環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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 廃棄物に悩む「超輸入大国」日本

2007-03-13 08:46:06 | 廃棄物


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日本で生産活動を続けるには、原材料のおよそ40%とエネルギーの90%以上をつねに海外から輸入しなければならないことは、昨日のブログでお話したとおりです。
 
下の図は平成17年版「循環型社会白書」に掲載されている「日本の物質フロー」(平成14年度)です。

この図には次のような解説つけられています。

我が国の物質フロー(平成14年度)を概観すると、20.7億tの総物質投入量があり、その半分程度の10.4億tが建物や社会インフラなどの形で蓄積されています。また1.4億tが製品等の形で輸出され、4.1億tがエネルギー消費、5.8億tが廃棄物等という形態で環境中に排出されています。循環利用されるのは2.1億tです。これは、総物質投入量の1割に過ぎません。廃棄物・リサイクル問題、地球温暖化問題が我が国社会の構造的・根本的な問題であることが見てとれます。  

この図とその解説から「日本の循環型社会」の概念が、国際社会で語られる「持続可能な社会」の概念とはまったく非なるものであることがご理解いただけるでしょう。循環型白書の内容を見れば、日本の循環型社会という概念は小泉政権が掲げ、安倍政権が引き継いでいる「持続的な経済成長」という政策目標のもとでの「廃棄物対策」にすぎないことが明らかです。

この図から想像できますように、国外から投入された輸入資源は国内で廃棄物、製品、構造物となるのです。そして、スウェーデンの「今日の製品は明日の廃棄物」の標語のとおり、製品は国内で消費され、やがて廃棄物となり、構造物も一定の期間を経て廃棄物化することは、いくら経済学者やエコノミストでも否定できないでしょう。
 
さらにいえば、日本は海外から資源として7.1億トン輸入するために、およそ25億トン強の捨て石、土壌浸食)など海外で環境破壊を続けているのです。 

また、10年前の古い話で恐縮ですが、田口正己さん(立正大学教授)の調査によれば、1997年時点で、日本全国で約950件の廃棄物処分場に関する紛争が発生しており、そのうち、民間の産業廃棄物処分場が約600件を占めているそうです(朝日新聞1998年1月25日付)。

この10年間に、解決されたものあるでしょうが、新たな紛争やトラブルも起こっています。現状はどうなっているのでしょうか。

これらのことから、地球的規模の生産活動の拡大の最大の制約要因は水資源だと思いますが、日本の生産活動の最大の制約要因廃棄物(産業廃棄物+一般廃棄物)だと思います。


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