たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

歯は大事、さてどうする <歯と健康 食べる楽しみ、歯科医が支援>を読みながら

2019-02-03 | 医療・介護・後見

190203 歯は大事、さてどうする <歯と健康 食べる楽しみ、歯科医が支援>を読みながら

 

以前、横須賀に居住していたころ、終末期を自宅で過ごす活動に取り組む団体に参加していましたが、内科医や看護師はもちろん、歯科医の方も参加していました。当時、歯の重要性も分かってなく、歯科医の役割も分かっていなかったので、若干、どんな役割を担っているのかなと思いつつ、その歯科医の方が熱心なので結構刺激を受けました。

 

今朝の毎日記事<セカンドステージ歯と健康 食べる楽しみ、歯科医が支援>は、その当たりのさわりを紹介しています。

 

斎藤義彦記者は冒頭、<かみ、食べ、飲み込むという口腔(こうくう)機能が衰えがちな高齢者の支援に歯科医が取り組んでいる。口腔機能が低下すると栄養不足や肺炎など全身の病気に結びつくためだ。歯科スタッフが口腔機能の維持・向上を試みる現場を訪ねた。>との書き出しで、その多彩なチームプレイを取り上げています。

 

私自身、これまで特養とか老人ホーム、老健とかを訪ねる中で、口腔ケアの必要性とか、歯科衛生士の定期的なケアとかを聞かされてきましたが、一度も直接その場面を経験したことがないので、実際のところはよく分かっていません。斎藤記者は現場報告とまでいきませんが、概要がわかるように記事にしています。

 

高齢者の場合、誤嚥性肺炎の危険があり、その結果死に至る重篤状態になることはよく聞きますが、そのメカニズムをしっかり理解しているわけではないので、改めてこの記事を記憶しておきたいと思うのです。

 

<「食べられなくなった人はケア態勢の整わない施設や在宅で放置されている。>と<日本歯科大口腔リハビリテーション多摩クリニックの菊谷武院長>は指摘して、再び食べられるように<訪問歯科モデルを広げたい>と話しています。

 

私は日本の多くの高齢者が置かれた状態は食べられなくなったら、ゼリー状の食事を提供してもらい、ますます全身が弱り、誤嚥性肺炎の危機の淵に追いやられていないか、気になっています。

 

菊谷院長の活動は是非とも広げてもらいたいものです。それではその活動の一端を取り上げます。

<菊谷院長は高齢者や障害者の食の支援を目的に「口腔機能」のリハビリテーション専門クリニックを2012年に開設。75歳以上の高齢者を中心に月延べ150人を訪問診療する。歯科で先進的な取り組みだ。>

 

その取り組み概要は<歯の治療や食べること(摂食)、飲み込むこと(嚥下)の検査にとどまらず、言語聴覚士、管理栄養士ら多職種チームで、何をどのような形で食べるべきか、実現可能な提案を行う。重度の患者には食べる能力を維持させる。>とのこと。

 

で、具体的な例として終末期で自宅に戻った患者さん対応が紹介されています。

<女性は昨年10月、入院先で治療が難しいとされ、看取(みと)りも視野に自宅に戻った。長女の介護で徐々に少量を食べられるようになったが、1月下旬、むせて熱も出てきた。女性が飲んでいる高カロリー栄養剤を菊谷院長がチェック。「とろみが足りない」ととろみ剤で粘度を上げるよう指示、一緒に作って指導した。>と、まさに訪問歯科医でないと難しいでしょうね。

 

また、老人ホームで寝たきりの女性の例も。

<院長はある老人ホームの寝たきりの女性(81)を訪ねた。高カロリーの点滴で栄養を確保し、口からほとんど食べていない。本当は少量のゼリーから始めて徐々に食べられる可能性もあるが、ホーム職員は「現場だけで対応するのは難しい」と難色を示す。院長は今の職場の態勢でもできるよう「棒付きのあめ玉から食べさせて」と職員に提案した。>。施設では個々の利用者の状態に応じた対応が職員数の不足で難しいでしょうけど、均一に取り扱うことでは適切な介護サービスができなくなるおそれがありますね。

 

以上とは異なり、<国で開発され藤田医科大が翻訳、アレンジした><「口腔アセスメント(OHAT)>も紹介されています。

<唇、舌、唾液など8項目について「健全」や「病的」など3段階で簡単に写真で判定、採点できる。このホームで15年に導入したころは6~7点の人も多かったが、徐々に下がり、今は平均点は1点台だ。歯や口がケアされ適切に食べると、口の中の細菌や飲食物が気管から肺に入って起きる誤嚥性肺炎を減らせる。OHATの点数が低くなると同時にホームからの肺炎による入院は半減した。>たしかに唇、舌、唾液といった個々の器官について個別にチェックすることで、客観的な指標になりますし、普段の介護の中で、漫然と口腔機能の善し悪しを見るのではなく、客観的かつ持続的なフォローアップができそうです。

 

その他<普段の食事の様子を観察し、何をどう食べるのが最適かを探る「ミールラウンド」>という観察方法も紹介されています。

ここでは<お昼時。食事する入居者の周囲に歯科医師、歯科衛生士、看護師、管理栄養士、介護士ら10人以上が集まる。>そして<食事に約40分かかり、体重が減ってきた女性(88)の首に特殊な集音器を付け、飲み込み音を全員で聴く。>

 

そして<日本歯科大の佐々木力丸・歯科医師が車いすのリクライニングを15度ほど倒すと飲み込みが早くなった。重度の認知症で周囲の物を何でも食べてしまう男性(78)は、誤嚥性肺炎を繰り返している。異物を食べないよう男性にはガムをかんでもらっている。>というのですが、これはミールラウンドとどう関係するのかぴんときませんでした。さまざまな専門家が合同して集音器の音を聞きながら、飲み込みを確認し、現状を相互に理解して、今後の対応を考えることは一つの方策として合理性があると思うのですが、リクライニングやガムを噛むことしたことが、この成果と言えるのか判然としませんが、まあ、みんなで見れば気づくことも多いでしょうね。

 

 

読みながら書いたので、分かったようなそうでないような・・・まあ、できれば自分で食事できなくなったら、死の作法を考えたいと思いたいのですが、それまでは口腔機能をできるだけ維持できるよう、しっかり対応したいと思うのです。また介護を受ける方には、口腔機能の維持・改善についてどのような配慮がなされているか、注意を払いたいと思うのです。

 

おしまい。


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