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緑の福祉国家59 都市再生(都市再開発)④ ストックホルム最大の再開発プロジェクト

2007-05-29 10:02:25 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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3月23日のブログ「2004年 五輪招致をめざしたストックホルム市」 で紹介した「ハンマビー・ショースタッド再開発プロジェクト」を続けましょう。

バルト海とメラーレン湖を結ぶ水路に沿ったハンマビー・ショースタッドを再開発する、ストックホルム市最大のプロジェクトは、再開発面積は約200ha、12年の工期と2000億クローナ(およそ3兆円)をかけて、旧工業団地を8000戸の住宅を有する「持続可能な街」につくりかえる、野心的なプロジェクトです。

2000年秋に最初のアパート群が完成しました。現在は8000戸の集合住宅の建設が終わり、約1万5千人が住んでいます。街の最終的な完成は2012年をめざしており、完成時の人口は約3万人とのことです。

このプロジェクトの目標は施設の建設時および建設後の使用期間中の環境負荷を、1989年から93年に建てられた建築物と比較して半減させることで、エネルギー、水利用、交通、建材など各分野の具体的な目標が設定されています。銅葺きの屋根や銅管の使用、塩ビ製品の使用は禁止されています。
ボルボ車のオーナーの会員誌「VOLVO FAMILY」(No.115 2005年 春季号)はこのプロジェクトを特集し、この街全体の設計を担当した建築家、ヤーン・インゲさん(ストックホルム都市開発局勤務)の次のようなコメントを掲載しています。

ストックホルム中心街にあった昔からの風景をここでも展開していくのが、この際開発の基本的なコンセプトでした。それがストックホルムの街全体の魅力を最も引き出せると考えたからです。

この大プロジェクトを貫く基本的な考え方は、市民に持続可能な街づくりに必要な環境情報を提供し、市民の選択条件を整えることです。

スウェーデンは、住環境・室内環境の分野でもさまざまな先駆的な試みを行なってきた国です。70年代から80年代にかけて、「シック・ビルディング」「ヘルシー・ビルディング」あるいは「室内気候」というキー・ワードで表現される、住環境・室内環境に関する国際会議やシンポジウムを多数主催してきました。こうして蓄積された研究成果や経験が、スウェーデンの都市再開発で活かされていることはいうまでもありません。

2004年1月15日の朝日新聞が、「市民の目から『都市再生』を考える」と題して、伊藤 滋さん(都市政策の専門家)と幸田シャーミンさん(ジャーナリスト)の対談記事を掲載しています。


この記事の中で、伊藤さんがスウェーデンの都市開発のプロセスについて触れています。赤で示した部分です。この部分をリライトすると次のようです。

伊藤 北欧の町、ストックホルムに行きますと、都市の地区ごとに都市計画の担当技師が決められています。その技師が、担当地域の住民と頻繁に対話しながら、将来像を描き、全責任をもってそれを実現していく。行政と住民の連携、そして、専門家を支えるコミュニティが確立しているのです。豊かな社会の実現のために一番重要なのは、「まちづくり」に関してはプロフェッショナリズムを尊重すること。住民は信頼できる専門家に、専門家は住民に対してきちんと対応することです。



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