白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

中国・国家統計局長の解任と統計の改革/丸山知雄

2016-02-25 14:51:31 | アジア
「 1月19日に中国の国家統計局が2015年のGDP成長率は6.9%だったと発表し、私を含めて世界の少なからぬ中国ウォッチャーが「予想通り『盛った』数字を出してきたな」と思ったのもつかの間、その数字を発表した国家統計局長の王保安氏が「重大な規律違反」によって解任されました。重大な規律違反とは要するに汚職のことですが、王保安氏の前職である財政部時代のことに関して嫌疑がかけられているようです。

 王保安氏の解任を聞いて、私は「さもありなん」との思いを禁じ得ませんでした。というのも彼が局長になってから国家統計局が発表するGDP統計の質がにわかに低下し、統計局が進めようとしていたはずの改革も停滞してしまったからです。

 GDP統計の質の低下というのは、以前このコラムで指摘した工業の成長率の過大評価の疑いです。王保安氏が統計局長に就任した2015年4月に発表された2015年第1四半期のGDP統計以来、工業の成長率と、工業を構成する主要な品目(鉄鋼、電力、自動車、石炭、非鉄金属、半導体など)の生産量の成長率との間に矛盾がみられるようになりました。この矛盾は王氏の局長としての最後の仕事になった2015年通年のGDP統計にもあります。各品目の成長率からみて、工業の成長率は公式発表の6.1%よりずっと低く、0%前後だったと私はみています。もっともこの問題については以前このコラムで詳しく論じましたので、今回は統計の改革について書きます。

中国の所得格差を明らかに
 王氏の前任の国家統計局長は馬建堂氏でした。馬氏はもともと国務院発展研究センターに所属する経済学者だったこともあり、国家統計局長だった間、統計によって中国の真の姿を明らかにすることに情熱を燃やしていました。特に彼の任期(2008~2015年)の最後の数年間にいろいろな改革を進めました。

【参考記事】中国経済「信頼の危機」が投資家の不安をあおる

 まず、2013年1月には、中国の家計所得の不平等度をあらわすジニ係数が2003年まで遡及して一気に公表されました。それまでも世界銀行などによるジニ係数の計測は行われておりましたが、初めて中国の権威ある統計機関によってジニ係数が発表され、中国がアジアの中で所得分配がもっとも不平等であることや、2008年まで所得格差が拡大したのち縮小に転じたことなどが明らかになったのです。

 彼が次に取り組んだのが、地方のGDP統計に含まれる「水分」を抜くことでした。中国では国家統計局が全国の経済計算を行いますが、各省にも統計局があって、そこが省レベルのGDPを計算します。さらにその下の市のレベルでも自分のところの経済統計を作ります。地方に調査に行きますと、「わが省の経済は昨年15%成長した」、「わが市の経済は昨年20%成長した」と景気のいい話が多く、下へ行けば行くほどホラ話が多くなる感があります。

 その結果、中央の国家統計局が発表する全国のGDPと、各地方が発表する地方のGDPとの間に明らかな矛盾がみられるようになりました。中国は31の省・市・自治区で構成されますから、理屈から言えば31の省・市・自治区が発表するそれぞれのGDPを合計すれば、全国のGDPと等しくなるはずです。ところが、図に示すように、実際には31の省・市・自治区のGDPの合計は全国のGDPをかなり上回っています。

maru160208.jpg

 両者の乖離が一番ひどかった2013年などは、地方のGDPの合計が全国のGDPを6兆元以上、率にして11%も上回っていました。この年は、全国のGDP成長率(7.7%)を下回った地方が一つもないという珍事もおきました。もし31の省・市・自治区の合計が全国と等しいとすれば、伸び率でみてもおよそ半数ぐらいの地方は全国の成長率を下回るはずですが、下回った地方が一つもないというのは、およそ半数ぐらいの地方がホラ吹きだったということになります。

 馬建堂局長は誰の目にも明らかなこうした矛盾をなくすために、省・市・自治区のGDPを各地方の統計局ではなく、国家統計局が計算して発表するという改革案を打ち出しました。馬氏は2014年に準備をして2015年から正式に実施するつもりだとも言いました(『21世紀経済報道』2014年1月9日)。

なかなか止まらない地方の成長率誇大報告
 図にみるように2014年には、地方のGDPの合計と全国のGDPとの乖離(水分率)は前年の11%から8%に下がっています。これは改革の結果というよりも、2015年から改革を実施すると馬氏が発言したことのアナウンス効果の現れです。つまり、地方政府が2014年をあんまりかさ上げしすぎると、2015年に国家統計局が正確なGDPを発表した時にマイナス成長になってしまってみっともないことになる、と一部の地方が恐れて2014年の成長率を控え目に出したのです。

【参考記事】鉄鋼のたたき売りに見る中国の危ない改革先延ばし体質

 ところが、2015年4月に馬建堂局長が国家行政学院副院長に転出し、後任の局長に王保安氏が就任するや、地方のGDP統計の改革がうやむやになってしまいました。2015年も相変わらず各地方がそれぞれのGDP成長率を発表しています。国全体の成長率(6.9%)を下回ったのは遼寧省(3.0%)、山西省(3.1%)、黒竜江省(5.7%)、吉林省(6.5%)の4省に限られ、他の地方の多くは相変わらずホラを吹き続けています。

 馬局長が取り組んだもう一つの改革が失業統計の改革でした。中国の公式の失業率は「都市登録失業率」というものです。都市登録失業率は、都市戸籍を持ち、年齢は16歳以上、法定退職年齢(男性60歳、女性50歳)以下で、職がなく、職安に失業者として登録されている人たち、すなわち登録失業者が就業者と登録失業者の合計に対して何パーセントを占めるかを計算して求めます。

本当の失業率を求めて
 その推移をみますと、2003年に4.3%だったのが、その後緩やかに低下して2007年には4.0%になり、2008-9年はリーマンショックの影響でいったん4.3%に上がりますが、翌年に4.1%に下がり、昨年末時点で4.05%、ときわめて狭い範囲で推移しています。この数字自体が捏造されている可能性は低いと私は見ていますが、問題は「登録失業者」が都市部に実際にいる失業者の一部しかカバーしていないことです。

 例えば、1990年代後半には国有企業で大胆な雇用削減に踏み切り、4000万人以上の労働者が解雇されて、東北部などは文字通り失業者であふれたのですが、その時代に都市登録失業率はずっと3.1%で安定していました。国有企業から解雇された人たちには特別の待遇が与えられ、「登録失業者」にはならなかったからです。

 また今日中国の都市では総計1億7000万人近くの「農民工」(農業戸籍を持っていて工業やサービス業で働いている人)が働いていますが、彼らは失業しても都市戸籍を持たないため登録失業者になることができません。景気の変動の影響をもっとも敏感に受けるのは農民工ですから、失業率統計から農民工が除外されてしまうと、失業率は景気のバロメーターとしての機能を余り果たさなくなってしまいます。

 そこで国家統計局では1996年から「都市部登録失業率」に代わる「調査失業率」という統計を試験的に作り始めました(『21世紀経済報道』2015年7月6日)。これは都市部の家庭をサンプル調査して就業や失業の状況を調べて集計するもので、ILOが推奨する失業率の計算方法に沿ったものです。2005年から正式の調査を開始し、10年には調査対象を全国31都市に広げ、13年は65都市に、15年には全国に291あるすべての地区レベルの市(蘇州市、無錫市、桂林市・・・などです)に広げました。そのデータは馬建堂局長らが記者会見などで断片的に触れる以外にはまだ公表されていません。きわめてインパクトが大きい数字なので、準備に慎重を期しているのでしょう。

 「調査失業率」は毎月、都市ごとに作られますし、そこには農民工の失業者や国有企業からの失業者もカウントされますから、もし毎月、都市ごとに公表されるようになれば、例えば今年行われることになっているキョンシー企業退治(前回の本コラム参照)によって遼寧省や山西省で失業者が増える様子がきめ細かく観察できるようになるでしょう。

 国家統計局は今年から調査失業率を公式の失業率として公表し、政府はこれを政策目標の設定などでも活用するとしていました。ところが、昨年8月以降は12月末に全国の調査失業率が5.01%だったと発表されただけで、調査失業率に関して何の情報も公表されませんでした。

 やはり王保安氏は統計改革に対する熱意が低く、彼が局長だった10か月間、統計の改革が停滞したと言わざるをえません。新たに国家統計局長になる人には、ぜひ中国の統計の信頼性と客観性を高めるよう頑張っていただきたいものです。」

http://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2016/02/post-8_1.php

スパイク・リー監督がラジオでバーニー・サンダース支持を訴える/ベリタより

2016-02-25 14:32:39 |  北米
「  映画監督のスパイク・リー氏がラジオでバーニー・サンダース候補の支持を訴えた。次の民主党の大統領予備選は南部のサウスカロライナ州で行われるが、ここは民主党有権者の55%くらいが黒人だとされる。これまでヒラリー・クリントン候補が黒人票をおさえていた。予想でもヒラリー・クリントン候補支持が60%台で、サンダース支持が20%台と大きく開いていた。

  ヒラリー・クリントン候補の夫、ビル・クリントン候補は南部アーカンソー州知事をつとめていたこともあり、南部の黒人の間で強い支持がある。今、全米でサンダース支持が広がりつつあるとはいえ、まだ壁がある。そうした中で、黒人に影響力がある映画監督のスパイク・リー監督が登壇した。
https://www.youtube.com/watch?v=sXmCJgzmoP0

  リー監督は「サウス・カロライナよ、目を覚ませ!」と呼びかける。「サンダースは企業から資金をもらっていない。ということはホワイトハウスに入った時に縛りがなく正しいことができるということだ。」

  2008年にリーマンショックが起きて以後、多くの人々が職を失ったが、一般に黒人の解雇の方が白人より早く、また米経済が持ち直してからも白人の雇用の方が黒人より早いという差別的な状況が報じられてきた。2014年に続発したミズーリ州やニューヨーク州など各地の黒人の暴動やデモは米警察の黒人に対する差別的な姿勢に端を発するものだったが、その背景には不況の中で拡大してきた白人と黒人の間の収入の差があった。2014年の風刺漫画には黒人暴動を呆然とテレビでホワイトハウスで見守るオバマ大統領の姿が描かれた。

  しかし、スパイク・リー監督はリーマンショック以後のオバマ大統領の経済政策を基本的に肯定し、サンダース氏が上院議員として黒人系のオバマ大統領を支えてきたことを強調。さらにキング牧師とともに歩き、人種間の平等を求めた公民権運動の活動家だったことも伝えた。


■2014年 全米に暴動が伝播、「白人警官不起訴」の衝撃(東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/54516


■ネバダ州でヒラリー・クリントン候補が僅差で勝利 民主党予備選で鍵を握る黒人票
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201602221217381


■「アメリカを探して」 バーニー・サンダース陣営の選挙広告にサイモン&ガーファンクルの歌を使用
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201601312049490

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201602242247503

アメリカ人は馬鹿じゃない! - 米大統領予備選からブッシュを追放、次はクリントン? -/ちきゅう座より

2016-02-25 14:27:14 |  北米
「 ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(63)は20日、米大統領予備選が行われた南部サウスカロライナ州で支持者に向かって、選挙戦からの撤退を発表しました。 ジェブは、ご存知イラク戦争の戦犯であるジョージ・ブッシュ元大統領の弟です。 ブッシュと同じく前評判では、民主党大統領候補指名間違いなしと自負してきたヒラリー・クリントン元国長官、、 社会主義者のバーニー・サンダースに追い上げられてアップアップしています。 彼女もイラク戦争を支持し、<アラブの春嵐>に火を点けた戦犯です。 憎まれ口をたたくトランプはアンチ・イラク戦争です。 ブッシュ元大統領にぶら下がるジェブに向かって、「イラク戦争は間違いだった!」と、攻撃しました。 良くも悪くも正直な人です。

(1)オバマVSトランプ、法王VSトランプ:
 2016年2月16日、米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議のためカリフォルニア州を訪れていたオバマ大統領は、記者会見でドナルド・トランプに関する質問を受け、「トランプは大統領にならないと信じている」と、明言した。「大統領は真剣な仕事だと、国民は思っている。私は国民を信頼している。トランプを大統領に選ばない」と、述べた。さらにオバマ大統領は、「大統領職は、トーク番組とかリアリティー番組の司会とは違う。プロモーションでもマーケティングでもない、大変な仕事だ。ニュースの話題になるためなら、何でもやる、何にでも媚びるという類のものではない」と、マジ顔でトランプを批判した。
 これに対してトランプは、「アメリカに大損害を与えた大統領にけなされるのは、褒められているようなもんだ」と、切り返した。

 2月16日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、メキシコから帰路の機中会見で、米大統領選でトランプについて問われ、「橋ではなく壁を築くことを考える人は、キリスト教徒ではない」と述べた。これに対し、トランプ氏は「宗教指導者が他人の信仰を疑問視するとは恥ずべきことだ。俺は紛れもないキリスト教徒だ」と反論し、「お祈りだけしてろ!俺が大統領になるよう祈ってろ!!」と支持者の前で捨て台詞を吐いた。

(2)トランプのご意見:
 2016年の2月も末に近づくと、マスコミも一般アメリカ国民も、何かあるとトランプにお伺いをたてるようになってきた。アップル・ソフトウエア多国籍企業とFBIの裁判事件がその一例だ。ことは、FBI=連邦捜査局が死亡したテロ容疑者のアイホンのロック機能を解除できず、FBIを管轄する司法省は裁判所を通じて、製造元のアップルに対してロック機能の解除に協力するよう命令したが、アップルは2月16日に拒否したことから騒動が持ち上がった。これを受けて司法省は19日、裁判所に対して、協力を促すようアップルに強く命じることを改めて求める異例の要請を行った。要請では「アップルは、技術的にはロックを解除できるのに、ビジネス・イメージを気にして協力することを拒んでいる」と強く批判している。一方のアップルは「協力を拒む理由として、これが前例となれば、政府が利用者のメッセージの傍受や居場所の追跡などを行うソフトの開発をアップルに強いることもできるようになる」と、反発している。
 そして、ここでトランプの登場となる。トランプは19日のサウスカロライナ州での集会で「アップル製品をボイコットしよう!」と主張。集会後はツイッターに「これからはサムスン電子の製品だけ使おう!」と投稿し、アップルにFBIの捜査への協力を迫った。
アメリカ国民はトランプの言うことに耳を傾ける。一刀両断に切り捨てる小気味良さが、アメリカ人に受けているようだ。残念ながら、オバマの意見を聞かなくなってきた。もう、トランプがアメリカ大統領みたいだ。トランプの横で頷く大統領夫人候補は文字通りのスーパーモデルで、オバマ夫人には太刀打ちできない。あの、格差反対デモでセントラルパークに立てこもった99%派のニューヨークっ子たちが、「次期大統領はトランプ」と、言うようになってきた。ヒットラーが台頭してきた時のような、雰囲気だ。ちなみにトランプはドイツ系移民だ。

(3)アメリカ・ユダヤ人のお好みは:
 2016年2月⒛日のサウスカロライ米大統領予備選挙結果を受けてイスラエル紙ハーレツは、「トランプは共和党大統領指名争いで、トップに立った。しかし、彼はフォックス・ニュースに噛みつき、9・11テロ対策でのブッシュ前大統領をこき下ろし、ローマ法王をこけにした。彼にははっきりした政策も目標もないうえに、昨日言った事を今日ひっくり返す。彼は女性も中南米人も黒人も手当たり次第に侮辱し、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンを叫ぶ。この一言で彼のファンは参ってしまう」と、分析している。そして、「ユダヤ系アメリカ人が支持する共和党の希望はマルコ・ルビオしかいないのでは?」と、語っている。ドイツ系アメリカ人のトランプは、ユダヤ系アメリカ人のお好みではないらしい。トランプも「お前ら(アメリカのユダヤ人財閥)は俺を支持しないんだから、俺もお前らの金を当てにしない。これって、クレイジーか?」と、強がってみせる。彼の娘、イヴァンカはユダヤ教徒で、自動的に彼の孫はユダヤ人になる。
 2月の初めに行われたユダヤ系アメリカ人の共和党集会で、トランプは「俺に任せてくれたら、もっとうまくイスラエルとやっていける」と、ユダヤ教に精通していることを強調している。これって、、マジ?

(4)イスラエル・ユダヤ人のお好みは:
 2016年2月⒛日のイスラエル紙ハーレツによると、「アメリカには、二人の偉大なユダヤ人がアメリカ大統領選挙にからんでいる。一人目は大富豪のアデルソンで、二人目は大統領候補のバーニーだ。アメリカに移住したユダヤ人にとってこの大統領選挙は、ユダヤ社会主義の伝統とユダヤ資金の活用という、外見上は相反する問題をつきつけている」と、分析している。特にアデルソン財閥の金が共和党大統領候補の誰にわたるのか?注目の的になっている。アデルソン旦那はマルコ・ルビオが、アデルソンかみさんはテッド・クルーズがお気に入りだそうだ。これからの大統領予備選を見てどっちにするか決めるそうだ。
 もう一人のアメリカ大統領候補バーニー・サンダースに関して、イスラエルのユダヤ人は暖かく応援している。バーニーは純血のユダヤ系アメリカ人だ。

 バーニーは学生の頃、イスラエルのキブツで学んだことがある。キブツはヘブライ語で<集団>を意味し、集産主義的共同村で、そこで社会主義に基づいた共同生活をする。
2月17日、キブツの同窓生たちが、「我々が若いころ、ユダヤ人がアメリカ大統領になれるなんて夢にも思ってなかった。バーニーには頑張ってほしいね!」と、キブツ本部からエールを送った。2月9日、ガイ・ポルニクがイスラエル紙ハーレツに、「74才のユダヤ爺さんがアメリカの体制をどうやって変えていくのか?貧しい人々はアイホン持ってるか?サンダースは無視された、そして馬鹿にされた。しかし、刻々と無力無能になっていくアメリカの体制を変革できるスーパーマン、、それは多分、彼に違いない」と書いた。
 イスラエル紙ハーレツの<2016U.S.選挙>特集項では、「もし我々が元イスラエル・ロビーストのジャック・アブラモッフの説を信じるなら、<バーニーは、選挙資金徴収に集中すべきだ。さもなければ大統領選に敗れる>ということになる。それは、ワシントン流の考えにすぎない」と、書いた。

 2016年2月20日のネバダ米大統領予備選結果を受けてBBC英国TVが「ヒラリーの勝利はバーニーの敗北を意味するものではない」と、解説しました。 「数か月前、ヒラリー陣営はネバダでバーニーを撤退に追い込むと息巻いていた。結果はヒラリーが勝ったが、バーニーは25%の大差を5%までに縮めた。バーニー陣営は11の州で一斉に選挙が行われる3月1日のスーパーチューズデイに向け戦うと誓った」と、BBCは付け加えました。 
 日本の米大統領選挙野次馬としては、トランプVSバーニーの本番対決に期待しています。 億万長者VS社会主義者、ドイツ系移民VSユダヤ系移民、けばいかみさんVS地味な女房、、などなど、とても分かりやすい争点になります。
 バーニーさんとバーニーさんを支持するアメリカ99%の貧乏人の皆さん、もうひと踏ん張りお願いします。」

http://chikyuza.net/archives/60549

メディア管理を強める中国/遠藤誉

2016-02-25 13:54:35 | アジア
「2月18日、中国における昔の身分を公開することへの警告が中国政府の公的機関から来た。その翌日、習近平総書記が新聞世論工作座談会を開催したことを知る。中国でいま何が起きているのか、当事者として分析を試みたい。

◆中国政府のシンクタンク中国社会科学院から警告メールが
2月18日、中国政府のシンクタンクの一つである中国社会科学院社会学研究所から一通のメールが届いた。社会学研究所の公印が捺してある公文書だ。
そこには「あなたは確かにかつて我が研究所の客員教授だったが、今は違う。もう十数年も学術的交流を持っていない。したがって公的な場において“中国社会科学院社会学研究所客員教授”(現任)という肩書を使ってはならない」という趣旨のことが書いてある。
さらに「この文書を受け取ったら、必ずすぐに返事をするように」とのこと。

いったい何が起きたのか?
あるいは何が起きようとしているのか?
このような警告メールをもらったのは初めてのことなので驚いた。

筆者はすぐに返事を書いた。おおむね以下のような内容だ。
――懐かしいお便りをありがとうございます。貴方も書いておられる通り、私はかつて、まちがいなく貴研究所の客員教授でした。したがって「歴任したことがある」と、過去の履歴として書いています。「現任」と書いたことは、ここ十数年ほどありません。過去の履歴を偽りなく書くことは、むしろ義務であり、正当な権利だと思います。ご安心ください。

ついでに、「なぜまた突然このような公文書を出すのか」に関しても質問をしておいた。
もちろん返事は来ない。
何かあるなと思っていると、翌19日、習近平総書記(以下、敬称省略)が党としての宣伝活動に関して重要講話を発表したことを知った。
なるほど。これだったのか。
社会科学院では、党と政府に何か大きな動きがあるときには、事前にスタッフ全員に緊急招集がかかり、党と政府の方針に忠実に従って行動するよう指令がかかる。
公文書の捺印日時は2016年2月13日だ。
つまり1週間以上前から、すべては19日の重要講話に向かって、一糸乱れず動いていたことになる。

◆党の「新聞世論工作座談会」開催
19日の中央テレビ(CCTV)は、習近平が人民日報社、新華社、中央テレビ局を訪問した様子を特集番組で伝え続けた。いずれも党と政府の最大宣伝メディア機関である。
迎える各社の職員たちは、大歓声と熱烈な拍手で習近平を迎え、「好(ハオ)!」という声を一斉に発した。
「好(ハオ)!」というのは、好きか嫌いかではなく、良いか悪いかを評価するときの「良い!」「「すばらしい!」を表現するときに使う言葉だ。たとえば京劇などの芝居を見るときに、すばらしい場面になると、役者さんへの賞賛の言葉を表すためなどに対して使われてきたという習慣がある。
この「ハオ!」を、迎える職員が一斉に発したということは、「上から」の命令があってのことだろう。
中国政府と党の3大メディアを視察した後、習近平は人民大会堂で「党の新聞世論工作座談会(中国共産党メディア世論活動座談会)を主宰し、おおむね以下のような「重要講話」を発表した。

――真実性は報道の命だ。マスコミは取り上げた問題をまっすぐに捉え、批判的な報道をする際には事実を正確に述べ、客観的に分析しなければならない。報道活動では理念、内容、ジャンル、形式、方法、手段、業態、体制、メカニズムなどを刷新して、方向性と効果を強化しなければならない。時代の変化に合わせた改革を指導し、(インターネットなど)新しいメディアを活用して、政治的方向性の堅持を優先せよ。党性を保つという原則、マルクス主義の報道観や世論の正確な方向性、ポジティブな宣伝を主導とする方針をしっかり堅持していくべきだ。

おおむねこのような内容だが、それにしても「真実性は報道の命だ」とはよく言ったものだと思う。真実を覆い隠して党に都合の良い報道ばかりをしているからこそ、このような「重要講話」を出さざるを得ないのではないのか。
「マルクス主義の報道観」とは何のことかと言うと、主として「共産党がいかに素晴らしいかを宣伝する政治的方向性を持った報道」という意味である。
これは1930年代の毛沢東たちがよく使った方法で、「民心を奮い立たせるような文言を編み出して、一般民衆を中国共産党の側に引き寄せる」魔術のようなものだ。本当は民のためなど思っていなくて、いかにして中国共産党が繁栄し強大になるかしか考えてないのに、「人民こそが主人公」と叫び、世論を形成していく。
これが中国共産党にとっての「世論の正確な方向性」なのである。

◆なぜこのような「重要講話」が必要になったのか?
それはインターネットのソーシャルネットワーク・サービスの手段が爆発的に発達してきたからだ。たとえば「微博(ウェイボー)」(中国式ツイッター)に続き、2013年からは「微信(ウェイシン)」(ウィーチャット、WeChat)が流行り始め、情報交換の自由度は格段と大きくなってきた。
誰も官製メディアなど見やしない。
中華人民共和国を建国するにあたり、中国共産党(毛沢東)が国民党(蒋介石)から政権を奪うことができたのは「銃とペンの力」だった。
毛沢東の文才は、たしかに宣伝文書を通した呼び掛けによって民心をつかんだ。その紙代や印刷機および印刷代を支えたのは日本外務省の機密費である。拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に詳述したように、毛沢東は中共スパイ潘漢年に日本外務省・岩井公館の岩井英一と接触させて大金を入手し、それにより「ペンと銃」による政権奪還に成功した。

しかし今はどうか。
「銃」はしっかり充実させているが、「銃」では人心は買えない。
習近平は「第二の毛沢東」として毛沢東の威信を借りようとしているが、頼りとなる「党のペン」に、網民(ネット市民、ネットユーザー)は見向きもしないのである。特に微博も微信も、携帯で互いに通信できる。国家の検閲は徹底できない。

人民網には「強国論壇」があり、「五毛党」(安い報酬で政府のために党と政府を讃えるコメントを書く人たち)により占められてはいるが、ときどき、「あれっ?」と思うようなコメントが書いてあることがある。こういった「ミス」を生まないためにも、官製メディアの士気を高め、「重要講話」を出さなければならなかったのだろう。

◆なぜこの時期なのか?
実は3月5日には年に一回の全人代(日本の国会に近い立法機関)が開催される。そこでは第13回五カ年計画が決議され、動き始める。しかし同時に米韓の軍事演習も始まり、北朝鮮がどう動くか気が気ではない。人民の関心は、どうしても「万里の防火壁(ファイアー・ウォール)」を越えて入ってくる壁の外からの情報に目が行く。本当のことを知りたいのだ。海外メディアも全人代取材のために中国入りするから、この時期は官製メディアを引き締めておかなければならない。

2016年1月26日、中国政府の工信部(工業信息化部)は中国の携帯使用数が13.6億になったと発表した。一人が二つ以上の携帯を持っていることもあるので、携帯の使用数と人数は必ずしも一致はしない。しかし赤ちゃんやかなりの高齢者以外は、ほとんどが携帯を持っていると言っていいだろう。普及率は「100人が95.5個の携帯を使用している」という計算になるそうだ。

網民の数は6.88億人(2015年末データ)。そのうち携帯でネットにアクセスする網民の数は6.20億人に達している。
互いに携帯で通信しあい、携帯で「外界」にアクセスし、「真相」を知ろうとする。
その力を阻むことは、もうできない。」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20160225-00054733/

東電の安全マニュアル隠蔽問題

2016-02-25 13:37:01 | 放射能
東電が五年間メルトダウンを規程したマニュアルがあることを隠蔽していた。

しかしなぜメディアは隠蔽と明確に言わず、その責任を徹底追及しないのか。

マニュアルを書いた担当者。

それを承認した上司たち。

全体としての安全体制に責任を持ち、その中でマニュアルを確認していた幹部たち。

その上にたつ経営責任者。

そして現場でマニュアルを叩き込まれたはずの数多くの社員たち。

どう考えても組織的隠蔽によって今まで隠されてきたとしか言えない。

そもそもなぜ安全マニュアルのようなものをメディア自身が確認しないのか。

東電は論外だが、メディアも論外だ。

徹底的な個人にさかのぼった責任追及が必要だ。

「知ろうとする姿勢と、伝えようとする勇気」視覚・聴覚障害者が語る日本に今ない現実

2016-02-25 13:33:17 | 社会
「バレエ舞台の両脇でバレリーナたちが見つめる中、『眠れる森の美女』の妖精は、舞台上で華麗に踊る。クラシックの音色に合わせ、指先からつま先まで、正確なリズムでポーズを決めてゆく。彼女には、一緒に出演するバレリーナたちの美しい姿は見えていない。音楽も、半分しか聞こえない。

上智大学4年生の兼子莉李那さん(23)。視覚・聴覚障害者だ。

莉李那さんは、生まれつき眼球が小さい「先天性小眼球」だった。右目は、光を感じる程度でほとんど見えない。左目も障害のために視野が極端に狭く、見える範囲はストローの穴のサイズ。見える部分も視力は0.03しかない。

この記事を書く私には、重度の視覚障害のある彼女から見える世界が、想像もつかない。「視野が狭い」ということがどういうことなのか、莉李那さんの解説をもとに、イメージ図を作った。
左が莉李那さんが見ている風景、右が私が見ている風景だ。

限られた光、そして、音

障害は、視覚だけではない。
左耳は感音性難聴。ほぼ右側からしか音が聞こえないため、音がどの方角から聞こえてくるか、空間的に捉えることが難しい。
視野の外から声をかけられると、どこからその音が聞こえてきたのかわからない。立ち止まり、限られた視野で相手を探す。白杖を持って街中を歩いていると、莉李那さんの障害を知らない人たちが、ひそひそと話す声が聞こえることがある。
「あの人、本当は見えているんじゃないの?」
まるで周りが見えているかのように歩けるのは、一度通った場所は懸命に記憶しているからだ。初めての場所は戸惑うし、人と少しぶつかっただけで、方向感覚がわからなくなってしまう。ちょっとした段差やくぼみでも、彼女には難所になりうる。
目が見え、耳が聞こえる人には何でもないことが、大きな壁になる。それが、彼女が生まれたときからの日常だ。

彼女の原動力とは何か

4歳から続けるクラシックバレエで、難関で知られる英国のバレエ教師資格「Royal Academy of DANCE Vocational Graded Examination」を取得。小学生の頃から勉強してきた得意の英語を生かし、上智大に入学した。彼女の原動力は何か。
障害者は自分より絶対下の人間という見方が強いのは、悔しい」
「障害者としてのプライド」を持っているからか、ステレオタイプのせいなのか、なかなか理解してもらえない。その経験は、子供の頃から何度となく繰り返した。
「りーちゃんなんかに負けたって言ったら、ママに怒られちゃう」
「りーちゃんとりーちゃんママは、障害者らしく悲しそうにしてればいいんだよ」


教科書を拡大コピーし、地道に勉強を頑張ったり。可愛らしい服を着て親子で楽しそうに登校したり。「そういう当たり前のことすら、違って受け止められることがありました」と母の亜弓さんは振り返る。

大学の教室では最前列に座り、ルーペを使って黒板に書かれる文字を読む
知ろうとする姿勢と、伝えようとする勇気
彼女は昨年5月、上智大で開かれたイベントでスピーチをした。テーマは「沈黙は金ではない」。障害を理解してもらうには、コミュニケーションがいかに大事かを訴えた。

「障害者の中には、自分の障害についてあまり人に知られたくないという人もいるのが事実です。知ろうとしない健常者と伝えようとしない障害者。それで困ったことがなんにもないなら構わないと思います。しかし、障害者というのは健常者と比べて、すべてにおいて困難が多いから障害者なんです」
スピーチの中で、莉李那さんは白杖について説明した。視覚障害者が持つ杖だとは知られているが、弱視の人も所持が義務付けられていることはあまり知られていない。また、「視覚障害者だけではなく、障害者全員が持つのも法律上認められているという知識を広めていきたい」と彼女は話す。
白杖は障害があること、サポートが必要かもしれないということのサインになりうる。しかし、彼女と初めて接する人々の多くは、白杖について彼女に直接にではなく、周囲の人に説明や助言を求める。「コミュニケーションが不足している」と語る。
「知ろうとする姿勢と、伝えようとする勇気。この2つが生み出すコミュニケーションによって、障害者と健常者がよりよく共存する未来につながると信じています」

TEDxSophiaUniversityでのスピーチ 兼子莉李那さん提供
障害者とどう会話を始めればいいのかわからない人に、莉李那さんは次のようにアドバイスする。
「緊張している人もいるので、声をかけて。声をかけてもらって、不愉快な思いをする人はいないでしょう」
また、反対に障害について伝えるのに躊躇している人に対しては、こう語る。
「言わないのも、言うのも勝手かもしれないけど、言ったほうが楽だよ。言わないと、自分が苦しいだけだよ。逆に言わないから情報が入ってこなくて、ずっとずっと辛い思いしなきゃいけないのって時間も勿体無いし、その間にできることも出会える人もたくさんいると思う」
昨夏に参加したGoogle Japanでのインターンシップも、莉李那さんにとって貴重な出会いとなった。インターンシップ中、メンターには「もっとできるでしょう」とできることには積極性を求められた。
「自分でも『他の人と差をつけられて当たり前』と思ってしまう部分がありました」

Google Japanのインターンシップにて。
「健常者と障害者の線引きのなさにびっくりした」と語る莉李那さん

差をつけられて当たり前ではなく、自分から積極的に取り組む。そのことがどれだけ大切か、改めて気づいた。
莉李那さんの将来の夢は先生になることだったが、もう一つ、夢が増えた。障害者のキャリア支援だ。どちらも、自分がこれまでの人生で学んだことを伝えたい。

大学の講義を履修し終えるのに、人の数倍時間がかかる。大学卒業には7~8年はかかりそうだ。
確実にゆっくりと歩む。これまでと同じように。

バズフィード・ジャパン ニュース記者
お問い合わせ Eimi Yamamitsu at Eimi.Yamamitsu@buzzfeed.com.」

http://www.buzzfeed.com/eimiyamamitsu/ririna-kaneko-interview#.vsVqgmv25