環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

環境問題 企業の「環境への配慮」とは

2007-02-20 07:08:35 | 市民連続講座:環境問題


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★日本企業の認識と対応

20世紀後半の高度経済成長期に、日本の企業、とくに製造メーカーが、「品質」、「コスト」および「納期」の3点を最も重視してきた結果、日本の製品は国際的にも有利な立場を確保し、日本経済の発展に大きく寄与したのですが、その反面、外部からさまざまな圧力を受けるたびに日本企業が示した反応は、
①技術的に対応がむずかしい、
②因果関係が科学的に証明されていない、
③対応にコストがかかりすぎる、
の3点でした。この結果は、総じて環境問題への企業の対応を遅らせることになりました。 

個人消費は、現象的に見れば、環境負荷の発生源です。しかし、1月24日のブログ「環境問題は経済の目的外の結果の蓄積」でお話したように環境問題は、より根本的には、企業が行なう経済活動の「目的外の結果」としてつくりだされ、蓄積されたものです。

ですから、企業の環境への配慮とは「環境配慮型と称する製品」を市場に大量に供給することではなく、「社会の資源・エネルギーの成長を抑制すること」です。

しかし、最近はやりの日本企業の環境報告書の多くは、「効率」や「原単位の削減」を主としているようです。このことは、日本の政策担当者、エコノミスト、技術評論家や企業人が「日本は世界に冠たる省エネ国家だ」と豪語するにもかかわらず、実体はその言葉とは裏腹に、最終エネルギー消費は増え、CO2の発生量が増え続ける理由ではないでしょうか。


★スウェーデン企業の認識と対応

スウェーデンでは、企業も環境対策に積極的です。政府、自治体、企業、市民に、「環境に対するコンセンサス」が定着しているからです。そのうえ、「緑の福祉国家を実現すること」が、政治の目標となっているので、他国の企業よりも環境分野の活動に自信を持っており、環境分野の投資に積極的なのです。
 
また、スウェーデン企業は「緑の福祉国家」を早くつくれば、グローバルな市場にその新しい概念や技術を輸出することができ、世界の市場競争で優位な立場に立てるとも考えています。

東京大学生産技術研究所・教授の山本良一さんが、1999年に書かれた「環境経営 キーテキスト エコデザイン ベストプラクティス 100」(ダイヤモンド社)で、スウェーデンのエネルギー企業ABB社の副社長の講演の様子をつぎのように紹介しています。

1月26日のブログでお話したスウェーデンのボルボ社や今回紹介したABB社の考え方と日本企業の考え方を比べてみると、環境問題に対する両国の企業の認識と対応に大きな相違があることがおわかりいただけるでしょう。


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