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昨日のブログでは、下の「判断基準の相違:具体例」に示した③「クロマグロ」の規制提案について、16年前の状況が今どのようになっているを検証してみました。今日は①将来の電源としての原発を検証してみましょう。
1980年の決定
スウェーデンは80年3月の国民投票の結果を踏まえて、「2010年までにすべての原発を廃棄する」という目標を80年6月に国会で決議し、その方針をいまなお堅持しています。
スウェーデンの原発が安全性に問題があるというのであれば、それらの廃棄もやむをえませんが、国際的な評価では、スウェーデンは原発が一番うまくいっている国の一つです。スウェーデンの原発は日本の原発と同程度か、それ以上に安全でうまく運転されていることが国際的にも認められています。
放射性廃棄物対策、労働者の被ばく対策も世界の最高水準にあります。ところが、スウェーデンは「2010年までに原発をゼロにする」という方向で将来のエネルギー体系の修正を模索しています。スウェーデンの電力の50%弱を原発で供給していますので、スウェーデンは原発の十分な恩恵を受けている国のはずなのですが、その原発を廃棄するというわけです。
一方、日本は原発への傾斜を強め、さらに原発を促進するという方向にあります。日本は「原子力を2010年には設備容量で現在の2.5倍にする」という目標を掲げています。
同じような高度なレベルの原発技術を持った2つの国が一方は捨てる、他方は増やす、このような状況にあります。ですから、スウェーデンの「原発を捨てる」という判断に正当性があるならば、「日本は大変なことをしようとしている」ということになるでしょうし、逆に、日本の原発の増大に正当性があるのであれば、「スウェーデンは極めてばかげた選択をしている」ということになります。
30年近く前の判断基準の相違は、現在どうなったか
80年6月、スウェーデンの国会は、同年3月に実施された国民投票で過半数を占めた、建設中の原子炉を含む12基すべてを使用するという結果を踏まえて、「2010年までに12基の原子炉すべてを廃棄する」という国会決議を行ないました。
その後、紆余曲折を経て、97年6月10日に国会で承認された「1997年のエネルギー政策」で、2010年までにすべての原子炉を廃棄するとした「最終期限」は公式に撤廃されましたが、12基の原子炉すべてを段階的に廃止するとした「国会決議」は、2008年末でも堅持されています。
99年11月30日にバルセベック原発の1号機(出力約60万キロワット)が閉鎖されました。政治的な判断で、順調に稼動している民間の原発を廃炉としたのは、世界で初めてのケースです。ついで、2005年5月31日、バルセベック原発2号機(出力約60万キロワット)が閉鎖されました。
次の図は80年の「国会決議」以降のスウェーデンと日本の原発利用の推移を示したものです。2008年11月時点で、スウェーデンでは10基の原子炉が稼働しています。日本では55基の原子炉のうち34基の原子炉が稼働し、21基が停止中です。さらに、建設中が3基、計画中が10基あります。
この図が示していることは、1980年から2008年6月までのおよそ30年間の間に、スウェーデンは12基から10基へ原子炉を2基止めましたが、日本は逆に、この間に22基から55基へと33基が増設されました。
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またしても、ミスリードしかねない「スウェーデン脱原発政策転換」という日本の報道(2009-03-21)
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昨日のブログでは、下の「判断基準の相違:具体例」に示した③「クロマグロ」の規制提案について、16年前の状況が今どのようになっているを検証してみました。今日は①将来の電源としての原発を検証してみましょう。
1980年の決定
スウェーデンは80年3月の国民投票の結果を踏まえて、「2010年までにすべての原発を廃棄する」という目標を80年6月に国会で決議し、その方針をいまなお堅持しています。
スウェーデンの原発が安全性に問題があるというのであれば、それらの廃棄もやむをえませんが、国際的な評価では、スウェーデンは原発が一番うまくいっている国の一つです。スウェーデンの原発は日本の原発と同程度か、それ以上に安全でうまく運転されていることが国際的にも認められています。
放射性廃棄物対策、労働者の被ばく対策も世界の最高水準にあります。ところが、スウェーデンは「2010年までに原発をゼロにする」という方向で将来のエネルギー体系の修正を模索しています。スウェーデンの電力の50%弱を原発で供給していますので、スウェーデンは原発の十分な恩恵を受けている国のはずなのですが、その原発を廃棄するというわけです。
一方、日本は原発への傾斜を強め、さらに原発を促進するという方向にあります。日本は「原子力を2010年には設備容量で現在の2.5倍にする」という目標を掲げています。
同じような高度なレベルの原発技術を持った2つの国が一方は捨てる、他方は増やす、このような状況にあります。ですから、スウェーデンの「原発を捨てる」という判断に正当性があるならば、「日本は大変なことをしようとしている」ということになるでしょうし、逆に、日本の原発の増大に正当性があるのであれば、「スウェーデンは極めてばかげた選択をしている」ということになります。
30年近く前の判断基準の相違は、現在どうなったか
80年6月、スウェーデンの国会は、同年3月に実施された国民投票で過半数を占めた、建設中の原子炉を含む12基すべてを使用するという結果を踏まえて、「2010年までに12基の原子炉すべてを廃棄する」という国会決議を行ないました。
その後、紆余曲折を経て、97年6月10日に国会で承認された「1997年のエネルギー政策」で、2010年までにすべての原子炉を廃棄するとした「最終期限」は公式に撤廃されましたが、12基の原子炉すべてを段階的に廃止するとした「国会決議」は、2008年末でも堅持されています。
99年11月30日にバルセベック原発の1号機(出力約60万キロワット)が閉鎖されました。政治的な判断で、順調に稼動している民間の原発を廃炉としたのは、世界で初めてのケースです。ついで、2005年5月31日、バルセベック原発2号機(出力約60万キロワット)が閉鎖されました。
次の図は80年の「国会決議」以降のスウェーデンと日本の原発利用の推移を示したものです。2008年11月時点で、スウェーデンでは10基の原子炉が稼働しています。日本では55基の原子炉のうち34基の原子炉が稼働し、21基が停止中です。さらに、建設中が3基、計画中が10基あります。
この図が示していることは、1980年から2008年6月までのおよそ30年間の間に、スウェーデンは12基から10基へ原子炉を2基止めましたが、日本は逆に、この間に22基から55基へと33基が増設されました。
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またしても、ミスリードしかねない「スウェーデン脱原発政策転換」という日本の報道(2009-03-21)
なすさんが、どのようなお立場の方かはぞんじませんが、最新のスウェーデンの動きをフォローされておられるのですね。
関連の報道が2月にあったのは事実ですが、この報道に関する私の考えを3月21日のブログで書いておきましたので、参照いただき、ご関心があれば、更なるコメントをいただければ幸いです。
http://blog.goo.ne.jp/backcast2007/e/c5a4f2f9c55c7f68c5d26ff4c6fb7f90