環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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緑の福祉国家17 「気候変動」への対応 ⑥

2007-02-04 13:25:10 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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京都議定書の採択から半年たった1998年6月、EUは環境大臣理事会で、地球温暖化防止京都会議で合意された「EU全体でCO2など温室効果ガスの8%削減」を具体化するために、国別分担の排出量新配分で基本合意しました

この新配分でEUは、スウェーデンに「1990年比で4%の温室効果ガスの排出量増加」を認めていますが、これは、スウェーデンが「1970年以降およそ30年間にわたって、CO2の排出量を少しずつ削減してきた実績」と「原発の段階的廃止」をめざす計画を保持していることに配慮したからです。


6.スウェーデンの二酸化炭素総排出量の推移

それでは、70年代~90年代までのCO2排出量の推移を見ておきましょう。スウェーデン・エネルギー庁の資料によれば、CO2の総排出量は1970年以降、88年まで少しずつ減少し、88年以降現在まで、ほぼ横ばい状態が続いていることがわかります。ただし、運輸部門はわずかですが増加傾向にあります。




CO2が減少した理由は、70年代の「石油ショック以降のエネルギー政策」にあります。原油と石油製品の総エネルギー供給量に占める割合は、1970年の77%から88年まで少しずつ減少し、88年以降の横ばい状態を経て、2000年には33%まで減少しました。過去30年間の石油製品の消費は、原子力とバイオマスで代替されました。エネルギーの転換がなされたのです。現在は,石油製品の54%が運輸部門に供給されています。

ここで注目すべき事実は、スウェーデンでは産業部門もCO2削減に努力し、民生部も、運輸部門も努力していることです(その努力にもかかわらずやや増加の方向にありますが)。一方日本では、政策担当者や企業、エネルギー関係者によれば、生産部門は努力し、CO2を削減しているが、民生部門、運輸部門は大幅に増加し、日本全体のCO2増加に大きく寄与している、と説明されています。
 
2001年11月に、政府が国連気候変動事務局に提出した「第3回気候変動に関する国別報告書」によれば、スウェーデンの1999年の温室効果ガス排出量は、90年のレベルをわずかに0.1%上回っただけでした。

このことは、この10年間のGDPが15%増えているのに、90年代の温室効果ガスの排出量が安定化していたことを示しています。1992年に国会が決めた「CO2の排出量を2000年までに90年レベルに安定化する」という目標は達成されたのです。
 
2004年2月19日付の朝日新聞は、2001年時点の主要国の温室効果ガス排出量の削減実績を伝えています。これによると、スウェーデンは京都議定書の目標値の「4%増」に対し、この時点ですでに90年比「3.1%減」となっており、京都議定書の国別目標に到達した「世界最初の国」となったのです。

そして、2006年11月6日の毎日新聞はスウェーデンの2004年の温室効果ガスの排出量が90年比「3.5%減」であったと報じています。


また、国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書2004」では、先進工業国のなかで1人当たりのCO2排出量が最も少ないのはスウェーデンで、5.3トンで、日本は9.3トンでした。




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