白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

安倍政権が目指す集団的自衛権の中核はミサイル防衛/ハンギョレ

2016-02-21 17:39:51 | 軍事
「 「北朝鮮のミサイル発射では、平和安全法制(安全保障関連法)と新たなガイドラインのもとで強化された日米同盟が円滑に効果をあげた」
 今月16日の夜、東京の首相官邸。安倍晋三首相が訪日したハリー・ハリス米太平洋軍司令官に、両国が昨年4月、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改正により、「グローバル同盟」に強化された日米同盟とミサイル防衛(MD)の相関関係について、このような意味深長な発言を行った。ガイドライン改正を通じてMDのための両国の協力が強化され、北朝鮮のロケット発射に対する共同対応がより円滑に行われたと感謝の意を伝えたのだ。

 毎日新聞は19日、北朝鮮がロケットを打ち上げた今月7日、日米がガイドライン改正で新設した「同盟調整メカニズム」(ACM)を通じた初めての合同指揮所演習(キーンエッジ)を実施する真っ最中だったと伝えた。この同盟調整メカニズムは、韓米同盟の韓米連合司令部に対応する両国軍当局間の常設協議機構だ。

 北朝鮮のロケット発射予告が出るとすぐに、演習の拠点とされている東京の横田基地がそのまま北朝鮮の「ミサイル(ロケット)対応のための指令塔」となった。自衛隊の幹部は、「おかげで、(日米両国軍当局が)イージス艦などの配置を円滑に調整できた。北朝鮮が直前に発射予告期間を前倒ししても慌てずに済んだ」と話した。両国は、横田基地に日米共同統合作戦調整センター(BJOCC)を設置し、MD情報をリアルタイムで交換している。

 同紙はさらに踏み込み、「弾道ミサイル防衛(BMD)は、米国を標的とした弾道ミサイルを自衛隊が迎撃することを想定している。集団的自衛権の行使なしに成り立たない」とし、米国が日本の集団的自衛権を許可した主な理由が、最終的にMDを通じた米国の防衛だと指摘した。

 実際、昨年4月に改正されたガイドラインによると、「日本以外の国(米国)に対する武力攻撃がされた場合」、自衛隊が「弾道ミサイルの迎撃で協力する」と定めている。それ伴い現在、日本政府は、米空軍基地があるグアムに向け打ち上げた北朝鮮の中距離弾道ミサイルを自衛隊が撃ち落とす「想定シナリオ」を既に用意していると同紙は伝えた。ここで使用される迎撃手段としては、日米が共同開発しているイージス艦搭載用SM3ブロック2Aが挙げられている。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )」

http://japan.hani.co.kr/arti/international/23380.html

牛の殺処分を拒否した畜産家が、世界初の実験で明らかにした被曝の影響とは

2016-02-21 17:11:23 | 放射能
 本来なら国と東電が費用を負担し、農家にお願いして実施すべきことだ。

「 緑色のトラクターが雪の残る平原をうなりを上げながら進んでいく。その音を聞くや、大柄で真っ黒の牛たちがリーダー格を筆頭にゆっくりと集まってきた。

 「べぇーべ」。トラクターの運転席から下りた山本幸男さん(73)が、牛を意味する東北地方の方言「べこ」に由来する言葉を口にしながら、わらをほぐす。「同じ家族だからね」。まるで自分の子供のように、寄ってきた牛たちの頭や背中をそっとなでた。

 東京電力福島第1原発から約10キロ北西にある福島県浪江町の末森地区。山本さんは東京ドーム4個分ほどの広さに、約50頭の牛を飼育している。他の牛と違うのは、大量の放射性物質で被曝したことだ。

 原発事故から2カ月後、政府は福島第1原発から半径20キロ圏に残された家畜の殺処分を決定したが、山本さんは拒否し、牛を牧場内に放った。“家族の一員”を自らの手であやめることはできなかったのだ。

 しかし、飼育の厳しさは年々増す。4月から11月ごろまでは牧草が餌になるが、12月から3月ごろまでは草が生えず、岩手県で取れた牧草を購入。その間の餌代は600万円ほど。出費だけがむなしくかさむ。

 それでも、山本さんは牛の面倒を見続ける。「飲まず食わずで死ぬのと、腹いっぱい食べて死ぬのとでは全然違う。最後まで面倒見てやりたいんだ。そして地域のため、福島の畜産の未来のために、この牛が貴重な資料になるんだよ」

 山本さんの牧場を含む浪江、大熊の両町の3カ所では、殺処分を拒否した被曝牛計約160頭の調査が続けられている。

 「大型動物の被曝を長期的に調べるのは世界初。実験室ではできない。その研究が人間にとっても参考になり還元されていく」。岩手大農学部准教授の岡田啓司さん(59)=生産獣医療学=は力を込める。

 原発事故があった平成23年の夏、岡田さんは原発から20キロ圏に入った。24年9月には、山本さんらの牧場と協力し、獣医師や北里大、東北大などの研究者と団体を結成。被曝した牛の採血、採尿、遺伝子変化の解析などを通して放射線の影響調査を継続してきた。累積の被曝線量が、2千ミリシーベルトと推定される牛もいる。人の年間目安量1ミリシーベルトの2千倍だ。

 しかし、これまでの調査では、白血球の減少など被曝による影響は確認されていない。放射性物質に汚染されていない餌を与えていれば、3カ月ほどで体内の放射性物質が排出されることも分かった。

 こうした活動に対し、批判的な声も多い。

 事故当時、原発から20キロ圏では、農家約300戸が計約3500頭を飼育。国は県を通じ、伝染病の危険や野生の「放(はな)れ牛」になることを恐れ、殺処分命令を下した。

 しかし、国にとって一部の牧場が殺処分に反発したことは予想外だった。結局、国は出荷しないことを前提に飼育を認めた。

 県によると、「被曝牛は福島の風評を助長する」と反発する声まで上がっているという。

 現状の研究では、被曝の影響がないことが牛で実証されているが、その影響は長期にわたり、見極めには時間がかかる。

 「本当だったら何も出ないで幸せな形で終わるのが一番いい。それが住民の帰還や復興にもつながる。しかし、私たちはストーリーも到達点もつくらない。純粋に科学者として中立的な立場で、何が起きて、あるいは何が起きていないかをきちっと整理することが大事だ」。岡田さんはこう言い切った。」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160221-00000518-san-soci

ワレサのスパイ疑惑

2016-02-21 15:11:47 | 諜報活動
 なかなか消えないワレサのスパイ疑惑。

「 ポーランド当局は、自主管理労働組合「連帯」を率いて民主化運動を主導したレフ・ワレサ元大統領(72)について、共産政権時代に秘密情報機関の協力者だった可能性を示す文書が見つかったと明らかにした。ワレサ氏は否定し、法廷で自身の立場を主張するとしている。

 当局によると、文書は共産政権当時に内相を務めた人物の妻が提供したもの。ワレサ氏が1970年代に「ボレック」という暗号名の情報提供者だったことを示唆する内容だという。

 ワレサ氏は当局の発表直後にブログで疑いを否定し、文書が偽造された可能性を指摘。「(事実ではないことを)法廷で証明する」とした。

 モラビエツキ副首相はこれより先、「ワレサ氏にはスパイの過去がある」と述べていた。

 ワレサ氏は以前、過去に共産政権の治安機関の情報提供者になるとの文書に署名したが、実際に提供者として活動したことはないと強調していた。2000年には特別法廷が協力の証拠はないとの判断を下した。

 ワレサ氏は1983年にノーベル平和賞を受賞。1990年から95年までポーランド大統領を務めた。

[ワルシャワ 18日 ロイター]」

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4557.php

尼僧院を破壊 100人以上追放/中原一博

2016-02-21 15:05:52 | アジア
「2015年11月13日
尼僧院を破壊 100人以上追放このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 尼僧院を破壊 100人以上追放
image当局に破壊されたチャダ尼僧院。

中国当局はチベットの宗教弾圧の一環として最近自治区内の尼僧院を破壊し、100人以上の尼僧を追放した。

RFA(自由アジア放送)などによれば、9月30日、チベット自治区ナクチュ地区ディル県の役人たちが突然ペカル郷にあるチャダ尼僧院(ནག་ཤོད་འབྲི་རུ་རྫོང་བན་དཀར་༼པད་དཀར་༽ཡུལ་ཚོའི་བྱ་མདའ་དགོན་དཔལ་ལྡན་མཁའ་སྤྱོད་གླིང་།)に押しかけ、106人の尼僧を追放した。当局は追放の理由として「正規の尼僧証明書を持っていない。この尼僧院に割り当てられた尼僧の数を超えている。ダライ・ラマを非難しなかった」ことを挙げているという。追放された尼僧たちの内、遠くから来ていた多くの尼僧は周辺県の責任者に引き渡されそれぞれの家族の下に送られたという。

当局は尼僧を追い出した後、尼僧たちが住んでいた僧坊を壊し始めた。理由として「ここに新しく政府が金をだして、僧坊を建て、尼僧たちのための養老院と学校を建てるためだ」と言っているという。もっとも、チベット人は誰もその話を信じていないという。この尼僧院は500年以上の歴史があるが、壊す前に当局は価値のありそうな仏像やお経をすべて持ち去ったという。ある尼僧は「まるで文革時代のようだ」と表現した。

僧坊が破壊され、居所がなくなった尼僧が付近の民家に宿を借りようとするが、当局は許可なく尼僧を自宅に泊めることも禁止しているという。

一方尼僧院内では連日、ダライ・ラマ法王を非難することを強要する「愛国再教育キャンペーン」が続いているという。

この尼僧院では、去年終わりにも26人の尼僧が追放された。チベット自治区内でもこのディル県を始めとするナクチュ地区は当局の監視と弾圧が一番厳しい地域であり、特に、僧院や尼僧院は常に当局からの嫌がらせを受けている。」

http://blog.livedoor.jp/rftibet/

サウジが「パキスタンの核弾頭」を手にする日:ミサイルは中国製の東風21/ハフポト

2016-02-21 11:19:07 | 軍事
「世界の株式・金融市場の急速な収縮をよそに、イランを取り巻く経済活動が過熱化している。イランとの「核合意」に伴う対イラン制裁解除で、凍結されていた推定総額約12兆円もの資金をイランが手にするため、商機が到来したというわけだ。

しかしイランは将来の核武装化を完全に断念したわけではなく、核開発を先送りしたにすぎない。このため中東のアラブ諸国などがひそかに核開発を進め、米国などの情報機関が神経を尖らせている。中でも最も懸念すべき動きを見せているのが、イスラム教シーア派大国イランのライバルであるスンニ派大国サウジアラビアだ。


パキスタンから5~6発

「イスラム爆弾」が差し迫った危険として世界に注目され始めたのは1981年、イスラエルが予兆もなく突然、イラクのオシラク原子炉を爆撃して以後のことだ。その後、パキスタンの核開発が注目を集め、同時にパキスタンの核開発に対してサウジアラビアが資金援助したとの情報が流れた。さらに2002年8月、イラン反体制派が、イランは秘密のウラン濃縮施設建設をイラン中部ナタンズに建設したと暴露。2003年にはイラク戦争でフセイン政権が打倒され、イランの政治的立場が強まった。

中東の核開発競争は、最初にイスラエルの核武装があり、次いでイラクなどアラブ諸国とイランの核開発、という形で拡大した。

こうした動きを受けて2003年9月、英紙ガーディアンで、サウジの最高レベルで①抑止力として核能力を持つ②防衛してくれる既存の核大国と同盟を組む③中東を非核地帯とする地域協定を締結する――の3つの選択肢から成る戦略案が検討中、と報道された。この報道の正しさは、2008年にサウド王家からも数人が出席して開かれた英国際戦略研究所(IISS)での中東の核開発に関するシンポジウムで確認された。

さらに、2010年の英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の研究会で複数の西側情報筋が「サウド王家はパキスタンの核開発計画の費用60%以下を負担、近隣諸国との関係が悪化した場合、5~6発の核弾頭をその見返りに得るとのオプションが付いている」との情報が明らかにされたという(ガーディアン紙)。 


CIAが非核を確認して引き渡し

サウジによる核兵器の運搬手段の入手については、近年になって次々と極秘情報が明らかにされた。イランに対する抑止力を示すため、サウジ側が情報を意図的にリークし始めたとみていい。

2014年1月、米週刊誌ニューズウィークで米中央情報局(CIA)に情報源を持つジャーナリスト、ジェフ・スタイン氏がサウジによる中国製ミサイル入手を暴露した。

それによると、サウジが1988年に極秘裏に中国から入手したのは中距離弾道ミサイル「東風3」(射程3300~4000キロ)。36~60基ともいわれる。東風3は1段ロケットで液体燃料式、命中精度が低い。

問題は、この事実を探知した米国の怒りを買ったこと。当時のロバート・ゲーツCIA長官(後の国防長官)はサウジ側に抗議した。

次にサウジが中国から調達したのは中距離ミサイル「東風21」(射程1500~1700キロ)。2段の固形燃料式で命中精度が向上した。スタイン氏によると、このミサイル入手に当たっては、CIAが仲介した。

サウジ側としては米国の了解を得る必要があり、米側としてはサウジの抑止力を強化する狙いがあったとみていい。

2007年当時のスティーブン・カッペスCIA副長官がCIA本部あるいは近隣のレストランなどで両国担当者と協議を重ねた。技術的な協議には、CIA側から分析官やCIAリヤド支局長らも加わった。中国から積み出された東風21ミサイルがサウジで荷揚げされると、CIA技術者が出張し、核兵器搭載装置が付いていないことを確認した上でサウジ側に引き渡したとしている。


「イランが持てばサウジも」

元CIA高官で国家安全保障会議(NSC)中東担当も務めたケネス・ポラック氏はニューズウィーク誌に対して、「1980年代から保有していた中国製ミサイルより射程が短く、核弾頭を入手しない限り、中東地域の軍事バランス上、あまり重要な意味はない」との見方を示している。

他方、ジェフリー・ルイス・モントレー国際問題研究所核戦略部長は「CIA技術者がチェックしたあと、核搭載用に改造された場合には、サウジは優位に立つことになる」との見方をしている。

しかし、その後サウジは戦略ミサイル軍を発足させ、リヤドでは同軍付属の士官学校も設置、専門的な訓練を行っているようだ。

2015年春、ソウルで行われた国際会議に出席したトゥルキ・ビンファイサル元サウジ総合情報局長官は記者会見で、「イランが保有するものが何であろうと、われわれも持つ」と発言、イランの核武装に対抗してサウジも核武装する構えを鮮明に示した。

2月5日付で米議会調査局が発表した「サウジアラビア:バックグラウンドと米国との関係」と題する報告書はトゥルキ氏が別の場所で行った、もっと詳細な、次のような見解を紹介している。

「パキスタンあるいは別の筋から核兵器を購入することはない。第1に、核兵器を売る国はない。第2に、在庫の核兵器を買って『この核兵器を持って帰る』などということはあり得ない。どこに格納するのか? 誰が扱うのか? 誰が守るのか? 核兵器を取り扱う総合的なインフラが必要だ。パキスタンから買うという単純なことではない。サウジはそんな選択肢を決して検討してはいない」
この発言から、サウジが核保有のための総合的な核武装の体制整備を検討していることが確認できた。戦略ミサイル軍もその一環だろう。


サウジとパキスタンの合意とは

サウジ側はこのようにパキスタンからの核兵器入手について徹底的に否定し続けている。

しかし、米情報コミュニティは、そんな建前を信じてはいない。ホワイトハウスの元核不拡散対策担当調整官ゲーリー・セイモア氏は2013年当時、英BBCテレビで「サウジ側は、極端な場合にはパキスタンから核兵器を請求できることでパキスタン側の了解を得ている、と確信していると思う」と語っている。やや回りくどい言い方だが、サウジとパキスタンの間には何らかの核合意があり、今もその合意は生きていると米国はみていることが分かる。

北朝鮮が核実験と事実上のミサイル発射を繰り返す裏には、中東への売り込みの意図もあるかもしれない。ネオコン系の米誌ナショナル・インタレストは電子版で「究極の悪夢:北朝鮮がサウジに核兵器売却も」と伝えた。しかし、サウジは米国の同盟国であり、北朝鮮の売り込みは容易ではない。いずれにしても、米国は「サウジの核」にどう対応するか。難題である。」

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/saudi-arabia-nuclear-armed_b_9248640.html?utm_hp_ref=japan-world

【寄稿】希望的観測に基づく対北戦略は全て見直しを/朝鮮日報

2016-02-21 11:01:51 | アジア
「 北朝鮮は国際社会の反対にもかかわらず、4回目の核実験と大陸間弾道ミサイルの発射実験を強行した。韓国の安全保障をめぐる危機感が高まり、同時に韓国ができることは何なのかという挫折感や無力感も表れている。その一方で、いまだに北朝鮮について検証に失敗した見解を信じようとする傾向もなくなっていない。一体何が、検証されていない希望的な見方だというのだろうか。

 一つ目は、北朝鮮は非正常的で悪く愚かな国だという主張だ。北朝鮮が「先軍政治」によって軍事分野だけ巨大化している「仮分数国家」だという指摘は正しい。だが「神政体制」に基盤を置く独裁国家の北朝鮮では、金正恩(キム・ジョンウン)政権の安全保障を図るというのが第一の国是だ。北朝鮮の政権は、最も安く安全保障を図る近道が核武装だと信じている。長距離ミサイルで米国や日本を脅してこそ、韓国に対する友邦の支援を断ち切ることができると考えている。これはゆがんだ安全保障観であって、非正常的ではあるが、決して愚かなわけではない。

 二つ目は、失敗国家の北朝鮮はいつか必ず崩壊するという主張だ。北朝鮮は政策の失敗を重ね、結局は滅びる運命にあり、それは時間の問題だと信じられている。そのため韓国は、予告なしに訪れる統一に備えなければならないと叫んでいる。北朝鮮が失敗した国家であり、「苦難の行軍」を続け、数多くの住民が苦しんでいることは事実だ。だが、崩壊が迫っていると断定するのは単なる希望にすぎない。

 三つ目は、北朝鮮の核は「交渉用」だという主張だ。2006年の1回目の核実験以前、交渉を通じた非核化の余地が全くなかったわけではない。だが、すでに4回も核実験を行った現在も、北朝鮮の核が交渉用だというのは道理に合わない。北朝鮮はさまざまな言い訳で時間を稼ぎながら、核兵器の能力を高めることに集中してきた。(朝鮮戦争の休戦協定に代わる)平和協定や、米国の北朝鮮に対する敵視政策を放棄するよう求めるのは、究極的には韓米同盟の解体や、在韓米軍の撤退という目的を実現するための道具である可能性が高い。北朝鮮の非核化を、戦争ではなく対話によって達成すべきだというのは正しいが、北朝鮮の核が、対価を支払って買うことのできる交渉用のものだと信じてはならない。

 四つ目は、北朝鮮を制裁と孤立によって崩壊させることができるという主張だ。北朝鮮の誤った行動に対し、厳しい制裁を科すべきだというのは正しい。だが、制裁だけが優れた方法だというのは、感情的な安心感を与えるだけで、その効果は未知数だ。制裁によって北朝鮮を困難な状況に追い込むことはできても、滅亡させることは困難だ。外部の制裁によって滅亡した国はない。大部分の独裁国家は内部分裂や、国民が反旗を翻したことによって滅びた。中国が厳しい制裁を行わない限り、滅亡はより難しい。

 五つ目は、北朝鮮を動かすことのできる実質的な「てこ」を持つ中国に、期待するしかないという主張だ。北朝鮮を動かすため、中国を最大限に活用すべきだという主張は正しい。だが、中国が北朝鮮を見捨て、韓国の肩を持つだろうと信じるのは甘い考えだ。中国の協力は限定的なものにならざるを得ない。中国は北朝鮮の崩壊を望んではおらず、米国の影響力が大きくなる韓半島(朝鮮半島)の統一も望んではいない。外交的な修辞に満足するのではなく、利益の交換という構造を作っていくべきだ。

 六つ目は、戦略的にひたすら耐えようという主張だ。悪い国家と対話しても無駄なだけだから、北朝鮮が誠意をもって対話に臨むまで待つのが得策だというわけだ。だがこれは、戦略的な忍耐というよりは、戦略的な放置、あるいは非戦略的な無視に近い。結局、国際社会が耐えている間に、北朝鮮は時間を稼ぎ、核兵器の能力を高めるのに成功している。消極的な関与論よりも、積極的な方策が今も必要となっている。

 七つ目は、北朝鮮の核には、韓米日3カ国の安全保障分野の協力だけが正答になるという主張だ。中国が傍観している中、自国を守るという観点から、韓米日3カ国の安全保障分野の協力を強化するというのは正しい。だがその場合も、韓米日3カ国の安全保障分野の協力あが、中朝間の協力関係の回復をもたらし、北朝鮮の核やミサイル能力の強化に口実を与えかねないという逆効果を軽減させるべきだ。

 韓国の外交・安全保障の半分以上は北朝鮮に関連するものだ。北朝鮮に関する戦略が、検証されていない平和的な見方に基礎を置くものだとすれば、全ての前提を原点に戻し、北朝鮮の外交・安全保障戦略を検討し直すべきだ。

パク・チョルヒ教授(ソウル大学日本研究所長兼国際大学院)」

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/20/2016022000562.html

爆買い雑感

2016-02-21 10:46:08 | アジア
中国人観光客の爆買いがメディアに取り上げられるようになって久しい。

確かに銀座に行くと至る所に中国人観光客の姿があり、それだけでなく地方都市も中国人観光客の呼び込みに懸命である。

このような事態を日本ではややななめに見る傾向がある。

特に「民度」- ちなみにこのような社会科学的概念・基準はなく、全く客観性はない - の「低い」中国人が日本に来て日本の「民度の高さ」に感激する、といったストーリーが日本メディアによく見られる。

本当だろうか。

そもそも日本人自身海外旅行が一般的になった70年代の後半以降、さんざんその行いが問題になったのではないか。

欧米に行けばそれこそブランド漁り - それこそ爆買いだ - 、東南アジアや韓国では買春ツアー。そして農協観光の集団行動や、まわりを考慮しない傍若無人な振る舞いが、あちこちで問題になったはずだ。

 日本人のその後は、結局不景気で観光する力も留学する力も低下し、世界的に中国パワーに取って代わられた、ということだろう。

 日本人は爆買いによって大きな経済的メリットを享受している。それに感謝しつつ、自分たちのかつての経験から中国の人たちにアドバイスをしたらどうだろうか。偉そうな態度を取らずに。

北朝鮮は王朝体制の再現か?

2016-02-21 10:20:35 | アジア
 北朝鮮の政治・社会体制について考えていてふと思いついたことがある。

 まず特徴的なことを列挙してみると。

 1 指導者が世襲。まるで金氏王朝である。

 2 社会階層が、金氏という権力の中核を中心にそれこそ階層的に作られている。軍と労働党の幹部が取り巻き、その中で忠誠心を競い合いつつ権力闘争が展開するというのは、まるで朝鮮王朝の宮廷劇のようだ。

 3 2の権力構造を中核に、党や軍・警察、そして様々な社会組織と地域編制を通じて、国民が階層的に編制されている。最底辺には反国家分子とされた人々や日本からの帰国司書がおり、その上に地方の一般住民がいる・・・。等である。これはまるで王朝の身分制社会の再現のようだ。

 このような体制はチュチェ思想と金正恩への忠誠を核として成立するが、それは朱子学を思想的中核としつつ、その解釈と王朝の正統性、そして権力への関与をめぐって争った王朝体制のありようとそっくりである。

 だからこの国は自動的に破綻するとか、どうしようもないという訳ではない。国家のありようは様々なのである。ただ朝鮮王朝が国民の生活の向上やビジネスの発展に消極的だったように、北の体制は本質的にそういったことに鈍感なのかもしれない。

 それに対して王朝体制の全面否定に立脚した韓国の方が、経済的優位に立ったということだろうか。いずれにせよ米軍軍政から軍事独裁政権をへて、それを自らの変革のための戦いによって転換した韓国の方に、政治・社会体制としては未来があるように思うのだが。