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日本:特定秘密保護法案 公益を守るため見直しが必須/ヒューマン・ライツ・ウォッチ

2016-02-23 18:06:57 | 政治
「(東京)-日本政府は特定秘密保護法案を見直し、国際法が保障する国民の権利に沿った法案にすべきである。国際法の下で日本政府が負う義務を果たすために、法案は、内部告発者やジャーナリストに対する明示で保護し、人権条項を強化するとともに、「特定秘密」の定義を安全保障に著しい脅威となる情報に限定した上で、明確で制限的な秘密指定の基準が確実に設定されるように措置をとる必要がある。

この「特定秘密の保護に関する法律案」は、現在国会で修正協議が行われており、今週前半に衆議院を通過すると見られている。現行法案は政府に対して、防衛、外交、「特定有害活動」とテロリズムに分類される、「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある」情報を「特定秘密」に指定する権限を与え、これらの秘密を漏らした者への罰則を強化する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは「安倍政権下のこの法案は、知る権利を制限し、公益のためになる情報を明らかにしたジャーナリストや内部告発者までも処罰する内容となっている」と指摘。「この法案が日本政府の国際的義務に適合するよう修正されないならば、国会は法案を否決すべきだ。」

日本にはすでに、機密情報分類に関する一連の法体系が存在する。本法案が成立すれば、安全保障に「支障」をきたすに過ぎない情報の漏えいに対して、実際の危害を示し、民主主義社会に重要な知る権利とその危害を比較考量することを条件とすることもなく、現行法よりも重い罰則が適用されることになる。

日本も締約国である「市民的及び政治的権利に関する国際規約」によれば、知る権利の国家による制限が許されるのは、国の安全を保護するのに「必要な」ときに限られ、しかも、その措置は最小限にとどめ、民主主義国における他の権利の尊重と齟齬をきたさない形でなされなければならない。国家安全、表現の自由、情報へのアクセスの自由に関するヨハネスブルグ原則は、安全保障に関する情報への人権保護の適用について、1996年に国際法の専門家集団が定めた有力な原則であるが、このヨハネスブルグ原則は次のように定めている。「(……)規制が、正統な国家安全保障上の利害を保護するために必要なものであることを示すためには、政府は(a)当該の表現や情報が、正統な国家安全保障上の利害に対する深刻な脅威を生じさせることを証明する義務がある(……)。」

法案は、「特定秘密」を漏らした者を、最大10年以下の懲役及び1,000万円以下の罰金に処すると定める一方で、不正の証拠を明らかにする内部告発者の保護は盛り込まれていない。国際基準は、内部告発者が開示した情報の公益が危害を上回る場合、刑事責任を負わせないことを求めている。

現行の公益通報者保護法は、内部告発を行った労働者を解雇などの報復措置から守る法律であるが、刑事責任から守る規定はない。さらに、漏えいされた政府情報を単に受け取り、伝達し、あるいは開示したジャーナリストや出版関係者までもが刑事責任を負う可能性があり、これは表現の自由の重大な侵害といえる。日本政府は内部告発者と報道機関への保護策を、国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則、日本語訳はこちら)と最低限一致するかたちで定めるべきだ。同原則は、国際人権法の現行の解釈と国家のベストプラクティスに由来する。

特定秘密保護法案は第21条で、法律の適用にあたっては、国民の基本的人権と報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない、と定めている。しかし、出版又は報道の業務に従事する者の機密情報の収集については、「著しく不当な方法」によると認められないときに限って処罰しないとし、その定義はあいまいだ。また、第21条は公益のために情報を収集するそれ以外の人々(研究者、ブロガー、活動家、独立監視団体など)の保護に欠け、情報収集手段の適切性の判断を行政と司法の手に委ねることになる。

法案では、特定秘密の指定および解除の基準も明示されていない。言論および表現の自由の権利の保護・促進に関する国連特別報告者フランク・ラ・リュ氏と、健康の権利に関する国連特別報告者アナンド・グローバー氏は、日本の状況、とくに最近の福島原発事故と健康リスクに関する情報の非開示を踏まえて、同法案が情報の最大限の開示という原則を満たしていないことに、懸念を表明した。ラ・リュ特別報告者は9月、真実への権利についての報告を発表し、重大な人権侵害行為やそれにかかわる情報など、政府の情報非開示が許されない場合が存在すると強調している。

特定秘密の指定と解除の基準については修正議論が行われてはいるものの、公益との関係性や、審査の便宜のため、秘密指定と更新の際に行政機関が理由を書面で示す義務を負うかなどが基準に盛り込まれる様子はない。また、法案は、不正のもたらす困惑や不正の暴露からの政府の保護、政府機関の活動に関する情報の隠匿、特定のイデオロギーの確立、労働不安の鎮圧を目的としているに過ぎないのに安全保障を理由として秘密指定を行うことはできない、と明示すべきである。そして、秘密指定5年後の最初の見直しの後は、司法審査を可能とすべきである。

前出のアダムズ局長は「現在の法案では、日本政府の透明性は著しく低下し、日本が負う国際的人権上の義務に政府は背くことになる」と指摘。「政府は法案を再検討すべきだ。そして、公益ならびに知る権利と、政府の秘密保持とがしっかり均衡を保つことが重要と認めた法律を提案すべきだ。」 」

https://www.hrw.org/ja/news/2013/11/25/251888

韓国の政治構造/大西裕「歴代大統領における『理念』と『実利』」より

2016-02-23 16:43:24 | アジア
 大西裕氏は神戸大学の教授であり、『先進国・韓国の憂鬱』(中興新書)でサントリー学芸賞を受賞した気鋭の研究者である。

 その彼が『中央公論』の2016年3月号、つまり最新号に「歴代大統領における『理念』と『実利』」という6頁の論考を寄せている(44-49頁)。そこでは慰安婦問題に関する日韓の合意に関する彼の見解が示されているのだが、この合意がうまくいかないのではないかという懸念が、韓国政治の仕組みの説明とともに展開されている。おかげで合意が抱える問題点はもとより、韓国政治のあり方が実に理解しやすくなっている。つまり私たち日本人にわかりにくい韓国政治 - 例えば昔締結された日韓条約をひっくり返すようなことがなぜ公式に提起されるのか - といったことが、きちんと説明されているのである。以下その点に関わる部分を引用を交えつつ紹介したい(もちろん一番いいのは近くの図書館で中央公論を手に取ることですが)。

 大西氏はまず初めに「韓国の政治自体に二つの懸念を持っている。一つは大統領の当事者能力で、もう一つは韓国政治の理念志向である。」と述べている。

 そして大統領の当事者能力に関しては、次の3点を指摘している。まず第1点。大統領が任期5年の1期限りであり、それに対して議員は4年サイクルで再選可能なことから、与党議員さえ大統領と対立することがあり得ることを指摘している。つまり大統領は自らの権力基盤からの支持を得ることさえ容易ではないのである。

 第2点は「合意を法案化するには野党の賛成も必要だということ」である。法案を議会で通すため、というよりまず議会に出すためには、与野党間で対立のある議案の場合は在籍議員の5分の3の賛成が必要となっている(2012年成立の国会先進化法)。大西氏は「これは事実上野党に拒否権を与えたものであり、結果として朴菫恵政権下での法案成立率は三十%台に低迷している』(45頁)と書いている。

 そして第三点として韓国の政治権力のあり方そのものの問題がある。大西によれば「韓国の憲法体制は憲法機関(国会、大統領、憲法裁判所等)間対立を基本としており、大統領と国会が合意して実施した政策であっても憲法裁判所を初めとする司法機関によって覆される可能性がある」(45頁)。しかもその場合憲法裁判所は日本の最高裁判所と異なって - こちらはこちらで行政への従属という大問題がある - 「司法積極主義をとっている」(45頁)。つまり日本なら行政による統治行為として司法判断の対象とならないものが、韓国では違憲法令審査権を積極的に行使して行政等の決定を覆すことがあり、それは例えばノ・ムヒョン政権のときの首都移転法等に実際に見られることだという。そしてこれは「外交交渉の絡む案件についても同様」(46頁)だとされる。

 ちなみにこのような政治の特徴は韓国だけに固有のものではないという。司法積極主義はドイツ等で採用された現代型憲法にはよくある現象であり、「政治の司法化」として世界的な傾向だという(49頁)。

 そこで大西は慰安婦合意を決着させるためには政府レベルを超えた韓国内での政治的合意が必要だと指摘するが、それがまた容易ではないとする。そこで問題になるのが「韓国政治の理念志向」ということである。

 韓国政治では、保守派と進歩派の対立が厳しく、対立軸はアメリカと北朝鮮だとされる。保守派はアメリカを中心とする経済秩序と安保秩序に立ち、進歩派は現在の秩序が半島の南北分断を固定化し民族の自主性を損なっているとして現状批判的だとされる。

 この理念対立が経済格差拡大や、対日世論と交錯して、実用主義的な政治判断を困難にする傾向・実例があるという。こうなってくると日韓両国政府の間の合意、それも文書なき合意がこの問題の最終決着になるかどうかはかなり怪しいと言わざるを得ないだろう。朴政権が世論を納得させ得るか、次の政権に引き継げるか、問題は多いといえるし、大西氏自身もそのように書いている(49頁参照)。

 私としては、この合意の行く末もさることながら、行政優位で三権分立が形骸化している日本政治にとって、むしろ韓国政治のあり方が参照さるべき存在なのではないかという気がする。皆さんはどのようにお考えだろうか。

老人ホーム連続転落死に見る「介護崩壊」の予兆 90歳入所者が暴露した「“豪雨”の介護現場」のリアル

2016-02-23 15:45:17 | 政治
「 以下のメッセージは、私の知人でもあり、最高齢の“友人”でもある90歳の女性が、先週送ってくださったモノだ。彼女は、有料老人ホームで要介護の夫と暮らしている。

 川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入所者3人を殺したとして元職員の男が逮捕された件で、

「今度の事件もただうわべだけで判断できないものを感じています。介護の現場の実情を一人でも多くの人に知ってもらいたい」

と、メールを送ってくださったのである。

有料老人ホームに住む90歳の友人からの手紙

 容疑者の計画的な犯行は決して許せるものじゃない。「ストレスが殺害動機につながった」といった趣旨の見解も、あまりに直接すぎて引っかかるものもある。

 「他人事ではない」とする“友人”の話には、今の介護現場のリアルが描かれていれていた。そこで、“自分たちの問題”として、まずはお読みいただきたいと思う。

「Sアミーユ川崎幸町で起こったことは、他人事ではないような気がしています。殺害なんて絶対に許されることではないし、虐待も暴力もいかなる場合も許し難いことです。

 でも、入所者の中には大声で喚き散らす人、たえずヘルパーを呼びつける人、自分がわからなくなってしまった人、思うようにならないとヘルパーの手にかみつく人など、さまざまです。

 そんな人達の家族に限って 面会に来ることがなく、ホームに預けっぱなしなのです。

 私は夫とともに、毎日、食堂で食事をしているのですが、食事は終わったのに、食べた感覚がなく『食事を早くください!』『死んでしまいます』と大声でわめいている女性がいて、若いヘルパーが優しく対応している姿に頭の下がる思いがしています。

 ヘルパーさんたちがあまりに大変そうなので、食器を運ぶくらいお手伝いしようと申し出ました。でも、絶対にやらせてもらえません。ナニかあったときに、施設の責任になるからです」

「感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません」

 「先週、またヘルパーが2人辞めてしまいました。理由は『給料が少なくて結婚できないから』ということでした。離職者があとを絶たず、なかなか補充もできないので、残ったヘルパー達が、過重労働を強いられているのが現状です。

 ホームには各部屋にインターホーンが設置してありますが、認知症の進んだ入所者が夜間もひっきりなしに押すこともしばしばです。夜勤ヘルパーは、その度に対応しなくてはならない。就寝前に投薬が必要な人もいるので、夜勤の仕事はかなり重労働です。

 ヘルパーの中には夜勤はしない、という条件で勤務している人もいるので、限られたヘルパー達が順番でやっています。すぐに順番がやってくるので、真面目なヘルパーは体重は減るわ、顏はやつれるわで見ていて可哀想になります。私はいつもそんな彼等に感謝と激励の言葉を送っていますが、そんな感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません。

 みなさん、献身的にやってくださります。でも、……人間には限界ってものがありますよね」

「高齢者へ3万円支給するなら、介護関係に回すべき」

 「政府は『施設を作る』と言っていますが、その前にヘルパーの待遇を改善すべきだと思います。ヘルパー不足は入所者へ深刻な影響をもたらしているのです。1日4回だったオムツ交換が3回になり、夜間見回りもなくなり、適性があろうとなかろうとスタッフを採用するしかない。悪循環です。

 私は今度の事件で介護ヘルパーが尻込みしてしまわないか、心配です。多くのヘルパー達は献身的に頑張っているのです。待遇改善に向けた世論がもっと高まらないものか、といつも思っています。

 所得が低い高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき、だと思います。ここはまさしく姥捨山です。入所者たちはみんなそう言っています。

 入所者は、家庭内介護が限界にきたために、本人の意志ではなく“入れられた”人が多いので、私のように発言できる入所者は滅多にいないと思います。

 私のコメントがお役に立つようでしたら、こんな嬉しいことはありません。どうか薫さんのお力で、たくさんの方に現状を知ってもらってください」

 以上です。

介護施設が、人の「生きる力」を奪いつつある

 これが人生の終の住処、介護の現場のリアルです。

 介護する人、される人、介護施設を運営する人、預ける人……。

 “友人”のメッセージには、介護という現場に関わるすべての立場の人たちの、日常と、苦悩と、懸命さと勝手さと……。そして、自分ではどうにもできないジレンマが描かれていて、正直ショックだった。

 これまでにも介護問題は度々取り上げてきたし、現場の方たちの話をいくどとなく聞いてきたけど、今回改めて、介護施設という“環境の力”が、暴力的なまでに、そこに“いる人”の生きる力を食い荒らす“化け物”になっていると感じてしまったのだ。

 だが残念なことに、現状の「介護」には誰もが「問題あり!」と感じているのに、どこか他人事で。実際に自分の頭の上に“雨”が降ってこないことには、その雨の冷たさがわからない。

 そう。「すごい大変な雨が降ってる」と頭でわかっても、心で感じ取ることが実に難しい問題という問題がある(ややこしい)。

 私自身、自分では介護関係の人たちの話に耳を傾け、現場に足を運び、寄り添っていたつもりだったが、父のことがあって初めて本当の“雨”の冷たさがわかった。

 “プレ介護”状態になった父との関わり方に戸惑う事ばかりで。

 不安と、切なさと、怒りと、悲しさと……。ストレスの専門家なのに、ぐちゃぐちゃで上手く対処できなかった。唯一ホッとできた瞬間は、「なんか今日、パパ元気だ!」と感じられたときだけで。

 散々「生きる力」だのなんだの研究してきたにも関わらず、「人間に本当に生きる力なんて、あるのだろうか?」と思ってしまったり、研究してきた理論も、調査結果も、なんだかえらく遠い世界の出来事のように感じた。

 しかも、なぜがそれを誰にも言えなかった。いや、言いたくなかったといった方が正確かもしれない。

 自分でさえ認めたくない“自分“を感じとる瞬間があって、私自身がそれに耐えられなかったのだと思う。うまく言えないけど……。

増える介護施設での利用者虐待

 実はこの“友人”のメッセージを、他のメディアで取り上げたとき「90歳の方の言うことを鵜呑みにするのか?」「この介護施設だけの話だろ」という意見があった。

 批判を恐れずに言わせていただけば、「90歳を舐めるなよ!」と。“友人”は私よりよほどしっかりしていて、世の中を実に冷静に、客観的に、やさしく、ときに厳しく見つめるまなざしをもっている人生の大先輩だ。

 「うぬぼれかもしれないけど、私はここにいる人たちの代弁者だと思っています」――。 メッセージの最後にはそう加えられていた。

 そもそも介護保険制度は、介護を医療から分離することで始まった制度だ。高齢化が進み、医療の範疇のままでは医療費がかさみすぎるという考えから、医療と介護とに分けられた。専門家の中には、「そもそもこの制度自体、介護にはお金をかけないという視点から始まった経緯がある」と指摘する人もいる。

 人間には限界ってものがありますよね――。

 この言葉の真意を、もっともっと、一人でも多くの人が“我が事”ととして受け止め、考えて欲しくて、“友人”のメッセージをここでも取り上げさせてもらいました。

 厚労省が2月5日に、高齢者虐待防止法に基づき発表したデータによれば、2014年度に特別養護老人ホームなどの介護施設で発覚した職員による高齢者への虐待は300件(前年より35.7%増)で、過去最多を記録した。

 被害の約8割は認知症のお年寄りだった。また、虐待の内容は、殴る蹴るなどの「身体的虐待」が最も多く63.8%。次いで、暴言を吐くなどの「心理的虐待」、「経済的虐待」おむつを替えないなどの「介護放棄」だった。

 また、虐待をした職員の年齢は、「30歳未満」の割合が22%で最も高く、男性の場合は34.4%、女性だと17.3%を占めた。

 虐待の要因は認知症への理解不足といった「教育・知識・介護技術などに関する問題」が6割超と最多で、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が約2割だった。

 厚労省の担当者は「知識不足とストレスが合わさって虐待に至ってしまうケースが多いようだ」としているという。

本人が独力で解決できる問題なのか???

 「知識不足とストレス」――か。

 確かにその通りなのだろう。だが、どこか他人事のようで……。もっと環境にスポットを当ててくれよ、と。

なぜ、「虐待」の原因にストレスがなってしまうのか? 
介護の現場の、ナニがストレッサー(ストレスの原因)になっているのか?
そのストレスを軽減するには、どうしたらいいのか? 

 厚労省の役人であればこそ、
「介護の制度やあり方には構造的に問題がある。超高齢化社会に向けて、国は根本的に考え直す必要があるかもしれない」
くらいのことを言ってほしかった。

 いかなる状況であれ、虐待や暴力は許されることじゃない。だが、そこで起こる“事件”は、環境の問題でもあり、心、すなわち感情の問題でもある。お国の“担当者”であれば、それくらいわかるはずだ。 

 批判ついでに言わせてもらえば、「知識習得」っていうけど、物理的にも精神的にもギリギリの状態で働いている介護の現場の人たちに、知識を習得する時間などない。今の状況のままで、たとえ機会を義務付けたところで、本当に効果的な教育が行えるのか?

 「離職者があとを絶たず、その補充もなかなか見つからないので、残ったヘルパー達が、過重労働を強いられているのが現状」(前述の手紙より)で、特に「夜勤」は精神的にも、肉体的にも負担だ。

 虐待が発生している現場では夜勤が月15日以上、勤務時間は280時間にも及ぶ例があり(NPO法人全国抑制廃止研究会調べ)、介護職の方の中には手取りが10万円ちょっとで、生活のためにバイトをしている人もいる。

 2015年12月の介護サービスの有効求人倍率は3.08倍で、全職種平均の1.21倍の2倍超。 14年度の年間離職率は16.5%(介護労働安定センターの調べ)。このうち勤続1年未満で辞めている人が約4割を占めた。約6割が「職員が不足している」と答えた。

学び、磨く時間がどこにあるのか?

 念のため繰り返すが、知識が重要なのは当然のこと。

 だが、いつ、どこで、どうやって知識を習得する機会が作れるのか? 現状をしっかり見据えた上じゃなきゃ、ただの机上の空論に過ぎないのである。 

 しかも厚労省は人手不足解消のために、介護職の資格要件の緩和の措置を打ち出している。団塊世代が75歳以上になる「2025年問題」に備え、質よりも量といわんばかりで、あべこべじゃないか。

 そもそも介護や保育などのヒューマンサービスワーカーたちは、究極の感情労働者(emotional labor)だ。

 かつて肉体労働者が、自分の手足を機械の一部と化して働いたように、感情労働者は自分の感情を自分から分離させ、感情それ自体をサービスにするため、とんでもなくストレスがかかる。

 特に介護現場の感情労働者は、サービス対象となる要介護者の数だけ、感情を切り分け、演じる必要があるため、降りそそぐ“ストレスの雨”も多い。

 認知症のおじいさん、車いすのおばあさん、ベッドで一日中すごす寝たきりの老夫婦……。身体の状態、認知機能、突然の変化、10人いたら10通りの“感情”が求められる。

 それでも“人生の最終章”を、できるだけ“心地よいひととき”を過ごしてもらいたい、少しでも“笑顔”にさせてあげたいとほとんどの介護職の方たちは願っている。

 もちろん鼻っからヒューマンサービスの適性が微塵もない人もいるかもしれない。人手不足から適性を見極める余裕もなく、人を雇っている施設も少なくない。でも、それでも、「多くのヘルパー達は献身的に頑張っている」(前述の手紙より)のである。

年中“雨季”なのに、どこにも傘がない

 
 だが、ギリギリの人数で、長時間労働を強いられ、二言目には「責任、責任」と家族から責められ、高齢者と上手くコミュニケーションが取れなかったり、何度注意しても聞いてもらえなかったり、暴れられたりしたら……、誰だって心が折れる。

 真逆の感情が自分の内部で激しくぶつかりあい、「抱くべき(抱きたい)感情」と「抱いた感情」のズレを修正できず、感情の不協和に陥り、燃え尽きたり、罪の意識にさいなまれたり、本当の自分が分からなくなったりと、極度なストレス豪雨でびしょ濡れになってしまうのだ。

 いわゆるバーンアウト。

 「持続的な職務上のストレスに起因する衰弱状態により、意欲喪失と情緒荒廃、疾病に対する抵抗力の低下、対人関係の親密さの減弱、人生に対する慢性的不満と悲観、職務上能率低下と職務怠慢をもたらす症候群」

 こう定義される状態に陥るのである。

 実際、介護職に携わる3割以上もの人がバーンアウト状態にあるとの報告もあり、「賃金の低さ」だけじゃなく、バーンアウトも離職の大きな理由なのだ。

 つまり、「ストレス」「ストレス」とマスコミも含め言葉を連発し、「ストレスが虐待の原因」などと口にする“先生”もいるが、介護の現場はもともとが“湿潤気候”。梅雨のようなシトシトとした雨と、落雷を伴うゲリラ豪雨が繰り返し降る、ストレスの雨の多い職場だ。

 そういった職場環境では「雨を減らす努力」と「傘を増やす努力」の両方が求められる。

「3万円」を何に使いますか?

 そう。どんなに雨の多い職場でも、傘をたくさん準備し、時には同僚や入所者の家族に傘を借りたり、傘に入れてもらえれば、びしょ濡れにならずにすむ。だが、今の介護の現場には「傘」がない。。

・時間的余裕
・余暇や休息の時間
・専門知識
・専門的スキル
・サポーティブな人間関係(上司、部下、同僚、入所者の家族 etc)
・労働に見合った金銭的報酬
・ねぎらいの言葉などの心理的報酬
・社会からの評価
etc etc…… 

 そういった“傘”がない状態で、土砂降りの雨の中で戦わされている。傘で雨をしのぐことさえできれば、「おじいちゃんやおばあちゃんの笑顔」で、元気になれる。

 「大変だったけど、良かった」――。
  そんな風に思える瞬間が職務満足感を高め、モチベーションを引き出し、いいサービスにつながっていく。

 と同時に、雨を上手くしのいだ成功体験が、そこで働く人たちのストレスに対処する力を育くみ、激しい雷雨に襲われても、折れない生きる力を引き出すのである。

 私が今、書いていることは「夢の世界」だと思われるかもしれない。ふむ。そのとおりだ。でも、こういった傘の多い世界を目指すべきだし、雨を雨と感じなくてすむ教育をすべきだし、そうなれば、「年をとることの不安」も少しだけ軽減できる。

 とはいえ最大の問題は、こんな夢物語を語っている最中にも、土砂降りの雨に濡れている介護職の方たちが山ほどいて、せつない思いをしてるおじいちゃん、おばあちゃんがいるってこと。

 では、どうすればいいか? いちばん手っ取り早く増やせる傘は何か?――。それはとにかく「賃金を上げる」ことだ。

 「所得の低い高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき」(前述の手紙より)。

 介護職員の平均月収は21万円程度で、他の職種より10万円ほど低い。これには施設長や看護職員など、比較的高い賃金の職種の方たちも含めた数字なので実際の月収は10万円程度という人も多い。

 この低賃金を一般平均である30万円程度にするには、年間1兆4000億円が必要となる(NPO法人社会保障経済研究所算出)。労働人口で単純計算すると「1人あたり年間3万円弱」。今後、高齢化がさらに進むことを考えれば、将来的には負担額はもっと多くなるに違いない。

 3万円の価値。アナタはどう考えますか?」

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/021900035/?P=1

サンダース旋風の裏にある異様なヒラリー・バッシング/ニューズウィーク・渡辺

2016-02-23 14:59:03 | 国際
 ニューズウィークという雑誌自体はかなり偏向しているというのが私の印象です。でもそこに載っているブログ記事がすべてそうだとは考えていません。以下の渡辺さんのバーニー・サンダース候補に関する記事は一つの参考になると思います。

 ただ、怒れる若者の実情への理解があるようにはあまり思えません。若者たち、男性たちは、国や社会に見捨てられ、女性たちのためには存在する様々な団体の支援もなく、ただ放り出されているのではないかと思います。その点で日本の若者も同じです。その怒りが、アメリカの右派ではトランプに、左派ではサンダースに向かい、日本では若者の馬鹿げた行動 - 爆破予告やバイト先での逸脱行動 -になっているように感じます。いずれにせよ、ご参考までに。

「 2008年の大統領選挙では、若者たちがバラク・オバマを熱狂的に支持した。共和党のブッシュ大統領(当時)が始めたイラク戦争が泥沼化し、膠着状態に陥った連邦議会への不信が高まるなか、黒人で、新人上院議員のオバマは、「政治と国を変えてくれる救世主」としてすがりつくのに最適の人物だった。当時若者の間では、アメリカの古い世代とその価値観を否定する行為として、フェイスブックの名前のミドルネームをオバマにならって「フセイン」にするのが「かっこいい」こととして流行った。

 今回2016年の大統領予備選挙で、リベラルな若者たちから熱狂的に支持されているのは、自称「民主的社会主義者」のバーニー・サンダースだ。昨年大統領選への出馬を発表したときには、メディアから「絶対に勝ち目はない」と笑い者にすらされていたサンダースだが、今月9日のニューハンプシャー州予備選では、ヒラリー・クリントンに支持率で25ポイントの大差をつけて圧勝した。

 この珍現象を可能にしたのは、ちょうど大学生くらいの年代の若者たちだ。

 連邦議会の議員としては、ヒラリーより長いキャリアを持ち、しかも6歳も年上の74歳の白人のサンダースを、なぜ若者が支持するのだろうか?

 アメリカでも不思議に思われているこの現象を、ニューハンプシャー予備選の取材を通して体感してきた。

【参考記事】<ニューハンプシャー州予備選>左右のポピュリストを勝たせた米政界への怒り

 予備選の投票の4日前、バーニーとヒラリーの両候補が講演する民主党のイベントが開催された。会場前では、マイナス10度の厳しい寒さにもかかわらず、候補のボランティアたちがプラカードを持って立っていた。

 ここまではよくある風景だが、会場入り口に近づくと大音響で音楽が流れている。「政治イベントにしては現代的でヒップな曲だな」と思い見てみると、録音ではなく、テントでDJがプレイしている。テントにはサンダースの愛称「バーニー」と書いてあり、その前で若い女性がフラフープを回しながら腰をくねらせて踊っている。

「どこかで見たような風景だ」と思って、すぐに気付いた。ロックコンサート、それもグレイトフル・デッドのコンサートだ。

 グレイトフル・デッドは、1960~70年代にかけて流行ったヒッピー文化とカウンターカルチャーを代表するロックバンド。この時代の若者はベトナム戦争で政府への不信感を募らせ、既成の社会体制を否定して新しい価値観を見出そうとしていた。それがカウンターカルチャーであり、ヒッピー・ムーブメントだった。

 サンダースの支持者は、他の候補と比べると圧倒的に若者が多い。「民主的社会主義」の理念でアメリカの政治を根本的に変えることを約束するサンダースは、現代の若者にとっては「反体制」の指導者であり、21世紀のカウンターカルチャーのリーダーとみなされている。

 もちろん違いはある。20世紀のカウンターカルチャーの背景にはベトナム戦争があったが、徴兵制度がない今の若者にとって、泥沼化しているイラク戦争はさほど身近なものではない。それよりも、値上がりを続ける大学の授業料と就職難のほうが肌で感じる切実な問題なのだ。

 トップ大学の学費は年間500万円を超え、学費ローンという借金を抱える大学卒業生は半数以上。卒業時点での借金の平均は現時点で500万円程度だという。しかも、アメリカでは、四年制の大学を卒業しただけでは高給の職には就けない。「海洋生物学を学んだのに、それを活かすためには大学院に行く必要があり、その資金を貯める就職先がない」と嘆く若者や、「非営利団体での仕事は楽しいけれど、給料が安いのでローンを返せない」とぼやく若者が筆者の知り合いにも沢山いる。しかも彼らは、アメリカでは収入が上位10%に属する中産階級の子弟なのだ。

 国民の収入格差は、現代アメリカが抱える深刻な問題だ。上位0.1%に属する少数の金持ちが持つ富は、下方90%が持つ富の合計と等しく 、70年代にはアメリカの過半数だった「中産階級」(調査機関ピュー研究所の定義では、国民の平均年収の3分の2から2倍の収入がある層) が消えつつある。

 サンダースは、大衆の心をとらえやすく、覚えやすいようにするためだろう、「99% vs 1%」という数字を使っている。不公平な時代に生まれたことに憤る若者たちにアピールするのが、サンダースの「近年では、経済がもたらす新たな収入の99%は、上位1%に行っている」 というスピーチと、次のような公約だ。

・大学の学費を無料にする
・北欧のように国民全員が無料で医療を受けられるようにする
・中産階級から搾取して富を独占するウォール街を解体し、収入と富の平等を図る

 60年代の若者の敵は、戦争や人種差別を続ける政府だった。サンダースを支持する現代の若者の最大の敵は「上位1%に属する大富豪」であり、その1%を独占する「ウォール街」だ。このあたりは、2011年の「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動の流れを受け継いでいる。

【参考記事】アイオワ州党員集会 共和党は正常化、民主党は異常事態へ

 彼らは、共和党候補だけでなく、サンダースのライバルであるヒラリーと、ヒラリーを応援する政治家も、上位1%を支える「体制」側の敵とみなしている。ニューハンプシャー州マンチェスター市で開催された民主党のディナーイベントで、それは如実に見て取れた。

 イベント会場は、ふだんはアイスホッケーの試合が行われるアリーナで、面白いことに、バーニーとヒラリーの双方の支持者が、対戦するホッケーチームを応援するファンのように、ステージを挟んで左右に綺麗に分かれて座っていた。

 ヒラリー応援団には、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)活動家、人権理事会(HRC)、家族計画連盟(Planned Parenthood Federation)といった支援団体のメンバーが目立ち、まとまった感じだった。

 一方のサンダース応援団は若者が多いが、60~70歳くらいの年配の人が結構混じっている。彼らも、かつてはジャック・ケルアックの本をベルボトムのジーンズのお尻のポケットにつっこみ、ウッドストックや反戦運動に出かけた若者たちなのだろう。

 大学の学費を無料にするためには、巨額な資金が必要だ。医療費もそうだ。「ではその資金はどこから持ってくるのか?」という人々の疑問に対して、サンダース陣営からは「ウォール街から」という答えが戻ってくる。

 シンプルな回答にサンダース支持者は満足しているようだが、少しでも現実的になれば、それが不可能なことは明らかだ。彼らが望むとおりウォール街を解体して搾取しても、経済の混乱を引き起こすだけで国民全員に無料で大学教育と医療を与えることはできない。サンダースが成功例として挙げる北欧諸国は租税や消費税が高いが、彼らはアメリカの税金が上がるのは断固として反対のようだ。トップ1%の金持ちが下方99%のコストを払えばいいと信じている。

 サンダース信奉者たちは、「タダ」を実現するコストについては考えない。

 さらに、60年代ヒッピーの合言葉は「ラブ&ピース」だったが、サンダース支持者たちは、どちらかというと「ラブ」よりも「ヘイト(憎しみ)」の方が強いようだ。

「大学の学費を無料にする」というサンダースの政策に対して、ヒラリーは「私とバーニーが求めることは同じ。けれども、私は現実主義者。できることしか約束しない」と反論するが、サンダースの支持者は許さない。理想主義者の彼らは、少しでも「体制」の臭いがするものを徹底的に攻撃する。

 女性で民主党全国委員長のデビー・ワッサーマン・シュルツがスピーチを始めると、すぐにあちこちからヤジが飛び始めた。私は偶然サンダース応援側の席に座っていたのだが、大声でヤジやブーイングをしているのは、私の周囲にいる若い男性たちばかりだ。

 席を2つ挟んだ右手の男性は、サンダースの名前をネオンのように光らせたプラカードを胸に掲げ、「You suck!(おまえは最低だ!)」とひっきりなしに大声で叫び続けている 。

 これがメディアで噂の「Bernie Bros(バーニー・ブラザーズ)」だ。

 サンダース支持者のなかには、ソーシャルメディアやニュースメディアのコメント欄に人格攻撃に近いヒラリー批判を書きこみ、それに反論する女性がいれば、「自分のほうが正しい」という独善的な態度でその女性まで攻撃する若い男性が増えている。彼らは「Bernie Bros」と呼ばれ、インターネットでは以前から話題になっていた。

 メディアでは「そういう人がいても、少数だけ。それで苦情を言うヒラリー陣営は大げさ」と捉えていたが、このイベントでヤジを飛ばす若い男は少数ではない。

 元女性州知事で現職上院議員のジーン・シャヒーンがヒラリー支持表明のスピーチをしている最中も、ブーイングや大声のヤジは続いた。

 60歳くらいのサンダース支持者の女性が、見るに見かねて前に座っている若者に注意したところ、彼は顔を真っ赤にして「憲法修正第1条で保障された表現の自由を知らないのか? 僕には発言の自由がある!」と、注意した女性に向かって怒鳴り始めた。

 共和党候補のトランプのイベントでも、応援にかけつけた政治家に悪態をつく支持者がいたが、態度の悪さでは、サンダース支持者はトランプ・ファンと同等だ。

 Bernie Brosを見ていると、どうやら「革命」を口実にして、「体制」を象徴するヒラリーやその支持者を血祭りにあげることで自己満足に浸っている若い男性が少なくないようだ。

【参考記事】サンダースを熱狂的に支持する若者たちは、民主主義を信じていない

 一般論では「若者が政治に関心を抱き、参加するのは良い事」なのだろうが、Bernie Brosを目撃した今は、疑問を感じずにはいられない。

 妥協を許さない「オール・オア・ナッシング」の理想を貫けば、社会は機能しなくなるし、戦争を回避することもできない。ヒラリーを叩きのめして、11月の本選で共和党候補を勝たせれば、極右の最高裁判事を任命し、「女性が中絶を選ぶ権利」や「同性婚の権利」が撤回される可能性もある。その危険を訴えるLGBTや人権理事会のメンバーからの意見には、サンダースの熱狂的支持者は耳を傾けようとはしない。

 そんな若者たちが、「票」という武器を手にしてソーシャルメディアで仲間に「革命」を呼びかける現状こそが、アメリカの民主主義の危機なのかもしれない。」

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4539_1.php

中国の負債問題、2019年がピークか/朝鮮日報

2016-02-23 14:08:49 | アジア
「 ブルームバーグ通信が21日、大手金融機関のエコノミスト12人を対象に中国の負債問題に対する見方を聞いたところ、7人が中国の債務の対国内総生産(GDP)比が少なくとも2019年まで上昇すると答え、4人は20年以降も負債が増えると予想した。回答者が予想した対GDP比は平均283%だった。

 最近スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、09年から昨年6月までに中国の負債増加率が年11%に達し、5年後には通貨危機直前の韓国と似た状況になると予想した。中国企業の債務は現在対GDP比が163.1%で、韓国の通貨危機当時(116.1%)だけでなく、日本のバブル崩壊後の構造調整期(149.2%)や米金融危機(72.6%)当時よりも高い。こうした懸念があるにもかかわらず、最近の経済成長鈍化懸念を受け、融資が再び増えている。中国人民銀行(中央銀行)によると、先月の人民元建て新規融資は2兆5100億元(43兆4800億円)で、過去最高を記録した。

 ゴールドマン・サックスは最近のリポートで、中国が負債急増で深刻な景気低迷や金融危機に陥る可能性があると警告した。ゴールドマン・サックス個人資産運用のシャーミン・モサバル・ラフマニ最高投資責任者(CIO)は「主要国は全て債務急増で金融危機や長期間の景気低迷を経験した。歴史は中国も同じ運命に直面したことを示している」と指摘した。

 専門家は中国の債務調整過程で銀行のシステム危機まで生じるかどうかは不透明だが、投資家はそうしたリスクにも備えるべきだと指摘した。KDB大宇証券のコ・スンヒ研究員は「中国は他国と異なり、国有企業の割合が高く、主な商業銀行も政府がコントロールしているため、銀行はシステムへの衝撃を受けずに構造調整を終えることができるとみられるが、その過程でかなりの雑音が生じかねない。銀行の不良債権、シャドーバンキング、地方債などに関する統計の信頼性が低いため、どんな突発的要因が出てくるか見通すことが難しい」と分析した。

金垠廷(キム・ウンジョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版」

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/23/2016022300675.html

日本を農薬大国に育てた“農薬ムラ”の利権構造

2016-02-23 13:59:34 | 産業
 日本という国は人間も農産物も薬付けのようです。

 清原だけじゃないんですね。

 関係業界と政界は全く中毒状態、ということでしょうか。

「日本は世界3位の農薬大国
「国産農産物は、農薬が少なくて安全」というイメージが強い。TPP大筋合意を受けて政府も「日本の安心・安全な農産物の輸出を増やす」と意気込んでいる。

ところが、「実は日本は世界でも有数の“農薬大国”なんです」と語るのは、イチゴの無農薬・無肥料栽培に挑戦する農家の姿を描いた『希望のイチゴ』の著者、田中裕司氏。

「日本の耕地1ヘクタール当たりの農薬使用量は中国、韓国に次いで世界3位。米国の5倍、フランスの3.5倍を超えます」

⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=83742

農薬使用量 そして、数ある農作物の中で「無農薬栽培が最も難しい」と言われているのがイチゴなのだという。

「イチゴは特に農薬の使用回数が多いことで知られています。生産量1位の栃木県の年間平均農薬使用回数が52回、2位の福岡県で63回、長崎県は65回。南の地域ほど農薬の使用回数が多くなる傾向があります。気温が高いと病害虫の活動が活発になるからです」(田中氏)

自然栽培農家・木村秋則さんの著書、『奇跡のリンゴ』(幻冬舎)で無農薬栽培の難しさが広く知られたリンゴだが、イチゴの農薬使用回数はそれを上回る。

「例えば青森県では、リンゴの農薬使用回数は平均36回ですが、イチゴは40回。つまり長崎県のイチゴは、青森県のリンゴの倍近くの農薬使用回数ということになります」(同)
イチゴの旬を冬にずらしたことで農薬が増えた
なぜイチゴは、これほどまでに農薬の使用回数が多いのだろうか。これには栽培環境と栽培時期が大きく関係する。

「イチゴはもともと屋根もハウスもない露地で栽培されていて、かつての旬は4~6月でした。ところが、ビニールハウス栽培の普及と品種改良によって旬を冬にずらすことが可能になったのです。

イチゴ農家はクリスマスに照準を合わせ、競ってこの時期に出荷するようになりました。旬をずらしたおかげで、苗づくりから収穫までの期間が約7か月から1年を超えるようになりました。栽培期間に比例して農薬の使用回数は増え、収穫直前までまかれます」(同)

この農薬たっぷりの構造を支えているのが、農薬利権に群がる“農薬ムラ”と日本の甘い農薬残留基準だ。

「農協(JA)が種と肥料、農薬をセットで売り、農薬を使うように指導しています。そして農水省や農水族議員、JA、農薬メーカーなど“農薬ムラ”の存在があります。農水官僚は関連団体に天下り、関連団体・企業は選挙や献金で自民党を支援する。その結果、甘い残留基準が温存されて、農薬漬けの状況から抜け出せなくなっているのです」(同) <文/HBO編集部>」

http://hbol.jp/83555

テレビテロップの間違いは放送局員のレベル低下の証

2016-02-23 13:54:17 | 報道
ちょっと気がついたことを一言。

最近テレビのテロップで間違いが目立つ。

例えば、「民俗」とすべきところを「民族」等。

変換ミスに気がつかずそのままにしているのは、単なるケアレスではなく、正しい表記を知らない連中が番組を作っているからではと思われる。

自戒を込めつつ申し上げます。

放送局関係者。

勉強しなさい。


朝米、昨年末に平和協定で非公開協議/ハンギョレ

2016-02-23 13:49:12 | 国際
「 北朝鮮と米国が北朝鮮の「平和協定の提案」と関連し、昨年末に非公開の協議を行ったことが確認された。一種の「探索的対話」といえるものだが、非核化問題をめぐって双方の立場がするどく対立し、決裂したことが明らかになった。

 ジョン・カービー米国務省報道官は21日(現地時間)、米紙ウォールストリート・ジャーナルが「朝米間の平和協定非公開協議」と報じたことに関連したハンギョレの確認要求に、「はっきり言うと、平和協定について協議しようと提案したのは北朝鮮側だ」とした上で「北朝鮮の提案を慎重に検討した後、非核化がそのような(平和協定)の議論の一部にならなければならないという点を明確にした」と明らかにした。カービー報道官はまた、「北朝鮮は、私たち(米国)の逆提案を拒否した」とし「北朝鮮の提案に対する私たちの逆提案は、非核化を強調してきた米国政府の立場と一致するもの」と付け加えた。

 これに先立ち、ウォールストリート・ジャーナルはこの日、北朝鮮が先月6日、4回目の核実験を敢行する数日前に、朝米が朝鮮半島の平和協定の締結のための協議に合意して▽米国が「非核化を優先する」という前提条件を放棄し、平和協定に向けた協議を進めたと報じた。

 朝米間の非公開協議は、核実験の数日前に行われたという同紙の報道とは異なり、昨年11月頃にあったものと思われる。ワシントンの外交消息筋は「12月以前に行われたもの」と話した。朝米間の非公開協議はリ・スヨン北朝鮮外相が昨年10月1日、米国ニューヨークの国連本部での基調講演で、停戦協定の平和協定への切り替えを提案した後、国連北朝鮮代表部がこの発言を米国に説明する形で行われた。

 米国が北朝鮮の議論提案に応じたことについて、同紙は「北朝鮮の非核化措置が先」という前提条件を放棄したものと報じたが、これは「探索的対話」と「6カ国協議」の概念を混同したことによるものと思われる。米国は6カ国協議の再開については、「言葉ではなく行動で非核化措置を示すべきだ」という条件をつけたが、いわゆる朝米間の「探索的対話」については、非核化に議論の焦点を合わせるべきとしながらも、前提条件はないと明らかにしてきたからだ。

 米国が朝米間の協議で「非核化が、そのような(平和協定)の議論の一部にならなければならない」と北朝鮮に伝えたことをめぐり、一部では、北朝鮮に対する制裁局面が終われば、米国政府が「非核化交渉と平和協定協議の同時推進」を強調した王毅・中国外交部長の提案を受け入れられるという意味ではないかという分析もあるが、現時点ではその可能性はかなり低いものと見られる。これまで米国の公式ブリーフィングで一度も立場は変わっておらず、米国が北朝鮮の提案を真剣に検討しているという状況証拠もなく、韓国政府が強く反対することが必至だからだ。むしろ王毅部長の提案が出た後、このような報道が出てきたのは、「米国が努力したにもかかわらず、北朝鮮が非核化の協議に反対しているため、平和協定に向けた議論も不可能である」と反論するための、米国側の情報操作の側面が強いと思われる。

 これと関連し、韓国外交部当局者は「韓米は最近、首脳会談や電話会談などを通じて、北朝鮮の核問題を最高の緊急性と確固たる意志を持って取り上げており、北朝鮮とのいかなる対話においても、非核化が優先されるべきという一貫した立場を堅持している」とした上で、「平和協定の問題と関連した米国側の従来の立場に変わりはない」と述べた。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-22 08:47

http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/731450.html訳H.J」

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/23396.html