環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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この10年、ほとんどかわらなかった「環境問題」に対する大学生の基本認識

2010-01-14 11:25:34 | 環境問題総論/経済的手法
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今年の元旦のブログで、2000年に作成した「このまま行けば、2010年は混乱、2050年は大混乱!」という図を掲げました。最近の世界の動きをウオッチしていますと、この図の表題を「このまま行けば、2010年は混乱2030年は大混乱!」と修正したほうが、もっとリアリティが感じられるような気がしてきました。つまり、事態は急速に悪化しているように感じられるのです。 

 1月12日は、私が環境論を講じているある大学の2009年後期の試験日でした。回収された答案には、私の13回の講義を受けた受講者224人の「気づき」や「感想」がふんだんに盛り込まれています。答案の内容がどのようなものだったかは別の機会に譲るとして、今日は私の講義を受ける前の「環境問題に対する大学生の基本認識」ついて触れておきましょう。

 環境問題にある程度の関心を持っておられる方々に「環境問題とは何か」と問えば、おそらく、90%以上の方々から「地球温暖化」、「オゾン層の破壊」、「酸性雨」、「大気汚染」、「水質汚濁」、「騒音・振動」、「海洋汚染」、「有害廃棄物の越境移動」、「熱帯林の減少」、「野生生物種の減少」、「砂漠化」、「ごみ・廃棄物問題」などの答えが返ってくるでしょう。

 私はこれまで複数の大学で「環境論」を講じて来ましたが、2000年から毎年講義の初日に、「環境問題という言葉を聞いたときに思い浮かぶことを3つ書きなさい」という質問をしてきました。2009年後期のある大学の受講生は初日の174人から最終的には224人が私の講義を履修することになりました。

 次の図は、授業の初日(2009年9月22日)に大学生174人(1~4年生)から得た回答をまとめたものです。



 私はこの結果に、今更ながら驚きを禁じ得ませんでした。私の期待に反して、1人として「経済活動」との関連を示唆する言葉を挙げた学生が今年もいなかったのです。つまり、このことは2000年の頃の大学生の認識と10年後の学生の認識がほとんど変わっていないことを示しています。この現象は2000年の最初の試みからほぼ10年経った現在でも、学部、学年、性別、学生数などにかかわりなく、同じ傾向が見られます。おそらく社会人の方々の認識もここに示された大学生の認識とほとんど同じなのではないでしょうか。皆さんのお考えはいかがでしたか。


ここに示された「環境問題」に対する認識は誤りではありませんが、それらは「環境問題の現象面」であって、もっと本質的な「環境問題」と「経済」のかかわりを示唆する言葉がまったくないのは極めて問題だと思います。つまり、日本では「経済」と「環境」は別物という、まことにリアリティのない認識が蔓延しているのではないでしょうか?

講義の初日にこのような回答をしていた学生は十数回の講義が終わると、どのような認識を持つことになるのでしょうか。その答えは一昨日回収した224人の受講生の答案の中にしっかりと書き込まれているはずです。
 

ご参考までに、2002年当時の「環境問題」に対する大学生の基本認識を一例として掲げておきましょう。



学生のほとんどが環境問題の本質的な原因・結果に着目せず個々の環境問題の現象面に注目しているため、基本認識が拡散しています。この拡散する基本認識を収束する方向に意識転換する助けとなるのが次の図です。このブログにも何回か登場させました。
     
 

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