入れ先がないなどから、入所したらいつまでもという利用者は少なくないと言われています。老健では医師と看護師が常駐していますが、元々、短期滞在を予定しているのですから、制度運用として本来的でない状態になっていることは問題でしょう。

 

他方で、特養では施設内での医療ケアを想定していませんから、医療サービスの必要な高齢者の受け入れができなかったと思います。その点、<運営する医療法人の向井友一理事は「医療ケアが必要で、特養では受け入れが難しい高齢者に対応できる。家族にとっても患者を送り出す急性期病院にとっても使い勝手がいい」と話す。>

 

この介護医療院構想は、06年に、<療養病床は不足する福祉施設代わりの面もあり、長期入院で医療費の無駄になるとの批判>もあり、<医療の必要性の低い高齢者の入院を減らすこと>を目的に、<介護療養病床>の廃止とその受け皿として、当初は老健への転換が予定されたようです。

 

ところが、<「病床削減ありきでは物事が進まず、慢性期の患者にどのような施設が必要かという発想に転換した」>ことで、<介護医療院の創設が17年に決まった>のですね。

医療費・介護費の適切な配分を図ろうということなのでしょうが、それを現場で有効に実現するには、どうも中央から数字をみているだけでは機能しないおそれを感じます。

 

また費用負担の点で、<自治体 財政負担を懸念>とあり、<介護療養病床や介護医療院は市町村も費用の8分の1を負担する介護保険で運営される。一方、医療療養病床は市町村の負担が少ない医療保険で賄われている。医療療養病床が介護医療院に衣替えすると医療保険から介護保険へ移るため、市町村の財政負担が膨らみ、住民が支払う介護保険料の上昇を招きかねない。>と地域格差がでてくる懸念も広がっているようです。

 

他方で、利用者・家族サイドからの意見はまだ採り上げられていませんが、そのこと自体簡単ではないですが、丁寧に集める必要があるように思うのです。

 

たしかに費用負担の問題は重要です。

しかし、私が時折おとずれるいくつかの施設を見る限り、利用者のプライバシーへの配慮以上に、利用者の活き活きとした姿が見えるような施設があまり多くないことこそ、問題ではないかと思うのです。いやすでに重度の認知症となっているとかいうのであれば、そのような利用者をそのままにしていることこそ、介護のあり方としても考える必要があるように思うのです。

 

酸素吸入やカテーテルの整備は大事かもしれませんが、私が以前、紹介したユマニチュードなど、心のケアをより充実するような制度設計を考えてもらいたいと思うのです。

 

一時間がすぎました。このへんでおしまい。また明日。

 


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