181211 オムツゼロ <『100の特養で成功! 「日中おむつゼロ」の排泄ケア』>紹介記事を読みながら
昨日でしたか、NHKおはよう日本だったと思いますが、オムツゼロの取り組みをしている介護施設が紹介されていました。
オムツをすることで、トイレ以外で排尿したり、排尿漏れを防ぐことができ、ご本人も介護をする人も負担が軽減するでしょう。他方で、排尿という人間にとって基本的な行為が意識的に行われなくなり、人としての能力が劣化していくことが避けられなくなることも予想できます。
介護施設を訪問していると、入所者のほとんどがオムツをしていて、その表情に活気というかやる気をあまり感じることができません。車イスの人も多く、寝たきりの人も少なからずいる施設もあります。オムツだけが要因ではないでしょうけど、オムツをすることで人間としての基本的な能力が減衰して、脚力も自然衰えていくように感じてしまいます。
そんな思いをもちながら施設を訪問しているとき、NHK番組でのオムツゼロの取り組み、しかも一旦、オムツをしていた人も外して、しなくてもすむようになるというのですから、これはすごいと思いました。
紹介された施設では、介護職員の中にも反対者がいて、余計な負担が増えるとか、かえって悪化することをおそれる人もいたように思います。でもよく話し合って実行したら、オムツを外すことで、入所者に元気が出て、車イスだった人が立って、歩くことができるようになったとか、たいてい全身の能力が改善しているようです。
オムツを外した当初がどうだったかは、私が見落としたのか、記憶に残っていませんが、それほど大きな問題にならなかったようです。
さて冒頭で紹介したのは書籍で、その内容を<『100の特養で成功! 「日中おむつゼロ」の排泄ケア』>という見出しで紹介しています。せっかくですので、これを参照しながら、より詳しくみたいと思います。
<2015年8月現在、全国老人福祉施設協議会が認定した「おむつゼロ」の特別養護老人ホームは全国で75。>ということで、15年段階ですでに100に迫る状況だったのですね。この書籍が16年2月に発行されていますから、相当知られていると思われます。当然、実践する施設も相当増えていると思われます。
<著者:高頭 晃紀(たかとう・あきのり)さん 介護施設組織開発コンサルタント、システムエンジニア。>で、<監修:竹内 孝仁(たけうち・たかひと)さん 国際医療福祉大学大学院教授、医学博士。>
著者のオムツに対する意識は明確です。<著者は、「おむつはずしは、利用者の尊厳を取り戻す旅」だと書いている。>つまりオムツは個人の尊厳を奪うか、貶めるほどの問題ある「分明の利器」といってもよいかもしれません。
最近、人工呼吸器や胃瘻、心マッサージなどの延命措置について選択の道が広がってきたかと思いますが、その根底には個人の尊厳を背景とした個人の意思の尊重があるかと思います。私はオムツもその一角にある問題ではないかと思っています。
ところで、<オムツゼロ>が進まないのは、私たち自身があきらめているからというのです。
<それは、私たち介護に関わる者が、失禁は改善不可能なものだと諦めてしまっているからです。諦めているのは私たちばかりでなく、高齢者も同様です。>
ではなぜあきらめるのかですね。それはオムツゼロに向かう適切な指南書がないからというのです。
<「便失禁をなくし、トイレに座ることができれば、おむつははずれる」というシンプルな考えは、監修者である竹内孝仁氏が提唱する、いわゆる『竹内理論』が元になっている。>
それは次の4つの柱を守ることだそうです。
<●水分:一日1,500cc以上の水分摂取
●食事:一日1,500kcalの食事
●排便:下剤をやめて、自然排便
●運動:とにかく歩く>
そしてオムツ外しは、関係者がその意識を共有し協力することが大事で、それはゴールでなく、その先を目指すための一歩というのは理解できます。
<おむつはずしの過程で、利用者への接遇、声掛け、座位姿勢の重要性、歩くことの重要性などを学んでください。それはおむつはずしにとどまらず、利用者の自立に向けた支援そのものです。>
利用者の自立、尊厳の回復ですね。賛成です。道は困難なものかもしれませんが、明るい光を当ててくれました。各地で取り組んで欲しいと思います。さらに在宅介護でも。
なお、トイレがあれば解決というのがここでは一つの解ですが、私はもう一つのテーマ、<Zeroトイレ>に賛意を表しているので、次のステップも考えておく必要があると思っています。この話題も途中で止まっていますので、いつか再開したいと思います。
今日は別の用件があり、ここでおしまい。また明日。
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