白夜の炎

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アメリカ人に東アジアのニュースを観る機会はない/ハンギョレより

2016-02-01 17:40:42 |  北米
「 米国人は東アジアに気を遣わない。 非常にきつい表現なので、いくつか但し書を付けようと思う。 まず米国人は中国や日本、そして韓国料理を楽しむ。 東アジアを訪問するのも好きだ。 たまには香港のアクション映画やパク・チャンウク監督の最新映画も観るだろう。
 しかし緊急な時事問題と関連して、多くの米国人は東アジアで起きていることを追跡しようとはしない。 ニュースを追いかけなければならないアジア問題専門家たちについての話ではない。母国の出来事に関心を持つ移民者共同体の話でもない。 私は平均的な米国人、また彼らが全国ネットワークの放送会社を通じて視聴するニュースに関して言っているだけだ。

 米国の三大主要テレビネットワークのニュース報道を追跡して毎年出される「ティンダルレポート(The Tyndall Report)」によれば、米国の視聴者たちは東アジアのニュースを見ていない。 この地域のどのニュースも上位20位内に入ることはなかった。 米国の外交政策と関連して昨年これらの放送会社のニュースは、IS、シリアとイラク戦争、ヨーロッパ難民危機、パリでのテロリズム、イランとの核交渉に焦点を合わせた。 上位圏のニュースに中国も日本も韓国もいなかった。

 外交政策記事は放送会社のニュース報道の6.5%しか占めていない。 したがって米国人は概して外交政策に大きな関心を傾けない。 その上、2015年の記事目録を上位150個のニュースに拡大しても、そこに東アジアはない。

 昨年、多くはなかったが報道された主題の一つはハリケーン「パトリシア」だった。パトリシアは昨年10月に西半球を襲った最も強力なサイクロンだった。 しかしメキシコの農村地域を襲い、予想ほどには被害をこうむらなかったし、死亡者も数人だけだった。 パトリシアは米国にはほとんど影響がなく、テキサス州南側に限って影響を及ぼした。

 パトリシアは、昨年三つの放送会社を合わせて概略20分程度の報道比重を占めた。 ここから分かるように進入障壁がかなり低かったはずなのに、東アジア関連ニュースはそれさえ超えられなかった。 パトリシアが米中関係、北朝鮮の状況、安倍晋三首相の平和憲法覆しなどより多くの報道を占めたのだ。

 米国人が日本の教科書問題について怒りを持たなかったり、中国経済に対して心配しなかったり、また最近よじれた南北関係を理解できない理由が気になると思う。 それはおそらく米国人が東アジアでどんなことが起きているかを知らないためだろう。

 フェイスブックや英文版ニュース供給会社を通じて情報を得る多様なニッチ消費者にとり、東アジアは興味深い地域だ。 しかし世論が形成される大規模ニュース市場では東アジアの姿はない。


ジョン・ペッパー米外交政策フォーカス所長=資料写真//ハンギョレ新聞社
 バラク・オバマ政権は米国の対外政策をアジア側に方向転換した「太平洋回帰」戦略を実行したにもかかわらず、この地域に対する報道不足は続いている。 オバマ政権は多くの兵器をアジア諸国に売ってきたし、米軍の配備も一部再調整した。 また、攻撃的に環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)を推進した。 しかし、放送会社のニュース報道の観点で見れば、それらのどれ一つを取ってもニュースバリューがないということだ。 外交政策に関する限り、ニュースの焦点は依然として中東に合わされている。
 東アジアは今年劇的にニュースの舞台に復帰するかも知れない。 米国防総省は中国や北朝鮮を怖がらせるため、若干の腕力を見せようと決めることもありうる。 米国大統領候補はおそらく儀礼的な「中国たたき」に没頭するだろう。 こういうことのために平均的な米国人は東アジア地域のニュースを見る機会が増えるだろう。

 とは言え、オバマ政権が任期の最後の年にわざわざ波風を立てるようなことをするとは考えにくい。 軍事的介入を準備しているわけでもない。 一方で北朝鮮との核交渉のようなものを作り出すために政治的資本を投資する様子もない。 中国とも超大型構想には着手しないだろう。 したがって、今年も巨大放送や米国の世論では良くも悪くも東アジアのニュースは見られそうにない。

ジョン・ペッパー米外交政策フォーカス所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-31 18:55
http://www.hani.co.kr/arti/international/america/728659.html 訳J.S(1862字)」

http://japan.hani.co.kr/arti/international/23213.html

インタビュー:人民元バスケット制を求める声もある=ADBI所長

2016-02-01 15:17:04 | 国際
「[東京 1日 ロイター] - アジア開発銀行研究所の吉野直行所長(慶応大学名誉教授)は、ロイターとのインタビューで、中国内にはドルの変動による人民元相場への影響を緩和する通貨バスケット制を採用する意見があると指摘。バスケット制に移行する場合のドルの比率は0.58程度が望ましいとした。また過剰債務問題の解決に中国政府は楽観的だとし、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を活用した海外需要取り込みなどに取り組んでいると述べた。

インタビューの詳細は以下の通り。

──人民元相場は昨夏以来、切り下がってきた。人民元改革はどのような方向が望ましいのか。

「中国経済はいまだ輸出主導に偏りがちであり、内需主導型経済に移行するには、もう少し人民元相場が高くなった方が望ましいだろう」

「為替相場の決め方についても、現在は事実上ドルペッグ制に等しいが、多通貨でウエート付けするバスケット制への移行が望ましい。貿易のウエートだけではなく、各国との資本移動・中国の経済構造などにも依存して決定される。その結果、ドルの変動による人民元への影響を低く抑えることが出来るようになる。私の計算では、ユーロや円など他通貨も取り入れ、バスケットにおけるドルの比率を現状の0.88程度から0.58程度に引き下げると望ましいレート形成になる。OECDもバスケット制への移行を推奨しているが、中国内では一部には賛成しないグループも存在する」

「また現状では資本取引が規制されているが、3、4年かけて徐々に資本移動を自由化すべきだろう」

──中国は過剰債務など構造問題を抱えたままでは、いったん混乱が沈静化しても、うみを出し切れないとの見方が根強い。

「深刻な構造問題である過剰債務の解決について、中国国内の見方と海外の見方は大きく異なる。中国政府など当局は海外よりも楽観的だ。アジアインフラ投資銀行(AIIB)を活用して、過剰生産設備を抱えるセメントやアスファルト、鋼材等を海外需要に充てることができるためだ」

「資金についても、自国の外貨準備だけでなく、AIIB参加国の資金も取り込むことができるメリットがある。インド北東地域や中東地域では、中国がインフラ開発を主導しようとしている」

「もう一つの構造問題として、地方政府が税収を中央政府に吸収されてしまうために、不動産関連収入に依存している問題について、地方債の発行や地方税収の割合を引き上げる改革への取り組みを進めようとしている」

──成長率はこのまま減速が強まっていくのか。日本企業は中国ビジネスをどう見直す必要があるか。

「製造業からサービス業への産業構造の変化が進むにつれ、成長率が低下することはやむを得ない。サービス産業は、中国では税収漏れが常態化していることもあり、統計上は成長として把握しにくいためだ」

「日本企業にとっては、中国の産業構造の変化に伴い、中国への輸出が減速することはやむを得ない。中国向けの減少を補うべく、これから発展する余地の大きいインド、ベトナム、ミャンマーなどに、インフラ需要などを取り込んでシフトさせていくことが期待される」

──米国の利上げや原油安による中国や新興国への影響をどう見ておけばよいか。

「これまでの過剰流動性の副作用を考えれば、米国が利上げに転換したことは正しい判断だが、時期がやや早すぎた感がある。資源国からの資金の逆流も起きて、金融市場も大荒れとなった。1、2月をうまく乗り切れるかどうか正念場だ」

「欧州や日本は緩和が行き過ぎている面があり、これらのマネーがどこに行くか気になる。金融緩和が続きすぎると、いずれバブルか相当なインフレが起こる可能性が高い」

「原油安は、産油国に打撃を与えているが、アジアでの資源国はインドネシアやマレーシアだ。マレーシアは資本移動が制限されているが、インドネシアでは預金がシンガポールに流れている。同国の債務は3割程度がドル建てであり、ドル高で債務問題も浮上するだろう。財政赤字が増えれば、国債格下げにつながり、資金調達に支障が出かねない懸念がある」

*インタビューは1月28日に実施しました。

(中川泉 編集:石田仁志)」

http://blogos.com/article/158115/

インターネットの統治はもう米国の領域ではない ICANNの統治構造と次期トップに注目 / Financial Times

2016-02-01 15:11:28 | 情報
「 向こう数週間内にインターネット上のドメイン名やIPアドレスを管理する国際団体ICANNがトップ交代を発表する見込みだ。レバノン生まれの米国人であるファディ・シェハデ最高経営責任者(CEO)が退任することになっている。そして同氏は米国人ではない人が自分の後を継ぐことを望んでいる。


 サイバーオタクの世界の外では、そのような交代は恐らく波風を立てないだろう。これは近代世界の奇妙な皮肉であり、危険でもある。

 人はかつてないほどインターネットに依存しているが、ネットがどう機能し、どう統治されているか、その仕組みをちゃんと知っている人は少ないのだ。

 ICANNはインターネットの支柱だ。システムをつなぎ合わせるドメイン名とIPアドレスが確実に円滑に動くようにしている。だが、シェハデ氏とその同僚たちの仕事は往々にして見過ごされる。

アジアや欧州の怒りを和らげるチャンス

 水面下で、これらのプロトコルやドメイン名を誰が統制すべきかを巡る戦いが繰り広げられている。これは技術系の人だけに関係する話ではない。ICANNの物語は米国政府に、欧州諸国やアジア諸国の政府が米国のインターネット政策に対して感じている怒りをいくらか和らげるタイムリーな機会を与えるかもしれない。

 この問題は、「.edu」や「.com」といったドメイン名とIPアドレスを誰が割り当て、監督、監視すべきかという疑問を中心に展開している。1998年に米国政府によって設立されて以来、ICANNがこの仕事をこなしてきた。ICANNは米商務省から認可を得た非営利団体として活動しており、IPアドレスが衝突しないことを担保するといった機能を遂行する巨大なボランティアコミュニティーを組織化することで任務を果たす。

 インターネットが家内工業だった頃は、この緩い構造が理にかなっていた。もはや、そうではない。中国やインドといった国は今、膨大な量のインターネットトラフィック――そしてIPアドレス――を生み出している。

 一方、ドメイン名はあまりに商業的価値が高まったため、企業や政府、さらにはセレブまでもが商標法やほかの判例を引き合いに出し、「自分たちの」名前を獲得するのに奔走している。


 ICANNは常に米国企業の利益の味方をしたわけではない。3年前、小売り大手のアマゾン・ドット・コムは「.amazon」というドメイン名の権利を獲得できなかった。ブラジルとペルーが自国にまたがる地理的領域を示す名前を一民間企業が取得すべきではないと主張し、その訴えが通ったからだ。

 それでも、ICANNが米国の認可の下で活動しているという事実は、米国外の人々の間で高まる反感を生んだ。中には競合組織を創設することも辞さないと言う人もいる。そしてインターネットの成長が早まるほど、この状況がいよいよ時代錯誤に見えてくる。改革の機はとうに熟している。シェハデ氏が言うように、「現状維持はとにかく持続可能ではない」のだ。

誰のためのICANNか

 米国政府は喜々として同意する。2年前、商務省はバラク・オバマ大統領の後押しを得て、ICANNを独立団体に変え、複数国の公的・民間部門のステークホルダー(利害関係者)に対して責任を負うようにする仕組みを提案した。

 シェハデ氏は近く、米国の認可の期限が9月に切れた時にこの改革を実行に移す計画をオバマ政権に提出する。

インターネットに新ドメイン登場、「.guru」や「.singles」など
ICANNはインターネットの支柱となっている〔AFPBB News〕
 これは称賛に値する動きに見える。ICANNの統治構造に関する提案は、まだ完璧ではない。だが、グーグルやインテルといった多くの大企業が打診されており、計画はかなりオープンな形で磨き上げられている。

 「ICANNはこうした提案によって、組織が仕えるインターネットユーザーのグローバルなコミュニティーにより大きな責任を持つことになる」。グーグルの弁護士のアパルナ・スリダル氏は改革の動きを支持し、意見書にこう書いた。

ネックはやはり米議会

 潜在的な障害は、ワシントンでは大抵そうであるように、米議会だ。商務省はICANNを自由にする前に、議会に提案を出す必要がある。共和党の一部の政治家は、ICANNが米国の支配下から抜け出すことを嫌がっている。米国の利益に対する裏切りになるのを恐れてのことだ。


 共和党の元下院議長、ニュート・ギングリッチ氏はこうツイートした。

 「オバマがインターネットを引き渡したいと思っているグローバルなインターネットコミュニティーとは何か? これは外国の独裁政権がインターネットを規定する事態を招く恐れがある」

 これは、懸案の改革がよくても先送りされ、最悪の場合は否決されるリスクを生む。後者になったら残念だ。ICANNの支配権を譲ることは、米国が何か特別に戦略的な技術を失うことを意味しないが、もし改革法案が阻止されたら、その象徴的意味はアジアと欧州でさらに憤怒をあおり、最終的にインターネットを分裂させる恐れがあるからだ。

 米国政府が今、ICANNの多国間プラットフォームの創設に向けて動いたら、ふつふつと沸く怒りをいくらか鎮める役に立つだろう。言い換えるなら、インターネットユーザーはシェハデ氏が勝利を収めることを期待した方がいい。そして、彼の(米国人でない)後継者が誰なのか、しっかり見守るべきだ。

By Gillian Tett」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45935

バーニー・サンダース氏とは 本命・クリントン氏を猛追、選挙資金も急増【アメリカ大統領選】

2016-02-01 15:05:10 | 国際
「2016年アメリカ大統領選挙で、民主党の本命とみられていたヒラリー・クリントン前国務長官(68)に、バーニー・サンダース上院議員(74)が激しい勢いで迫っている。2月1日のアイオワ州党員集会を控えた直近の調査では、長らく独走状態だったクリントン氏に3%差にまで肉薄した。

自ら「社会民主主義者」と名乗り、格差是正を訴える姿勢が、若い層の共感を集めている。

サンダースはバーモント州バーリントンの市長などを経て、下院議員、上院議員を>歴任した。上院では無所属だが、民主党と統一会派を組んでおり、民主党の大統領候補選びに名乗りを上げた。選挙公約には、富裕層への増税や、大企業の租税回避地(タックスヘイブン)を経由する課税逃れの取り締まり強化、国民皆保険制度、公立大学の授業料無償化など、社会の公平性を重視した施策が並ぶ。一方でクリントン氏は、サンダース氏の経験不足や政策の実現可能性を疑問視し、自らの優位を訴える。

毎日新聞は、クリントン氏を中高年が支持する一方、大学生や高校生ら「ネット世代」がサンダース氏を熱狂的に支持しているとした。

ライブに来た高校生のマディソン・ディロンさん(18)は、「私たちはいろいろな情報に接するので、親の世代より価値観が多様でリベラルになっている。同性愛も中絶の権利も尊重する」と語り、「バーニーは平等な考えを持ち、信念を持って未来を良くしようとしている」と期待した。

(米大統領選:ネット世代、サンダース氏支持 民主アイオワ - 毎日新聞より 2016/01/31 21:23)
■選挙資金は広く薄く

こうした支持基盤の違いは、選挙資金集めの面でも際立っている。

ハフポストUS版によると、サンダース氏陣営は、寄付金の額が2015年10-12月で3360万ドル(約40億7000万円)、2016年1月だけで2000万ドルに達したと発表した。約130万人が325万件の寄付をしており、この時期の寄付者数としては新記録だという。

陣営の担当者は「低賃金で働く労働者が、史上最大の集金マシーンを打ち破ろうとしている」と声明を出した。サンダース氏に寄付する大多数は、募金額が200ドル以下で、クリントン氏に寄付した多くが法定上限額の2700ドルを払っているのとは対照的だ。クリントン氏も少額寄付者の数は増えているが、ほとんど少額寄付者に頼っているサンダース氏の選挙運動は前代未聞だ。

陣営は、2015年10-12月は寄付の約7割が少額寄付者から寄せられる見込みと述べた。さらに1月の2000万ドルは、ほぼ全額がオンラインでの寄付で、1件あたりの平均は27ドル(約3200円)という。

2015年にクリントン氏は1億1400万ドル(約169億5500万円)の寄付を集めた。これに対しサンダースは7500万ドル(約90億8300万円)で、資金集めでもクリントン氏を猛追している。」

http://www.huffingtonpost.jp/2016/01/31/who-is-bernie-sanders_n_9128752.html?utm_hp_ref=japan

ロシア S-400 対空ミサイルシステム

2016-02-01 13:27:32 | 軍事
「アカデミー会員 A・A・ラスプレーチン記念「対空防衛コンツェルン『アルマース=アンチェーイ』」主要システム設計局(ロシア語版)により、従来の長射程高射ミサイルシステム(コンプレックス) S-300 の改良型として開発された。ロシア連邦軍が最初に採用している。以前は S-300PM3 (С-300ПМ3)もしくは S-300PMU3 (С-300ПМУ3)として知られていた。

このミサイルシステムは性能で従来のS-300シリーズを凌駕し、またアメリカ合衆国のパトリオットミサイルに比べ少なくとも二倍の射程距離を誇るとも言われている。

ロシアの資料によれば、S-400は400km先の六つの目標に対する同時処理能力を有しているとされる。
さらには高次元の対ステルス戦能力も備えているとされる。

S-400はS-300Pシリーズ用のミサイルが運用可能の他、9M96系列、48N6系列、40N6という3種類のミサイルを運用する。

9M96系列は短~中距離用で、元はS-300PMU2用に開発されたもので、弾道ミサイルへの限定的な対処能力がある。9M96E1と9M96E2があり、9M96E1は重量333kg、射程40km。9M96E2は重量420kg、射程120km。小型で48N6用キャニスター1本に9M96が4本入る。パトリオットミサイルPAC-3と類似点が多く、サイドスラスターを装備しており目標突入時にサイドスラスターの噴射で弾体を直接制御するモードを備える。

48N6系列は中~長距離用で、最新型の48N6DMが開発されている。
40N6は長~超長距離用で、超水平線(OTH)攻撃を可能とするセンサーとデータリンクシステムを搭載し、航空機、巡航ミサイル、そして弾道弾迎撃ミサイル制限条約の効力で縛られるため限定的だが、射程3500km、秒速4.8kmまでならば弾道ミサイルにも対処可能である。

S-400は将来的には2012年に完成が期待されるS-500シリーズに代替される可能性がある。

S-400システムの開発は1990年代末から開始された。ロシア空軍による正式発表は1999年1月。同年の2月12日にアストラハンのカプースチンヤールで行われた初試験が成功。この成功によってS-400は2001年の配備が決定した。

しかし同年、計画は事故により延期に直面する。2003年に配備への準備が整ったと明らかにされたが、しかし八月に二人の上級参謀によってS-400は陳腐化したS-300Pを用いた試験ではまだその段階には無いとの発表がなされた。

最終的に、開発終了は2004年2月だとされる。また同年4月に新型迎撃ミサイル48N6DMを用いた試験で弾道弾迎撃に成功した。

報道によれば、標準的なS-400装備の大隊は8機の発射機と32発のミサイル、移動司令部から構成される。将来的には23個師団にそれぞれ8から12機のS-400を2015年までに調達すると計画されている。

2007年5月21日、ロシア空軍は7月よりS-400をモスクワと中央ロシアへ実戦配備すると発表した。さらに情報では、詳しい配備場所はエレクトロスターリ近郊だと言われる。

2007年8月6日、ロシアのテレビ報道はS-400を装備した最初の連隊がモスクワ州のエレクトロスターシ近郊で活動を開始したと報じた。ロシアの情報では、この連隊は特別目的コマンド(Special Purpose Command)、第1防空軍軍団、第9防空軍師団、第606"ゼニス"ロケット連隊であるとされ、モスクワと中央工業地帯の防衛を担っている。

2008年2月8日、Vladimir Sviridov中将はロシア軍は北西においてS-300をさらに進化したS-400で代替すると発表した。これはロシアは彼らの弾道ミサイル防衛システムの主要要素を2020年ごろまでS-400に担わせることを計画していることを意味した。

S-400の簡略化版も輸出市場を狙っており、伝えられるところでは中国がすでに5億ドルを費やしたとされる。また、中国が開発計画の一部を担う可能性もあるとも報告されている。ロシアはアラブ首長国連邦とギリシャにも購入を打診した。また、イスタンブルで開かれた第9回国際防衛産業フェアにおいて、トルコも購入に意欲を見せたとされる。

イランのような国がこのミサイルの購入に意欲を見せることはアメリカの注意を呼ぶ。下院国家会議副議長ウラジーミル・ジリノフスキーは最優先でS-400をイランへ輸出することを促した。このようなモスクワとテヘランの関係を強化するように見える動きに対しワシントンは対応に苦慮している。

韓国はアルマズの支援を受けCheolmae-2と呼ばれるS-400の簡易版の開発を行っている。Cheolmae-2はアルマズ製多機能X-バンドレーダー車両、指揮管制車両、韓国版"9M96"ミサイルを装備した複数のTEL車両から構成される。主契約者はサムスン電子とタレス・グループの合弁会社サムソンタレス。

2009年3月17日、RIAノーボスチはロシアがS-400を数年以内に輸出することは無いと報道した。また翌日にはベラルーシが二個大隊分のS-400システムの輸入を正式に要請していたと報じた。

インドやイランがこのミサイルの購入に興味を示しており、トルコでは長距離対空ミサイルの選考においてS-400とパトリオット PAC3を比較し2010年に決定するとされる。
2009年8月26日、ロシアの高級将校は北朝鮮のミサイル実験への対抗処置としてロシア極東にS-400を配備すると発言した。
最近の報道では20億ドル分の輸出契約がロシアとサウジアラビアの間に成立したとされる。この契約の元、少なくとも8機の発射機と32発のミサイルが購入された。

S-400は400km先の空中目標の迎撃を想定している。
弾道ミサイル防衛能力は弾道弾迎撃ミサイル制限条約によって制限されるギリギリの能力を有する。
ロシアの軍事情報に精通するCarlo Kopp氏はS-400の先進的なレーダーシステムは低RCS目標へも十分な性能を有すると主張している。
レーダー探知距離は将来的に500~600kmへもなるとの説もある」

https://ja.wikipedia.org/wiki/S-400_(ミサイル)

シリア戦争はロシア製兵器のショーケース ―兵器商談を進めるロシア―

2016-02-01 12:15:57 | 軍事
「シリア戦争はロシア製兵器のショーケース
―兵器商談を進めるロシア―
ロシア防衛産業の諸企業は、楽観主義にひたりながら2016年を迎えた。契約額は優に500億ドルを越え、シリアにおける軍事作戦は、ロシア製兵器の宣伝にはまさにうってつけである。

先週、評論家サフロノフ(Ivan Safronov)が、ロシアのコメルサント誌(Kommersant-Dengi)で、新しい年の兵器輸出に影響する内外の(経済)ファクターを分析、2016年にロシアから兵器を調達する国と調達額について予想した。

次に紹介するのは、中東を含む各地に売り込まれるロシア製兵器の実態。サフロノフの記事である※1。

S-500ミサイル(Source: Indiandefense.com); スホイSU-27SKM(Source: Airliners.net)

…ロシア連邦軍事技術協力局(MTC)によると※2、過去11年の間にロシア製兵器の輸出は50億ドルから113億ドルに増加した。まさに劇的な増加である。しかしながら、ロシアが60ヶ国ほどと兵器の売買契約を持つとはいえ、主要な取引先は5ないし6ヶ国である。2015年の売上実績は公表されていないが、我々は、12月1日の時点で116億ドル分の軍事機材が輸出されたことを、知っている。これから輸出される契約分は、570億ドルもある。

MTC関連のコメルサント誌(Kommersant-Dengi)資料によると、2015年にロシアの兵器産業は、アメリカとNATOから極めて不公平な輸出競争をいどまれ、政治的意図を以て排除される事態にも直面した。それと同時に、ロシアは厳しい経済的苦境に陥った。MTC筋によると、モスクワはこれまで相手国に多額のローンを与えることができた。例えばベネズエラに対しては、2005年―07年に40億ドルの兵器契約で20億ドルのローンを与えている。しかし現在は、経済的苦境のため、ローンを提供することが極めて難しく なっている。一方、米ドル及びユーロに対するルーブルの交換レートがさがって、輸出上は有利となった…現在ロシアは、いくつかの兵器市場でサービスも提供しており(例えば売却後の保証)、更に顧客のニーズに応じた兵器の体系化も提案している。

サウジアラビアにくい込むロシア

軍事技術分野における対外協力は、随分前から実施されている。ロシア・インド間の協力は、特別のレベルにある。ロシア製兵器の契約の3分の2は、毎年インド側とかわされているのである…今年もインドとの広範囲な軍事分野の契約交渉が続けられる。特に注目すべきものに、最新式C-400地対空ミサイルシステム、ジーゼル発電式潜水艦2隻、軍用輸送ヘリ48機が含まれる。更に別の案件もいくつか交渉が進められている。インドの2隻目の原子力潜水艦(アクラ級、プロジェクト971)のリース契約、スホイSU-30MKI戦爆機の購入契約等がある。ロシアとインドは第5世代戦闘機(FGFA)の共同開発に関しても話合いを続けている。

アルジェリアとの軍事協力も疑いなく続いていく。両国の協力は2000年に始まった。当時のブーテフリカ大統領(`Abd Al-`Aziz Bouteflika)がロシア製兵器の取得を希望し、60億ドル分の契約を結んだのである。…ロシア国防省幹部によると、シリア作戦でSU-34戦闘機の性能が実証され、これがアルジェリアに強いインパクトを与え、同国がロシアとの軍事協力を継続する決断に影響した。MTCに関するプーチン大統領アドバイザー(Vladimir kozhin)は「ロシアの兵器産業に対する関心が各地にひろがりつつある」と述べ、これまでロシアと軍事協力のなかった諸国でも、ロシア製兵器に対する関心を強めている、とつけ加えた。

イランとの軍事協力に関しても、期待が持たれている。5隊分のS-300PMU-1地対空ミサイルシステムの引渡し契約にからむ問題は、解決した…MDT筋によると、イランに対する兵器輸出は大きい潜在力を有する。イラン制裁が解除され、兵器輸出の劇的増加が機体されている。戦闘攻撃機、防空システム、海軍用兵器の需要が極めて高い。イランが境界防衛に力を入れているからである。

ロシア兵器産業界の首脳によると、現在の中東紛争が、ロシア製兵器の劇的需要をひき起す。サウジアラビアは、アメリカ及びNATOとの軍事協力をベースとしている。しかし最近になってサウジは、ロシアのミサイル艇、沿岸警備艦、中距離上陸用舟艇に関心を持つようになった。Kommersant-Dengi筋によると、ロシアは近く訪ロ予定のサルマン国王に100億ドルの兵器取引を提案する。それには航空機材、数タイプの防空システムが含まれる。

2016年、エジプトに対するAntey-2500システム※3の供給(35億ドルの契約)は、主要構成部分の引渡しが完了する。新しくMIG-46戦闘機46機の契約(20億ドル)が調印される。

C-400地対空ミサイルシステム(4隊分、19億ドル)を最初に取得したのは、中国であった。その中国は、2015年に戦闘機24機の契約(20億ドル)をロシアと結んだ。

Rosoboronexport※4に近い筋によると、ロシアはアジア太平洋地域(インドネシアとマレーシア)に重点をおく。支払い能力のあるアフリカ諸国(アンゴラ及びウガンダ)に対する交渉も進める。MTC高官によると、2016年の兵器輸出は、140-150億ドルはくだらない。いくつか交渉がたとい失敗し、内外のネガティブな動きで阻害されても、その程度の額は確保される。

※1 2016年1月26日付 Kommersant.ru

※2 兵器輸出分野における外交政策実施担当の政府機関。

※3 Antey -2500は対弾道ミサイル防空システムAlmaz-antey.ru

※4 Rosoboronexportはロシア技術機構の一部で、兵器及び軍民用機材、技術の輸出入及びサービスを担当するロシア唯一の仲介機関。」

http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP627916