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スウェーデンでは、環境を生物と無生物との両方から成り立つ複雑なエコシステム(生態系)としてとらえています。やさしくいえば、自然と調和した「住み良さ」あるいは「暮らし良さ」ということです。このような考え方は、スウェーデンの自然と人間との接点に生じた本能的な態度といえるでしょう。自然への恐れはまた、自然への愛着とも結びつきます。
スウェーデンの環境問題や都市計画などを考えるときの前提として、「土地自然の公共利用権」について触れておきましょう。これらの権利や義務がスウェーデンの都市景観の保全の背景にあるといえるでしょう。
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アルメンシュレッテンは「自然享受権」とか、「万人権」などとも訳されていますが、この権利によって国民は誰でも、たとえ他人の所有地であっても、自由に野山を歩き、水にボートを浮かべ、泳ぐことができ、一時滞在して木の実や花やキノコを摘むことができます。もちろん、その所有者の財産(樹木、作物、庭園など)を損傷しない、という条件つきであることはいうまでもありません。
アルメンシュレッテン(土地自然の公共利用権)は山野や河川の風景の美しさは国民すべてにとって「共有の財産」だから大切にされ、享受されるべきものだという国民の合意があります。この考えは、1964年に制定された「自然保全法」の基本精神を形づくるものでした。この法律は1月17日のブログで紹介した「環境法典」(1998年6月成立、99年1月1日より施行) に統合されました。
こうした伝統が、スウェーデン国民を自然景観の保全へ、そして環境保護へ積極的に向かわせている大きな理由です。環境保護は社会に深く定着した価値観で、「健全な環境は基本的人権」の一つと位置づけられています。スウェーデンのすべての環境政策の策定は、この権利を根拠にしています。
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